文化元年創業、撫養街道沿いの造り酒屋に残る5棟
本家松浦酒造場は、徳島県鳴門市大麻町池谷にある文化元年(1804年)創業の造り酒屋で、長屋門・東酒蔵・仲酒蔵・西酒蔵・精米蔵の5棟が平成14年(2002年)8月21日に国の登録有形文化財に登録された。読みは「ほんけまつうらしゅぞうじょう」、銘柄「鳴門鯛(なるとたい)」の醸造元として知られる。
鳴門市の解説によれば、屋号を「紙屋」という松浦家は江戸時代に藍商と回船業で財を築いた家である。蔵元の沿革では、文化元年に二代目の松浦直蔵由往が酒造業を始め、明治19年(1886年)に「鳴門鯛」の商標が認められた。命名は当時の県令酒井明と五代目松浦九平によるもので、鳴門海峡の速い潮にもまれて身の締まった鯛のように、端正で味わいのある酒であれという願いを込めたと蔵元は説明している。
蔵元は現在も酒造りを続けており、中国四国農政局は令和5年度の取組事例で、本家松浦酒造場を鳴門市内でただ一つの清酒の醸造蔵と紹介している。
撫養街道に沿う本家松浦酒造場の5棟の並び
本家松浦酒造場の建物は、旧街道の撫養街道(むやかいどう)に面して建つ。文化庁の解説をもとに通りの東から歩くと、並びは次のようになる。
いちばん東に長屋門が街道に北面して建ち、その西隣に東酒蔵、さらに西へ仲酒蔵、西酒蔵と3棟の酒蔵が続く。3棟はいずれも南北に棟を通した妻入の切妻造で、街道には白い妻壁を向ける。西酒蔵だけは街道から少し奥へ引いて建つ。
精米蔵は、この3棟の酒蔵の北方、街道をはさんだ向かいの敷地にある。所在地の地番も酒蔵側の「字柳ノ本19」とは別で、「字大石10」となる。街道の南側に門と酒蔵、北側に精米蔵という配置で、酒造場の仕事場が通りの両側にまたがっている。
本家松浦酒造場の登録の内容
本家松浦酒造場の5棟は第34回の登録で、平成14年9月3日に官報で告示された。登録番号は長屋門が36-0033、東酒蔵が36-0034、仲酒蔵が36-0035、西酒蔵が36-0036、精米蔵が36-0037と続き、登録基準は5棟とも「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。
建築年代は文化庁の記載で、長屋門・東酒蔵・仲酒蔵が江戸後期(長屋門は明治後期に改造)、西酒蔵が明治初期、精米蔵が明治後期とされる。鳴門市の解説は、精米蔵を明治40年(1907年)ごろ、ほかの4棟を江戸時代後期の後半の建築としている。
評価の中心は通りから見た景観である。文化庁は東酒蔵・仲酒蔵・西酒蔵の3棟が、「阿波の灘」と呼ばれた鳴門の酒蔵の景観をつくっていると記す。鳴門市も、目板張の腰に白漆喰の三角の妻面が3つ続く街道沿いの姿を、調子のよい連なりとして挙げている。
本家松浦酒造場の見学と行き方
本家松浦酒造場は、事前予約制の蔵見学を受け付けている。蔵元の案内では参加費は無料、所要は約45分で、毎日午前10時から午後6時の間に、酒ができるまでの工程と建物を案内してもらえる。見学先には登録有形文化財の旧仕込み蔵と母屋が含まれる。予約は希望日の1週間前までにウェブのフォームか電話で申し込む。案内は日本語のみである。
敷地の一角を改装した直売所「ナルトタイの店」は午前10時から午後6時まで開いている。休みは1月1日から3日と法定点検日で、土日祝日も営業する。試飲もできるが、車を運転する人と20歳未満の人は飲めない。
長屋門と3棟の酒蔵の妻面、街道の向かいの精米蔵は、いずれも撫養街道から外観を見ることができる。見学の予約なしに蔵の中や敷地の奥へ入ることはできないので、通りから眺めるか直売所に立ち寄る形になる。
行き方は、JR鳴門線の阿波大谷駅から歩いて約8分、JR高徳線の池谷(いけのたに)駅から歩いて約15分。車では鳴門インターチェンジから約10分である。
参考文献
- 国指定文化財等データベース(文化庁):本家松浦酒造場長屋門
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00002983
- 国指定文化財等データベース(文化庁):本家松浦酒造場東酒蔵
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00002984
- 国指定文化財等データベース(文化庁):本家松浦酒造場仲酒蔵
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00002985
- 国指定文化財等データベース(文化庁):本家松浦酒造場西酒蔵
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00002986
- 国指定文化財等データベース(文化庁):本家松浦酒造場精米蔵
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00002987
- 鳴門市:国登録有形文化財(建造物) 本家松浦酒造場長屋門・東酒蔵・仲酒蔵・西酒蔵・精米蔵
- https://www.city.naruto.lg.jp/docs/2025012100089/
- 本家松浦酒造:これまでの歩み
- https://narutotai.jp/about/history/
- 本家松浦酒造:会社案内
- https://narutotai.jp/about/profile/
- 本家松浦酒造:ナルトタイの店・蔵見学
- https://narutotai.jp/shop/
- 中国四国農政局:株式会社本家松浦酒造場(徳島県)「『鳴門鯛』徳島の酒を世界へ輸出」
- https://www.maff.go.jp/chushi/sesaku/export/r5t06.html
最終更新日: 2026.10.02
基本情報
| 名称 | 本家松浦酒造場 |
|---|---|
| 所在地 | 徳島県鳴門市大麻町池谷字柳ノ本19 |
| 所有者 | 株式会社本家松浦酒造場 |
| 指定 | 登録有形文化財 5件 |
| 座標 | 34.15879, 134.53752 |