長門鋳銭所跡とは:和同開珎を鋳造した国営工房の跡

長門鋳銭所跡(ながとのじゅぜんしょあと)は、山口県下関市長府安養寺にある奈良時代の銭貨鋳造所の跡で、昭和4年(1929年)に国の史跡に指定された。

文化庁の解説によると、場所は長門国分寺跡の西約2町(約220メートル)にあたり、指定当時は覚苑寺の境内と畑地になっていた。地下2〜3尺の地点から和同開珎の銭、銭の鋳型である銭笵、坩堝などが出土しており、和銅年間から続く鋳銭所であったことが明らかだとしている。

山口県の観光サイトは、鋳銭所が長門の国衙に付設され、和銅年間(708〜715年)に開かれ、天長2年(825年)に廃止されたと説明している。読みは文化庁が「ながとのじゅぜんしょ」とし、覚苑寺は「ながとちゅうせんしょ」とも記している。

指定の理由と発掘の経緯

覚苑寺によれば、周辺では江戸時代から鋳銭の遺物がたびたび見つかっていた。明治44年(1911年)に当時の住職が境内を掘ったところ、銭笵や鞴の羽口、坩堝など約100点の鋳銭遺物が出土し、和同開珎の鋳造地として注目されるようになった。その後、大正10年(1921年)の発掘などで大量の遺物が出土し、昭和4年(1929年)の史跡指定に至った。出土遺物も、別に国の文化財として指定されている。

平成22年(2010年)には、覚苑寺の境内から南へ約50メートルの住宅地で、下水道工事の際に大量の木簡が出土した。覚苑寺は、その記載が、周防国の2か所で採掘・精錬された銅が銭の鋳造のために長門国へ送られたという『続日本紀』の記述を裏づけたと紹介している。

覚苑寺は、和同開珎が鋳造された場所はほかにも知られるが、遺構が確実に地下に残る遺跡としては現在のところここが唯一だとしている。2014年に下関市が行った境内の発掘調査では、約4メートル下から奈良時代の瓦が多く出土し、鋳造を管理した役所的な建物があったと考えられている。

見どころ:寺の境内に残る史跡標柱

長門鋳銭所跡の中心は、黄檗宗の寺院である覚苑寺の境内とその周辺である。境内には史跡の標柱が立ち、ここが奈良の都の貨幣と同じ和同開珎を造った場所であることを示している。

地表に目立つ遺構はない。見るべきは地形と地名である。覚苑寺によると、寺の裏山は古くは鋳銭坊とも呼ばれ、境内に接する細い道には火除け路という名が今も残る。炉の火を扱った工房の記憶が、名前として土地に残っていることになる。

長門鋳銭所跡の見学方法

長門鋳銭所跡は覚苑寺の境内一帯にあり、見学の料金や時間について公式の案内は見当たらない。寺の境内なので、参拝者や法要の妨げにならないよう静かに見学したい。

山口県の観光サイトによると、JR長府駅からバスで約10分、または下関駅からバスで約23分の「城下町長府」で降り、徒歩約15分。車では中国自動車道の下関インターチェンジから約20分である。問い合わせ先は下関市観光政策課(083-231-1350)とされている。

Q&A

Q長門鋳銭所跡とはどのような場所ですか?
A奈良時代に長門国で銭貨を鋳造した工房の跡です。和同開珎や、その鋳型である銭笵、坩堝などが出土しています。昭和4年(1929年)に国の史跡に指定されました。
Q長門鋳銭所ではいつごろ銭が造られていましたか?
A山口県の観光サイトは、和銅年間(708〜715年)に開設され、天長2年(825年)に廃止されたと説明しています。
Q長門鋳銭所跡はどこにありますか?
A山口県下関市長府安養寺の覚苑寺の境内一帯です。JR長府駅または下関駅からバスで「城下町長府」まで行き、徒歩約15分です。
Q長門鋳銭所跡で近年見つかったものはありますか?
A平成22年(2010年)に、覚苑寺の南約50メートルの住宅地で大量の木簡が出土しました。周防国の銅が長門国へ送られて銭の鋳造に使われたことを裏づける内容とされています。
Q長門鋳銭所跡の読み方は?
A文化庁は「ながとのじゅぜんしょあと」としています。覚苑寺は「ながとちゅうせんしょあと」とも記しています。

基本情報

名称長門鋳銭所跡(ながとのじゅぜんしょあと)
所在地山口県下関市長府安養寺(覚苑寺境内一帯)
指定区分史跡
指定年昭和4年(1929年)12月17日指定
員数1件
寸法地表に目立つ遺構はなし(寸法の記載なし)
所有者管理団体 下関市
公開状況寺の境内。料金・時間の公式案内なし

参考文献

文化庁 国指定文化財等データベース「長門鋳銭所跡」
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/401/2391
文化遺産オンライン「長門鋳銭所跡」
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/139314
覚苑寺「長門鋳銭所跡」
https://www.kakuonji.com/keidai/nagato.html
山口県観光サイト「長門鋳銭所跡」
https://yamaguchi-tourism.jp/spot/detail_10474.html

最終更新日: 2026.09.27