1棟の仏殿 ― 1955年に国宝
清白寺仏殿は、山梨県山梨市三ケ所にある室町時代中期の建造物で、1907年(明治40年)8月28日に重要文化財となり、1955年(昭和30年)6月22日に国宝に指定された。員数は1棟、所有は清白寺である。
構造は桁行三間、梁間三間、一重もこし付、入母屋造、檜皮葺である。年代の欄は1415年とする。
同じ寺の清白寺庫裏は2005年(平成17年)7月22日の重要文化財で、国宝指定年月日の欄は空である。江戸中期、1689年から1693年とされる。
年代の欄と解説文が、82年違う
いつのものかについて、一つの記録のなかで数字が合わない。
年代の欄は、室町中期/1415とする。
解説は、正慶二年(1333年)夢窓国師を開山として造られた、とする。
1415年と1333年で、82年の開きがある。これまで見てきた食い違いのなかで最も大きい。
浄土寺多宝塔は年代欄と再建年が10年、浄土寺本堂は18年違った。崇福寺第一峰門は文化庁と長崎市で51年違った。観心寺金堂は二つの記録が1年ずれた。
本件は82年である。解説の1333年は開山の年、年代の欄は建物の年と読めるが、記録は説明していない。本稿は両方を記す。
「関東における」と書かれるが、山梨県である
評価の一文に、地域の呼び方が現れる。
関東における禅宗建築の傑作、とある。
ところが所在地は山梨県山梨市である。文化遺産オンラインの地域欄も、中部と分類している。
評価文は関東、分類は中部、所在は山梨県。三つが揃っていない。
不動院金堂は中世禅宗仏殿という範囲、浄土寺本堂は瀬戸内海沿岸諸地方という範囲を示していた。範囲の示し方は物件ごとに違う。
本件は、示された範囲と分類上の地域が一致しない。記録は理由を書いていない。本稿は評価文をそのまま引き、所在は山梨県と記す。
火災で、仏殿だけが焼け残った
寺の歴史について、庫裏の記録が伝える。
天和二年(1682年)の火災で、仏殿を残して堂塔が焼失した、とある。
一棟だけが残り、他はすべて焼けた。いま国宝となっているのは、その残った一棟である。
浄土寺では、1325年の火災で多宝塔と本堂の二棟とも焼け、それぞれ再建された。焼けたものが建て直された例である。
本件は逆で、焼けなかったものが残っている。
庫裏についても、現存する庫裏は、この火災後、元禄二〜六年(1689〜1693年)の間に再建されたと考えられる、とある。仏殿は1415年、庫裏は1689年からの再建で、270年ほど離れている。
参拝
所在は山梨県山梨市三ケ所で、所有は清白寺である。境内に建つ建物であり、外観は参拝の際に見ることができる。
境内の配置も記される。南から、総門、鐘楼門、仏殿、本堂が一線上に建ち、本堂東に庫裏がある、とある。
庫裏の寸法は、桁行17.5m、梁間12.2mと記される。仏殿が間で記されるのに対し、庫裏はメートルである。同じ寺で単位が違う。
庫裏の評価は、規模が大きく整然とした平面構成をもち、内部も瀟洒な座敷や豪放な架構を現した土間廻りなど見るべきところがあり、高い価値がある、とされる。
内部の拝観については寺の定めによる。訪問前に確認したい。
Q&A
- 清白寺仏殿はいつ指定されましたか。
- 1907年(明治40年)8月28日に重要文化財、1955年(昭和30年)6月22日に国宝へ指定されました。員数は1棟、所在は山梨県山梨市三ケ所、所有は清白寺です。
- いつ建てられたのですか。
- 記録のなかで数字が合いません。年代の欄は1415年とし、解説は「正慶二年(1333年)夢窓国師を開山として造られた」とします。82年の開きがあり、本稿は両方を記しています。
- 「関東における」とあるのはなぜですか。
- 記録は理由を書いていません。評価文は「関東における禅宗建築の傑作」とし、所在は山梨県、分類上の地域欄は中部とされ、三つが揃っていません。
- 火災に遭ったのですか。
- 寺は遭っています。庫裏の記録は「天和二年(1682年)の火災で、仏殿を残して堂塔が焼失した」と記します。仏殿だけが焼け残り、いま国宝となっているのはその一棟です。
- 同じ寺に他の文化財はありますか。
- あります。清白寺庫裏が2005年(平成17年)7月22日の重要文化財です。火災後の1689年から1693年の間に再建されたと考えられており、仏殿とは270年ほど離れています。
基本情報
| 名称 | 清白寺仏殿(せいはくじぶつでん)/同じ寺の清白寺庫裏は重要文化財 |
|---|---|
| 所在地 | 山梨県山梨市三ケ所 |
| 指定区分 | 国宝(建造物・宗教建築)/分類上の地域は中部だが、評価文は関東における傑作とする |
| 指定年 | 1907年(明治40年)8月28日 重要文化財/1955年(昭和30年)6月22日 国宝 |
| 員数 | 1棟 |
| 寸法 | 桁行3間、梁間3間、一重もこし付、入母屋造、檜皮葺。年代の欄は1415年とするが、解説は1333年に夢窓国師を開山として造られたとする。時代は室町中期 |
| 所有者 | 清白寺 |
| 公開状況 | 境内に建つ建物で、外観は参拝の際に見ることができる。内部の拝観は寺の定めによる |
参考文献
- 文化遺産オンライン 清白寺仏殿
- https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/155405
- 文化遺産オンライン 清白寺庫裏
- https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/149111
- 山梨市 文化財
- https://www.city.yamanashi.yamanashi.jp/site/cultural-assets/7835.html
- 清白寺 公式サイト
- https://seihakuji.com/
最終更新日: 2026.09.06