赤田家住宅とは

赤田家住宅は、滋賀県長浜市太田町にある旧家の屋敷で、江戸時代後期の正門から昭和42年(1967年)頃の物置まで、建てられた時代の異なる5棟が令和7年(2025年)8月6日にそろって国の登録有形文化財となった。文化庁の解説は、この家を琵琶湖の北東に広がる農村集落の旧家として位置づけている。

5棟を古い順に並べると、正門が江戸時代後期、主屋が明治43年(1910年)、離れ座敷が大正5年(1916年)、土蔵が大正6年(1917年)、物置が昭和42年頃になる。門だけが江戸にさかのぼり、住まいの中心は明治の終わりに建ち、そこから7年のうちに離れと蔵が続いた。物置はさらに半世紀ほどあとの建物である。

ひとつの家が、世代をまたいで建物を足しながら暮らしを続けてきた。その積み重ねが、そのまま登録の単位になっている。

屋敷の配置

赤田家住宅の建物の位置関係は、文化庁の各棟の解説から読み取れる。中心になるのは主屋で、敷地の北西に南を向いて建つ。その正面には茅葺の正門が同じく南向きに構え、主屋の南西、正門と並ぶ位置に物置が東西に長く建つ。解説は物置について、正門と組んで屋敷の表側の構えをつくる建物だと評価している。道から見た屋敷の顔は、この門と物置の2棟でできている。

主屋の南東には離れ座敷が西を向いて建ち、北西の奥には土蔵が置かれる。表に門と物置、奥に主屋、その両脇に離れと蔵。農村の旧家らしい、表と奥のはっきりした屋敷構えである。

主屋の解説は庭への眺めの良さを特記しており、文化庁が公開する主屋の外観写真も「本庭」の側から撮られている。建物を見るときは、つねに庭との向き合い方を意識しておくと、それぞれの棟の置かれ方が理解しやすい。

5棟の登録と二つの基準

5棟は令和7年(2025年)8月6日付の同じ告示で登録され、登録番号は25-0525から25-0529まで連続する。主屋が25-0525、離れ座敷が25-0526、土蔵が25-0527、物置が25-0528、正門が25-0529である。

適用された登録基準は二つに分かれる。主屋と離れ座敷は「造形の規範となっているもの」、正門・土蔵・物置は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」。前者は建物そのものの意匠や材料の質を、後者は屋敷や集落の景観への寄与を評価する基準である。住まいの中核2棟は座敷の仕上げと材料の吟味で、周りの3棟は屋敷構えを形づくる要素として認められたことになる。

昭和42年頃の物置が含まれている点は見逃せない。登録有形文化財は原則として建設から50年を過ぎた建物が対象で、物置は登録の時点でこの条件を満たしていた。江戸の門と昭和の物置が同じ日に登録されたのは、一棟ごとの古さよりも、屋敷全体のまとまりが評価されたためと読める。

赤田氏庭園と屋敷

赤田家住宅の庭は、建物とは別の文化財でもある。「赤田氏庭園」の名で、平成27年(2015年)3月24日に滋賀県の名勝に指定された。長浜市の文化財一覧によれば、その後、平成30年(2018年)10月17日と令和3年(2021年)2月16日に範囲が追加されている。建物は国の登録、庭は県の指定。制度の違う二つの文化財が、ひとつの屋敷の上で重なっている。

県の解説によると、作庭の時期や作者を確かめられる記録は見つかっていない。ただし、庭石を運ぶ様子を描いたとされる江戸時代の絵巻が赤田氏に伝わること、当時の赤田氏の経済力や地位、京都の西本願寺にある虎渓の庭や福田寺庭園との共通点を合わせて、江戸時代初期の作と推定されている。

庭は池を主体とする。正面左手に高い築山と枯滝の石組を据え、池には鶴島と亀島を置き、背後の景色を借景として取り込む。豊かな水源を生かして2本の水路から水を引き入れ、流れをつくる手法や、右手に滝の水を落とす構成に独自性があると評価されている。明治43年(1910年)の主屋が庭に向けて座敷を開いているのは、この庭がすでにそこにあったからである。

見学とアクセス

赤田家住宅は現在も個人の住まいで、建物・庭園とも常時公開はされていない。文化庁と長浜市の資料には公開日や見学受付の案内がなく(2026年9月27日確認)、建物の内部に入ることはできない。庭園の見学を希望する場合は、訪問の前に長浜市の文化財担当へ相談するのが確実である。

外から見られるのは、表構えをつくる正門と物置の外観が中心になる。主屋・離れ座敷・土蔵は門の奥に建つため、道から全体を見渡すことは難しい。撮影は公道からにとどめ、門内へ立ち入ったり、住まいの様子が写り込む角度でカメラを向けたりすることは控えたい。

公共交通では、JR長浜駅から湖国バスの高山線に乗り、「太田」で降りるのが最寄りとなる。時刻は近江鉄道・湖国バスの案内で事前に確かめておきたい。車の場合は住所の長浜市太田町133を目指すことになるが、見学者向けの駐車場は案内されていない。

参考文献

国指定文化財等データベース 赤田家住宅主屋(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00015469
国指定文化財等データベース 赤田家住宅離れ座敷(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00015470
国指定文化財等データベース 赤田家住宅土蔵(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00015471
国指定文化財等データベース 赤田家住宅物置(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00015472
国指定文化財等データベース 赤田家住宅正門(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00015473
文化遺産オンライン 赤田氏庭園
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/235641
長浜市所在指定文化財一覧(令和7年8月6日現在)
https://www.city.nagahama.lg.jp/cmsfiles/contents/0000014/14176/ichirann.pdf
近江鉄道・湖国バス 長浜営業所管内路線図
https://www.ohmitetudo.co.jp/bus-rosenzu-nagahama.pdf

最終更新日: 2026.09.26

基本情報

名称赤田家住宅
所在地滋賀県長浜市太田町133
所有者個人
指定登録有形文化財 5件
座標35.46789, 136.31510