高野山霊宝館宝蔵とは

高野山霊宝館宝蔵は、和歌山県伊都郡高野町高野山にある大正9年(1920年)建築の収蔵庫で、校倉造の形式を鉄筋コンクリートで表し、平成10年(1998年)に登録有形文化財に登録された。

高野山霊宝館の当初の建物のうち、この棟だけが鉄筋コンクリート造である。平屋建で寄棟造の屋根を銅板で葺き、桁行36尺(約10.9メートル)、梁間24尺(約7.3メートル)、建坪24坪の規模をもつ。建築面積は96平方メートル。

展示棟や廊が木造の漆喰塗で建てられたなかで、宝物を納める蔵だけを別の構造にした。文化庁の解説は、霊宝館全体について、厳しい気候を考えて宝蔵を除き木造漆喰塗としたと記している。

高野山霊宝館宝蔵が登録された理由

霊宝館の登録5件のうち、ほかの4件は「造形の規範となっているもの」として登録されたが、高野山霊宝館宝蔵だけは「再現することが容易でないもの」という別の基準による。

文化庁の解説は、校倉形式の鉄筋コンクリート造建築として最初のものと位置づけている。校倉造は、木材を井桁に積み上げて壁とする倉の形式で、古くから宝物を納める倉に用いられてきた。高野山霊宝館宝蔵はその外観をコンクリートで写し取った収蔵庫である。

解説はさらに、大江新太郎が設計した明治神宮宝物殿(大正10年/1921年竣工)の習作と考えられるとする。明治神宮宝物殿も、校倉造や寝殿造を基調とした和風の意匠を、耐震と耐火のために建物全体を鉄筋コンクリート造でまとめた建物である。1年早く完成した高野山の小さな収蔵庫で、同じ設計者が伝統的な倉の形と新しい構造の組み合わせを試していたことになる。

高野山霊宝館宝蔵の見どころ

高野山霊宝館宝蔵の見どころは、木で組むはずの倉の形式を鉄筋コンクリートに置き換えたという点そのものにある。外観を見る機会があれば、寄棟の銅板屋根と、校倉を写した壁の組み合わせに注目したい。

東京の明治神宮宝物殿を訪れたことがあれば、規模はまったく違うものの、設計者の同じ発想をたどることができる。高野山霊宝館宝蔵は96平方メートルの小さな蔵で、明治神宮宝物殿の中心の建物よりもはるかに小さい。その小ささが、試作としての性格をうかがわせる。

山内の木造の堂や坊が並ぶ高野山で、大正期に鉄筋コンクリートの蔵が建てられたこと自体が、文化財を守る施設としての霊宝館の性格をよく示している。

高野山霊宝館宝蔵の見学方法

高野山霊宝館宝蔵は、公式サイトの館内地図に示された拝観順路に含まれておらず、利用案内にも内部公開の記載はない。外観がどこから見られるかも公式の案内には書かれていないので、見学を希望する場合は受付で尋ねるとよい。

霊宝館の展示室内は撮影が禁止されている。開館時間・拝観料・行き方は高野山霊宝館のページにまとめてある。

Q&A

Q高野山霊宝館宝蔵はどんな建物ですか?
A大正9年(1920年)に建てられた鉄筋コンクリート造平屋建の収蔵庫で、寄棟造の銅板葺の屋根をもち、校倉造の形式をとっています。平成10年(1998年)に登録有形文化財に登録されました。
Q高野山霊宝館宝蔵はなぜ貴重なのですか?
A文化庁の解説によれば、校倉形式の鉄筋コンクリート造建築として最初のものです。登録基準も、霊宝館のほかの4件と違って「再現することが容易でないもの」です。
Q高野山霊宝館宝蔵と明治神宮宝物殿にはどんな関係がありますか?
Aどちらも大江新太郎の設計で、高野山霊宝館宝蔵は大正10年(1921年)に完成した明治神宮宝物殿の習作と考えられると文化庁は説明しています。
Q高野山霊宝館宝蔵の大きさはどのくらいですか?
A桁行36尺(約10.9メートル)、梁間24尺(約7.3メートル)、建坪24坪で、建築面積は96平方メートルです。
Q高野山霊宝館宝蔵は見学できますか?
A館内地図の拝観順路には含まれておらず、公式の利用案内にも内部公開の記載はありません。外観を見たい場合は、受付で見られる場所を尋ねてください。

基本情報

名称高野山霊宝館宝蔵
所在地和歌山県伊都郡高野町高野山306
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年平成10年(1998年)9月2日登録
員数1棟
寸法建築面積96㎡(鉄筋コンクリート造平屋建、寄棟造、銅板葺、桁行36尺・梁間24尺)
所有者公益財団法人高野山文化財保存会
公開状況拝観順路外。内部公開の案内なし

参考文献

文化庁 国指定文化財等データベース「高野山霊宝館宝蔵」
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00000806
文化遺産オンライン「高野山霊宝館宝蔵」
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/177026
文化遺産オンライン「明治神宮宝物殿 事務所」
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/239559
高野山霊宝館「高野山霊宝館とは」
https://reihokan.or.jp/about/
高野山霊宝館「利用案内」
https://reihokan.or.jp/riyo/

最終更新日: 2026.10.07