国際基督教大学泰山荘とは
国際基督教大学泰山荘は、東京都三鷹市大沢の国際基督教大学(ICU)構内に残る、昭和11年(1936年)頃に造営された実業家山田敬亮の別荘建築群で、現存する6棟がいずれも平成11年(1999年)に登録有形文化財に登録された。
読みは「たいざんそう」。キャンパスの南西の隅、野川へ向かって落ちる崖の縁に敷地があり、茅葺の門をくぐると雑木林のなかに建物が点在する。登録されているのは高風居・待合・書院・蔵・表門・車庫の6棟で、それぞれが別々の登録番号(13-0057から13-0062)を持つ。
泰山荘は茶会のための別荘として計画された。茶の湯の本席にあたるのが高風居、客が席入り前に控えるのが待合で、どちらも他所から運ばれてきた古い建物である。高風居には、幕末に蝦夷地を踏査した松浦武四郎が明治19年(1886年)に自邸へ増築した書斎「一畳敷」が組み込まれている。泰山荘の名が研究者の間で知られているのは、主にこの小さな一室による。
別荘から大学の施設へ
施主の山田敬亮(1881〜1944)は日産財閥の重役を務めた人物で、富士山を遠くに望める郊外に茶会の場を求めて三鷹のこの地を選んだと、大学は説明している。表門・母屋・書院・待合・高風居・蔵・車庫の各棟は、昭和11年(1936年)頃に新築または移築された。建設を指揮したのは茶匠の亀山宗月とされる。大学博物館である湯浅八郎記念館の解説は、泰山荘の竣工を昭和14年(1939年)としている。席披きには松岡洋右や寺内寿一ら政界の有力者が出席したという記録が残る。
山田家の所有は長く続かなかった。昭和15年(1940年)に中島飛行機が周辺一帯の土地を買い取り、創業者の中島知久平が泰山荘を住まいとして、戦中から終戦直後にかけての晩年をここで過ごした。
昭和25年(1950年)、国際基督教大学は旧中島飛行機の敷地を大学の用地に選び、戦災を免れた泰山荘も大学の所有となった。昭和28年(1953年)の献学以来、大学の施設として維持されている。
昭和41年(1966年)には火災で母屋が焼失した。母屋は日野の農家を移築した建物で、書院とは廊下でつながっていた。焼け残った6棟が、現在の泰山荘である。
敷地の配置と6棟の関係
敷地の北寄りに茅葺の薬医門である表門が立ち、ここが泰山荘の入口になる。門を入って右手の奥に車庫がある。敷地の中ほどにはかつて母屋があり、その東南に書院、書院の東に蔵が並ぶ。待合は敷地の西の端に離れて建つ。高風居だけは崖を下った斜面の途中にあり、小径を降りて近づく。
配置は茶会の動線と重なっている。客は待合で身支度を整え、崖下の高風居へと導かれた。書院と蔵は母屋に付属する座敷と収納の棟、車庫は自動車で訪れる施主や客のための設備である。江戸末期の茶室と明治・大正の書斎と茶室が移築され、昭和初期に新築された座敷や蔵と1つの敷地に同居している。
敷地の南は崖になっていて、その下を東八道路が東西に走り、道路の北側を野川が流れる。いまは木立に遮られて見えないが、かつては崖の上から富士山を遠望できたという。
見学方法とアクセス
国際基督教大学泰山荘は通常は非公開で、文化財保護のため敷地への立ち入りには大学の許可が要る。大学の文化祭などに合わせて毎年特別公開日が設けられ、この日に限って建物を外から見学できる。窓口は構内の湯浅八郎記念館である。
2026年の特別公開は10月11日(日)と12日(月・祝)で、東京文化財ウィーク2026の提携企画として行われる。書院・待合・蔵・車庫・表門の5棟は、両日とも午前11時から午後4時まで外観を自由に見学できる。高風居の外観は、学生とスタッフが案内する予約定員制のツアー(各回15名まで、所要約40分、参加無料)の参加者に限って見られる。ツアーは往復はがきで申し込み、受付期間は8月17日から9月15日まで(消印有効、応募多数の場合は抽選)だったため、2026年分はすでに締め切られている。
ツアー中の撮影は安全上の理由で禁止されている。当日は書院と中庭で茶道部の茶会(有料)が開かれるが、こちらも撮影はできない。高風居へ降りる道は足場が悪く、苔を傷めるためヒールのある靴は避けるよう求められている。午前11時より前は敷地に入れず、表門の前で待つこともできない。天候によっては公開が中止される。
国際基督教大学へは、JR中央線三鷹駅南口の5番乗り場から小田急バス「鷹51」の国際基督教大学行きに乗り、終点で降りる。乗車時間は20分前後で、バスは大学構内まで入る。武蔵境駅南口の2番乗り場からは「境93」の国際基督教大学行きが出ており、タクシーなら武蔵境駅から約10分である。構内のバス停から泰山荘までは歩いて15分ほどかかる。問い合わせ先は湯浅八郎記念館(電話0422-33-3340、火曜から金曜の午前10時から午後5時)。
参考文献
- 国際基督教大学泰山荘高風居(文化庁 国指定文化財等データベース)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00001368
- 国際基督教大学泰山荘待合(文化庁 国指定文化財等データベース)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00001370
- 国際基督教大学泰山荘書院(文化庁 国指定文化財等データベース)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00001369
- 国際基督教大学泰山荘蔵(文化庁 国指定文化財等データベース)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00001371
- 国際基督教大学泰山荘表門(文化庁 国指定文化財等データベース)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00001373
- 国際基督教大学泰山荘車庫(文化庁 国指定文化財等データベース)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00001372
- ICU TAIZANSO TOP(国際基督教大学博物館湯浅八郎記念館)
- https://subsites.icu.ac.jp/yuasa_museum/taizanso_web/
- 建築物の紹介(国際基督教大学博物館湯浅八郎記念館)
- https://subsites.icu.ac.jp/yuasa_museum/taizanso_web/build.html
- 2026年度 泰山荘の特別公開について(国際基督教大学博物館湯浅八郎記念館)
- https://subsites.icu.ac.jp/yuasa_museum/taizanso_web/2026koukai.html
- お問い合わせ・アクセス(国際基督教大学博物館湯浅八郎記念館)
- https://subsites.icu.ac.jp/yuasa_museum/taizanso_web/place.html
- なぜ、国の登録有形文化財である泰山荘がキャンパス内にあるのか?(国際基督教大学)
- https://www.icu.ac.jp/about/whyicu/page_50.html
- キャンパス・施設紹介(国際基督教大学)
- https://www.icu.ac.jp/about/campus/
- 交通アクセス(国際基督教大学)
- https://www.icu.ac.jp/about/access/
- 遠足 松浦武四郎旧居「一畳敷」(文化資源学会)
- https://bunkashigen.jp/excursion/014.html
最終更新日: 2026.09.24
基本情報
| 名称 | 国際基督教大学泰山荘 |
|---|---|
| 所在地 | 東京都三鷹市大沢3-10-2 |
| 所有者 | 学校法人国際基督教大学 |
| 指定 | 登録有形文化財 6件 |
| 座標 | 35.68541, 139.52768 |