滋賀大学陵水会館:彦根に佇むヴォーリズ建築の名作

滋賀県彦根市、国宝・彦根城に隣接する滋賀大学彦根キャンパスの構内に、ひときわ優美な洋風建築が佇んでいます。滋賀大学陵水会館は、アメリカ出身の建築家ウィリアム・メレル・ヴォーリズの設計により1938年(昭和13年)に建てられた、スパニッシュ様式の木造2階建て建築です。経済学部の前身である彦根高等商業学校の同窓会館として誕生したこの建物は、1997年(平成9年)に国の登録有形文化財に登録され、現在も同窓会組織「陵水会」の拠点として大切に使われ続けています。

歴史的背景

彦根高等商業学校は1922年(大正11年)に設立された、日本を代表する商業教育機関のひとつでした。その同窓会組織である「陵水会」が、会員の交流拠点として会館の建設を計画しました。建設地には、高商の学生たちが「集団勤行」と呼ばれる奉仕活動で埋め立てた壕の跡地が選ばれました。設計はヴォーリズ建築事務所が手がけ、1938年に竣工しました。

ウィリアム・メレル・ヴォーリズ(1880年〜1964年)は、1905年に滋賀県近江八幡市に移り住んだアメリカ人建築家・教育者・実業家です。後に日本に帰化し、生涯で1,600棟以上の建築を設計しました。特に滋賀県内には多くの作品が残されており、陵水会館はヴォーリズ建築の宝庫である滋賀の中でも重要な一棟です。

1978年(昭和53年)に陵水会から国に寄贈され、以後は滋賀大学の施設として維持管理されています。2022年秋には改修工事が完了し、陵水会事務局が1階に戻りました。

文化財指定の理由

滋賀大学陵水会館は、1997年(平成9年)5月7日に国の登録有形文化財(建造物)に登録されました。その登録理由として、木造でありながらスパニッシュ・コロニアル・リバイバル様式を見事に表現した建築であることが挙げられています。淡いクリーム色のドイツ壁(波打つような仕上げの左官壁)、スペイン瓦葺きの屋根、そして玄関まわりに施された泰山タイルの市松模様など、統一感のある外観デザインはヴォーリズの作風を端的に示すものです。左右対称の構成と中央のベランダが生み出す均整のとれた佇まいも高く評価されています。近代日本における西洋建築の受容と展開を物語る貴重な建造物です。

建築の見どころ

陵水会館は木造2階建て(一部平屋)で、建築面積は292平方メートルです。いくつもの建築的な魅力が詰まった建物です。

外壁は「ドイツ壁」と呼ばれる波打つような左官仕上げで、淡いクリーム色が柔らかな印象を与えます。屋根にはスペイン瓦が葺かれ、地中海を思わせる異国情緒を醸し出しています。玄関周りには京都で焼かれた手作りの泰山タイルが市松模様に配され、繊細な工芸美が建物に彩りを添えています。

建物の平面は左右対称で、2階中央にベランダが設けられ、その両翼に部屋が配置されています。この均整のとれた構成は、ヴォーリズが学校関連施設に好んだ設計手法であり、西洋の美意識と日本の気候風土に適した実用性を兼ね備えています。

なお、建物の内部は大学施設のため一般には非公開となっていますが、キャンパス内からスパニッシュ様式の美しい外観を鑑賞することができます。

アクセス・周辺情報

滋賀大学彦根キャンパスは、滋賀県彦根市馬場1丁目1-1に位置しています。JR彦根駅から徒歩約15分でアクセスできます。また、湖国バス「滋賀大口」バス停からは徒歩約2分です。

キャンパスは琵琶湖のほとりに広がり、国宝・彦根城に隣接する恵まれた立地にあります。陵水会館の見学に合わせて、彦根城の天守や名勝・玄宮園、城下町の風情を残す夢京橋キャッスルロードなど、彦根の豊かな歴史・文化スポットも併せてお楽しみいただけます。同じキャンパス内には、1924年(大正13年)建築の滋賀大学講堂(旧彦根高等商業学校講堂)も登録有形文化財として残されており、こちらも見応えがあります。

Q&A

Q滋賀大学陵水会館は誰が設計しましたか?
Aアメリカ出身の建築家ウィリアム・メレル・ヴォーリズ(1880年〜1964年)が主宰するヴォーリズ建築事務所が設計しました。ヴォーリズは滋賀県近江八幡市を拠点に、日本国内で1,600棟以上の建築を手がけた著名な建築家です。
Q陵水会館の内部を見学できますか?
A内部は大学施設のため、一般には非公開となっています。ただし、キャンパス内からスパニッシュ様式の美しい外観を自由に鑑賞することができます。
Q陵水会館はどのような建築様式ですか?
Aスパニッシュ・コロニアル・リバイバル様式の建築です。クリーム色のドイツ壁、スペイン瓦の屋根、泰山タイルの装飾など、ヴォーリズらしい洗練されたデザインが特徴です。
Q最寄り駅からのアクセスを教えてください。
AJR彦根駅から徒歩約15分です。湖国バスをご利用の場合は「滋賀大口」バス停で下車し、徒歩約2分です。
Q周辺にはどのような観光スポットがありますか?
A国宝・彦根城がキャンパスに隣接しており、名勝・玄宮園や夢京橋キャッスルロードなど、彦根の歴史・文化スポットが徒歩圏内に集まっています。同じキャンパス内の滋賀大学講堂(登録有形文化財)も見どころのひとつです。

基本情報

名称 滋賀大学陵水会館(しがだいがくりょうすいかいかん)
文化財区分 登録有形文化財(建造物)
登録年月日 1997年(平成9年)5月7日
竣工 1938年(昭和13年)
設計 ヴォーリズ建築事務所(ウィリアム・メレル・ヴォーリズ)
構造 木造2階建て一部平屋建、瓦葺、建築面積292㎡
所有者 国立大学法人滋賀大学
所在地 〒522-8522 滋賀県彦根市馬場1丁目1-1
アクセス JR彦根駅より徒歩約15分

参考文献

文化遺産オンライン — 滋賀大学陵水会館
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/113217
彦根観光ガイド — 陵水会館
https://www.hikoneshi.com/sightseeing/article/shiga-unicv-ryosuikaikan
滋賀大学キャンパスマップ
https://www.shiga-u.ac.jp/information/campus-access/campusmap/
国指定文化財等データベース
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00010477
彦根市 — 滋賀大学陵水会館
https://www.city.hikone.lg.jp/kakuka/toshi_seisaku/15/4/3/4217.html

最終更新日: 2026.04.09