小西朝陽館新御殿とは

小西朝陽館新御殿は、大阪市阿倍野区橋本町にある昭和7年(1932年)建築の座敷棟で、平成29年(2017年)に登録有形文化財となった。木造平屋建、入母屋造桟瓦葺、建築面積125平方メートル。屋敷の棟のなかでは最も新しい。

「新御殿」という名は、先に建っていた御殿に対する呼び分けである。文化庁の解説によれば、この棟は大正11年(1922年)の火災のあとに再建されたもので、陸軍特別大演習に際して閑院宮若宮春仁王が宿泊するために用意された。

なお、学校法人朝陽学院は火災を大正10年(1921年)の近隣からの類焼と記しており、資料によって年が一年ずれる。ここでは文化庁の国指定文化財等データベースの記載に従った。

登録の理由

小西朝陽館新御殿の登録基準は「造形の規範となっているもの」である。同じ座敷棟でも、明治45年(1912年)の御殿とは設計の前提が違っており、そこが小西朝陽館新御殿のいちばんの特徴になっている。

違いは椅子座である。この棟は椅子に腰かけて使うことを基本に設計されており、そのぶん内法が高く取られている。床に座る座敷では低く抑える鴨居の高さが、立って歩き、椅子に座る人の目線に合わせて上げられている。天井には格天井を用い、そこにシャンデリアを吊る。和風の座敷構えと洋風の照明が同じ天井面に同居する。

昭和初期に賓客を迎える建物がどのように和洋を折り合わせたか、その一例として評価されている。大正から昭和にかけて、皇族の応接が畳の上から椅子へ移っていく過渡期の姿でもある。

見どころ

部屋に入ったときに感じる天井の高さが、小西朝陽館新御殿の第一の見どころである。15畳の広間と8畳の次の間からなる平面そのものは、御殿とよく似ている。それでも印象がまるで違うのは、内法が高いためである。

見比べるなら鴨居を見るとよい。障子や襖の上端の高さを、先に見た御殿と覚えておいて比べれば、差ははっきりする。

天井のシャンデリアは、折上格天井の中央から下がる。格天井の格子と、金物のアームが同じ視野に入る。昭和7年(1932年)にこの部屋で客をもてなした人々が、どちらの様式にも慣れていたことが分かる。

外観は入母屋造の桟瓦葺で、軒先だけを銅板で葺いている。瓦と銅板の境目は近づかないと見えない。庭から棟を見上げると、屋根の稜線が御殿より軽く、屋根勾配の扱いに時代の差が出ている。

見学方法

小西朝陽館新御殿は通常非公開である。敷地の奥にあり、公道からは見えない。

内部が公開されるのは、大阪市教育委員会文化財保護課が学芸員の案内で行う見学会のときに限られる。近代化遺産全国一斉公開の期間に合わせて秋に実施されてきたもので、往復はがきによる事前申込と抽選がある。見学会では、御殿から月見台の渡り廊下を通って小西朝陽館新御殿へ入る順路になることが多い。同じ日に二つの座敷を続けて見られるので、内法の高さの違いを体で確かめる機会になる。

シャンデリアが点灯するかどうかは回による。撮影の可否も回ごとに案内される。屋敷への行き方と見学会の申込方法は、小西朝陽館の施設ページにまとめてある。

よくある質問

Q小西朝陽館新御殿は見学できますか。拝観時間と料金は。
A通常は非公開で、拝観時間も拝観料もありません。大阪市教育委員会が秋に行う見学会に当選した場合に限り、無料で内部を見られます。
Q小西朝陽館新御殿はなぜ建てられたのですか。
A火災で失われた建物の再建として、陸軍特別大演習に際し閑院宮若宮春仁王が宿泊するために昭和7年(1932年)に建てられました。
Q小西朝陽館新御殿は御殿とどこが違いますか。
A椅子に腰かけて使うことを前提に設計されているため内法が高く、天井のシャンデリアも備わります。畳に座る前提の御殿とは寸法の取り方が異なります。
Q小西朝陽館新御殿の部屋の広さはどのくらいですか。
A15畳の広間と8畳の次の間で構成されます。建物全体の建築面積は125平方メートルです。
Q小西朝陽館新御殿のもとになった火災はいつ起きたのですか。
A文化庁のデータベースは大正11年(1922年)とし、学校法人朝陽学院は大正10年(1921年)の類焼としています。資料により一年の差があります。

基本データ

名称小西朝陽館新御殿
所在地大阪府大阪市阿倍野区橋本町13-2他
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年平成29年(2017年)登録
員数1棟
寸法木造平屋建、瓦葺、建築面積125平方メートル
所有者一般財団法人小西朝陽館
公開状況通常非公開

参考資料

文化庁 国指定文化財等データベース 小西朝陽館新御殿
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00011739
文化庁 国指定文化財等データベース 小西朝陽館御殿
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00011737
学校法人朝陽学院 創業者 小西久兵衛について
https://choyo-gakuin.jp/about/konishi
大阪市 史跡・文化財・埋蔵文化財包蔵地について
https://www.city.osaka.lg.jp/kyoiku/page/0000659274.html

最終更新日: 2026.09.13