樟徳館とは

樟徳館(しょうとくかん)は、大阪府東大阪市菱屋西2丁目の長瀬川沿いにある昭和14年(1939年)完成の邸宅で、主屋・土蔵・鎮守社・門・東塀・南塀の6件が平成12年(2000年)10月18日に登録有形文化財となった。樟蔭学園の創立者で、大阪でも指折りの材木商だった森平蔵(もりへいぞう)が私邸として建てたものである。

森平蔵は昭和35年(1960年)6月に85歳で亡くなり、邸宅は本人の遺志によって学園へ寄贈された。「樟徳館」の名はこのとき付けられた。いまも学校法人樟蔭学園が所有しており、学園の紹介では大阪樟蔭女子大学の家政学の実習などに使われているとされる。

撮影所の跡地に、7年をかけて

樟徳館の敷地には、かつて帝国キネマの長瀬撮影所があった。学園の説明によると、この一帯は大阪電気軌道(いまの近畿日本鉄道)が大正14年(1925年)に開発を始めた布施巽台住宅地の北寄りにあたり、撮影所が昭和5年(1930年)に焼けたあと、森平蔵が土地を手に入れた。

森平蔵は明治34年(1901年)に大阪で木材商として独り立ちし、木材を運ぶ船にも目を付けて大正4年(1915年)に森平汽船を興した。樟蔭高等女学校の設置認可を受けたのは大正6年(1917年)で、学園の歴史はここから始まる。

樟徳館の準備は昭和7年(1932年)ごろ、全国から銘木を集めるところから始まった。隣の土地には専用の製材所を設け、丸太から自前で材を挽いた。工事は昭和11年(1936年)2月に始まり、翌年5月ごろには外観の大部分が姿を見せていたことが当時の写真から分かる。構想の時期を含めると7年がかりで、昭和14年に完成した。文化庁のデータベースも主屋について、施主が自ら木取りした良材をふんだんに用いたと記している。

外観は和風で統一され、内部には和洋折衷の意匠が入り混じる。学園は木造2階建の主屋を、関西で最高といわれる松普請と紹介している。

6件の配置と登録

文化庁のデータベースの解説から、樟徳館の6件の位置と規模は次のように読み取れる。

  • 門は長瀬川沿いの敷地東辺の南寄りにあり、道路から少し奥へ引いて建つ。間口約3.15メートルの一間薬医門である。
  • 東塀は門の北端から長瀬川に沿って北へ延びる屋根塀で、長さは約24メートル。
  • 南塀は門の南端から延び、敷地の東南隅で折れて南辺を西へ向かう。長さは約70メートルで、6件のうちもっとも長い。
  • 主屋は木造2階建、建築面積1,169平方メートルの住まいで、入母屋造の玄関車寄を中央に、左手に平屋建の応接間棟、右手に2階建の居室棟を配す。
  • 土蔵は敷地の西北の隅に建つ。2階建の蔵2棟を東西に並べてつないだもので、建築面積は133平方メートル。
  • 鎮守社は敷地の西北の奥、土蔵の南側にある屋敷神の社で、建築面積は3.3平方メートル。

6件はいずれも平成12年(2000年)10月18日に登録され、11月6日に告示された。登録番号は27-0113から27-0118までの連番で、登録基準はそろって「造形の規範となっているもの」である。建てられた年も6件とも昭和14年で、一人の施主が一度に整えた屋敷構えが、表の門と塀から奥の屋敷神の社までそろって登録されている。

樟徳館の見学と行き方

樟徳館は学園の施設で、ふだんは一般に公開されていない。学園は4年に一度、秋に一般公開を行っており、直近は令和6年(2024年)11月9日・10日の2日間だった。令和2年(2020年)の公開は新型コロナウイルス感染症の影響で取りやめになり、8年ぶりの開催となった。

2024年の公開時間は午前10時から午後4時までで、入場は午前10時から正午までと午後1時から午後3時までに区切られていた。入場は無料、申し込みは不要で、対象は中学生以上(小学生以下は保護者同伴なら可)とされた。両日とも庭園で見学のポイントを解説する説明会が開かれている。学園は、かかとのある靴や大きな荷物での来場を控えるよう求め、文化財のため建物内のトイレは原則使えないと案内していた。

4年ごとの周期に従えば次回は令和10年(2028年)になるが、日程は学園の発表で確かめたい。問い合わせ先は学校法人樟蔭学園の学園広報課である。ここに記した内容は2026年10月5日に学園の案内で確認した。

公開日以外でも、門と東塀は長瀬川沿いの道から、南塀は敷地の南辺に沿う道から外観を見ることができる。塀の内側は学園の敷地なので、道から眺めるにとどめたい。

鉄道では近鉄大阪線の長瀬駅で降り、長瀬川沿いを北へ歩いて5分ほどで着く。近鉄奈良線の河内小阪駅からは、長瀬川沿いを南へ徒歩20分ほどである。駐車場はなく、学園は車での来場を控えるよう求めている。

参考文献

国指定文化財等データベース 樟徳館主屋(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00001932
国指定文化財等データベース 樟徳館土蔵(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00001933
国指定文化財等データベース 樟徳館鎮守社(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00001934
国指定文化財等データベース 樟徳館門(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00001935
国指定文化財等データベース 樟徳館東塀(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00001936
国指定文化財等データベース 樟徳館南塀(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00001937
学校法人樟蔭学園 登録文化財について
https://www.osaka-shoin.ac.jp/culture/
学校法人樟蔭学園 樟徳館
https://www.osaka-shoin.ac.jp/culture/shoutoku_images/
学校法人樟蔭学園 創立者と初代校長
https://www.osaka-shoin.ac.jp/history/establish/
学校法人樟蔭学園 登録有形文化財「樟徳館」定期一般公開を行います(2024年)
https://www.osaka-shoin.ac.jp/news/2024/10151116/

最終更新日: 2026.10.05

基本情報

名称樟徳館
所在地大阪府東大阪市菱屋西2-4-12
所有者学校法人樟蔭学園
指定登録有形文化財 6件
座標34.65359, 135.57821