高野山霊宝館とは

高野山霊宝館は、和歌山県伊都郡高野町高野山にある大正9年(1920年)竣工の宝物館で、開館当初の本館を構成する紫雲殿・放光閣など5件が平成10年(1998年)9月2日に登録有形文化財に登録された。

高野山では、たび重なる災害や明治初期の廃仏毀釈によって、多くの文化財が焼けたり散り散りになったりした。それでも山内の寺院には膨大な宝物が残っており、それをまとめて保存し、あわせて参拝者に公開するために、有志者の寄付と金剛峯寺の手で高野山霊宝館が設けられた。建物は大正9年(1920年)9月30日に竣工し、翌大正10年(1921年)5月15日に開館式が行われている。初代館長には金剛峯寺の座主が就き、その後も歴代の座主が館長を務めてきた。

計画は高野山開創1100年の記念事業として立てられた。文化庁の解説によれば、設計は大江新太郎と奥本吾市で、当初は右翼を含めた「日」の字形の配置が描かれていた。実際に建ったのはその一部である。正面の玄関から奥の紫雲殿へ中廊を、脇の放光閣へ北廊を延ばし、さらに南廊と西廊で紫雲殿と放光閣を結んで、建物がひと巡りの環になっている。山上の厳しい気候を考えて、宝蔵だけを鉄筋コンクリート造とし、ほかの棟は木造の漆喰塗で仕上げた。

高野山霊宝館の登録5件と、その後の増築

平成10年(1998年)9月2日、高野山霊宝館の本館5件が同じ日に登録有形文化財となった。いずれも大正9年(1920年)の建物で、内訳は次のとおりである。

  • 紫雲殿:玄関から見て奥に建つ正殿。木造平屋建、銅板葺、建築面積226平方メートル
  • 玄関・北廊・中廊:受付部と、紫雲殿・放光閣へ通じる廊をまとめた1棟。木造平屋建、瓦葺、147平方メートル
  • 放光閣:二重の宝形屋根をかけた展示棟。木造平屋建、銅板葺、126平方メートル
  • 南廊及西廊:紫雲殿と放光閣を鉤の手に結び、隅に櫓を載せた廊。木造平屋建、鉄板葺、203平方メートル
  • 宝蔵:校倉造の形式をとる収蔵庫で、5件のうちただ一つの鉄筋コンクリート造。銅板葺、96平方メートル

収蔵品が増えるにつれて、高野山霊宝館は旧館の隣に建物を足してきた。昭和36年(1961年)には当時日本最大とされた高野山大宝蔵が完成し、昭和59年(1984年)に新収蔵庫、平成15年(2003年)に平成大宝蔵ができた。平成17年(2005年)には拝観受付所と事務所も新しくなっている。これら後年の建物は登録の対象ではない。

運営は、昭和32年(1957年)に設立された財団法人高野山文化財保存会が担い、同会は平成25年(2013年)に公益認定を受けた。登録5件の所有者もこの公益財団法人である。館の説明によれば、国や県の指定を受けた収蔵品だけで188件・約2万8千点、指定のない品を含めると約10万点を数える。高野町の歴史的風致維持向上計画でも、高野山霊宝館の5件は歴史的風致形成建造物の候補に挙げられている。

高野山霊宝館の館内の歩き方

公式サイトの館内地図に示された高野山霊宝館の拝観順路は、玄関を入ってまず北廊を進み、放光閣に入るところから始まる。そこから西廊、角の隅櫓、南廊と回り込んで紫雲殿に至り、中廊を戻って、途中の渡り廊下から昭和59年(1984年)の新収蔵庫へ抜ける。木造の登録4件は廊でつながっているので、展示を順に見て歩くうちに大正期の建物の中をひと通り通ることになる。宝蔵だけはこの順路に含まれていない。

棟ごとに屋根の形も広さも違う。放光閣は二重の宝形屋根の下の一室、西廊と南廊は幅の広い廊、紫雲殿は切妻屋根の大きな一室である。展示品だけでなく、部屋が切り替わるところで建物の造りにも目を向けたい。

本館には暖房設備がなく、館内には階段や段差が多い。冬に訪れるなら、上着を着たまま見て回れる用意をしておくとよい。館内には車いすの備えがあり、介助が必要な場合は受付で申し出れば係員が手伝ってくれる。

高野山霊宝館の拝観時間・拝観料・撮影

高野山霊宝館の開館時間は通年で午前9時から午後5時までで、入館は午後4時30分に締め切られる。休館は年末年始のみだが、展示替えのための臨時休館がある。拝観料は一般1,300円、高校生・大学生800円(学生証の提示が必要)、小学生・中学生600円で、20名以上の団体には割引がある。

展示室内では携帯電話を含めて撮影がすべて禁止されており、スケッチもできない。大きな荷物はロッカーに預け、傘は建物に持ち込まずに傘入れに置く決まりである。仏像や仏画の展示は展覧会ごとに入れ替わるので、目当ての品があるときは事前に館へ問い合わせるとよい。

高野山霊宝館への行き方

高野山霊宝館へ電車で向かう場合は、南海高野線で極楽橋駅まで行き、ケーブルカーで高野山駅に上る。難波駅から極楽橋駅までは特急で約1時間25分、急行で約1時間40分かかる。JR和歌山線を使う場合は橋本駅で南海高野線に乗り換える。高野山駅からは南海りんかんバスの大門行きに乗り「霊宝館前」で降りるのが近い。奥の院行きに乗った場合は「千手院橋」で降り、歩いて約10分である。

車では、大阪から橋本まで約2時間、橋本からは高野山道路で山上へ入る。大門を過ぎてしばらく進んだ右手に、高野山霊宝館の無料駐車場がある。

参考文献

文化庁 国指定文化財等データベース「高野山霊宝館紫雲殿」
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00000802
文化庁 国指定文化財等データベース「高野山霊宝館玄関・北廊・中廊」
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00000803
文化庁 国指定文化財等データベース「高野山霊宝館放光閣」
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00000804
文化庁 国指定文化財等データベース「高野山霊宝館南廊及西廊」
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00000805
文化庁 国指定文化財等データベース「高野山霊宝館宝蔵」
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00000806
高野山霊宝館「高野山霊宝館とは」
https://reihokan.or.jp/about/
高野山霊宝館「利用案内」
https://reihokan.or.jp/riyo/
高野町「高野町歴史的風致維持向上計画 第7章」(PDF)
https://town.koya.wakayama.jp/img_data/2023/05/dai7syou20240523.pdf
和歌山県教育委員会「高野山 文化財巡礼のしおり」(PDF)
https://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/500700/d00217764_d/fil/Leaflet_koyasan.pdf

最終更新日: 2026.10.07

基本情報

名称高野山霊宝館
所在地和歌山県伊都郡高野町高野山306
所有者公益財団法人高野山文化財保存会
指定登録有形文化財 5件
座標34.21123, 135.58099