小西朝陽館月見台とは
小西朝陽館月見台は、大阪市阿倍野区橋本町にある昭和7年(1932年)建築の渡り廊下と座敷からなる一棟で、平成29年(2017年)に登録有形文化財となった。木造平屋建、瓦葺、建築面積32平方メートル。御殿と新御殿をつなぐ通路であり、同時に庭へ張り出す部屋でもある。
この二役が小西朝陽館月見台の性格をつくっている。廊下として歩き、途中で腰を落ち着ける。名のとおり月を眺めるための場所で、屋敷のなかでは最も庭に近い建物である。
張り出す部分は懸造になっている。傾斜地に柱を立てて床を持ち上げる工法で、京都の清水寺の舞台と同じ仕組みである。住宅の一室にこれを用いた例は多くない。
登録の理由
小西朝陽館月見台の登録基準は「造形の規範となっているもの」である。評価されたのは、通路と座敷という二つの機能を無理なく一棟にまとめた点にある。
屋根は切妻造の桟瓦葺で、庇だけを銅板で葺く。渡廊下の延長は12.8メートル。西側の面は高塀になっていて、廊下を歩く人からは西の景色が遮られる。庭を見せたい東側だけを開き、それ以外を閉じる。この操作によって、歩きながら見えるものが設計されている。
室内は4畳半の一室で、北側に床の間と床脇が付く。渡り廊下の途中に取り付いた小さな座敷でありながら、床構えを備えた正式な部屋として扱われている。
見どころ
渡廊下の天井を見上げてほしい。緩やかなヴォールト状に設えてある。平天井でも舟底天井でもなく、連続した曲面が12.8メートル続く。歩くと天井の稜線が視線の先へ逃げていき、通路が実際より長く感じられる。
南半部の床は杉材を並べたつくりで、足の裏に伝わる感触が畳の部分と変わる。廊下から座敷へ入るとき、床の変化が境目を教える。
4畳半の室内では床の間と床脇を見ておきたい。廊下の延長にある小部屋にこれを設けたのは、ここを月見の座敷として正式に扱うという意思表示である。
外からは、庭側に回って小西朝陽館月見台を見上げるのがよい。懸造の柱が斜面に立ち、床が宙に持ち上げられている。御殿と新御殿という二つの座敷棟のあいだに、この軽い一棟が挟まっている構図が、庭からいちばんよく分かる。
見学方法
小西朝陽館月見台は通常非公開である。敷地の内側にあり、公道からは見えない。
内部を見られるのは、大阪市教育委員会文化財保護課が学芸員の案内で行う見学会に限られる。近代化遺産全国一斉公開の期間に合わせて秋に実施されてきたもので、往復はがきによる事前申込と抽選がある。見学会では、御殿から新御殿へ移動する途中で小西朝陽館月見台を通ることになる。ここは通り抜ける場所なので立ち止まりにくいが、天井の曲面と床の杉材は歩きながらでも確かめられる。
4畳半の座敷に入れるかどうかは回による。撮影の可否も回ごとに案内される。屋敷への行き方と申込方法は、小西朝陽館の施設ページにまとめてある。
よくある質問
- 小西朝陽館月見台は見学できますか。拝観時間と料金は。
- 通常は非公開で、拝観時間も拝観料もありません。大阪市教育委員会が秋に行う見学会に当選した場合に限り、無料で通ることができます。
- 小西朝陽館月見台はどんな建物ですか。
- 御殿と新御殿をつなぐ渡り廊下と、庭へ懸造で張り出す座敷からなる一棟です。通路と月見の部屋を兼ねています。
- 小西朝陽館月見台の渡り廊下はどのくらいの長さですか。
- 延長12.8メートルです。西面は高塀となっており、東の庭側だけが開いています。
- 小西朝陽館月見台の天井はどうなっていますか。
- 渡り廊下の天井は緩やかなヴォールト状の曲面です。南半部の床には杉材を並べています。
- 小西朝陽館月見台はいつ建てられたのですか。
- 昭和7年(1932年)です。新御殿と同じ年の普請で、火災のあとに屋敷が整えられた時期にあたります。
基本データ
| 名称 | 小西朝陽館月見台 |
|---|---|
| 所在地 | 大阪府大阪市阿倍野区橋本町13-2他 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物) |
| 指定年 | 平成29年(2017年)登録 |
| 員数 | 1棟 |
| 寸法 | 木造平屋建、瓦葺、建築面積32平方メートル、渡廊下延長12.8メートル |
| 所有者 | 一般財団法人小西朝陽館 |
| 公開状況 | 通常非公開 |
参考資料
- 文化庁 国指定文化財等データベース 小西朝陽館月見台
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00011740
- 文化庁 国指定文化財等データベース 小西朝陽館新御殿
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00011739
- 大阪市 史跡・文化財・埋蔵文化財包蔵地について
- https://www.city.osaka.lg.jp/kyoiku/page/0000659274.html
最終更新日: 2026.09.13