名古屋市公会堂とは

名古屋市公会堂(なごやしこうかいどう)は、愛知県名古屋市昭和区の鶴舞公園内に建つ昭和5年(1930年)竣工の公会堂建築で、令和2年(2020年)に国の登録有形文化財(建造物)に登録された。昭和天皇の御成婚を記念する名古屋市の事業として計画され、設計は名古屋市建築課、施工は大林組、大阪鉄工所、清水組などが分担した。

構造は鉄骨鉄筋コンクリート造で、地上4階地下1階建。建築面積は2,765平方メートル、延べ面積は11,652平方メートルにおよぶ。鉄骨鉄筋コンクリート造がまだ新しい工法だった時期の作例で、文化庁はこれを初期の鉄骨鉄筋コンクリート造建築と位置づけている。

令和6年(2024年)4月からはネーミングライツにより「岡谷鋼機名古屋公会堂」の愛称が使われている。契約は2029年までで、建物の名称そのものが変わったわけではない。

御成婚記念事業から登録有形文化財まで

建設が決まったのは大正13年(1924年)1月。昭和2年(1927年)4月に起工し、昭和5年(1930年)9月に完成、同年10月10日に開館した。鶴舞公園は明治42年(1909年)に開かれた公園で、噴水塔と奏楽堂が東西の軸を作っていた。名古屋市公会堂はその軸と直交するように噴水塔の北へ据えられ、公園に南北の軸を与えている。位置の決め方からして、公園全体の構成に組み込む意図があった。

開館後の歩みは平坦ではない。第二次世界大戦中は高射第二師団の司令部が置かれ、公会堂としての機能は止まった。戦後は連合軍に接収され、兵士専用の劇場として使われる。名古屋市の管理に戻ったのは昭和31年(1956年)2月である。戦災そのものは免れた。

その後、昭和33年(1958年)に玄関庇の復旧や連結椅子の整備、冷暖房の吹出口設置が行われ、昭和55年(1980年)には市制90年の記念事業として外部タイルの部分補修とエレベーターの取替えが実施された。平成31年(2019年)には耐震補強を含む大改修が完了している。度重なる改修を経ながら創建時の姿を大きく損なわずに残したことが評価され、令和2年(2020年)に登録有形文化財となった。登録基準は「造形の規範となっているもの」、登録番号は23-0548。名古屋市の景観施策の側では、平成元年(1989年)に都市景観重要建築物、令和2年(2020年)に景観重要建造物にも指定されている。

ロマネスク風の外観と、鶴の羽根の浮彫

名古屋市公会堂の外壁はこげ茶色のタイルで仕上げられている。全体は直線を基調としながら、建物の隅は丸みを帯びる。最上階には円形アーチの窓が並び、半円形の開口とあわせてロマネスク風の表情を作る。角を落とした量塊と半円アーチという組み合わせは、昭和初期の公共建築が好んだ手法だが、茶系で統一した色調のおかげで重さより落ち着きが先に立つ。

近づいたときに見てほしいのは正面入口の両脇である。塔屋の上部に、鶴の羽根をかたどった模様が浮彫りされている。鶴舞という地名にちなんだ意匠で、遠目には分かりにくい。名古屋市公会堂の前に立ったら、いったん足を止めて見上げるとよい。正面玄関には登録有形文化財であることを示す銘板も設置されている。

内部の中心は1階から3階まで抜ける三層吹抜の大ホールで、その周囲に各階の集会室や和室、4階ホール、特別室が配される。平成31年(2019年)の改修では、1階ロビーの床に開館当時のモザイクタイルが再現された。館内には公会堂の歴史を紹介する展示コーナーもあり、年表や開館当時をしのぶ品が並ぶ。

見学方法とアクセス

名古屋市公会堂は現役の貸館施設である。博物館のような常時公開の見学制度はなく、館内に入る一般的な機会は、大ホールや4階ホールで開かれる催しに来場することになる。催事の予定は公会堂の公式サイトで公開されている。ロビーの展示コーナーもこの機会に見ておきたい。

施設としての使用時間は午前9時から午後9時30分まで。休館は12月29日から1月3日で、このほか保守点検のために一部施設が使えない日が月に2日ほどある。集会室や和室、特別室を借りる場合は窓口、ウェブの専用フォーム、ファクス、メールのいずれかで申し込む。大ホールは使用予定日の12か月前、4階ホールは6か月前、集会室は3か月前の、それぞれ月の最初の平日から受付が始まる。

撮影については注意が要る。名古屋市公会堂の利用案内は、館内または敷地内での写真等の撮影について、規定の条件の範囲内で行えるものの事前に所定の書式による申請が必要としている。催事の主催者として撮影を予定する場合は、あらかじめ公会堂へ相談してほしい。

アクセスは地下鉄鶴舞線の鶴舞駅4番出口から徒歩2分、JR中央本線の鶴舞駅公園口からも徒歩2分。市バスは鶴舞公園停留所から徒歩3分である。名古屋市公会堂に専用駐車場はなく、周囲の鶴舞公園駐車場(有料)などを使うことになるが、土日祝を中心に満車になりやすい。なお建物は名古屋市の指定緊急避難場所および指定避難所に指定されており、震度5強以上の地震などの際には避難所としての機能が優先される。

Q&A

Q名古屋市公会堂は見学できますか。館内に入れますか。
A名古屋市公会堂は現役の貸館施設で、常時公開の見学制度はありません。館内に入るには大ホールや4階ホールなどで開かれる催しに来場するのが一般的です。館内には公会堂の歴史を紹介する展示コーナーがあります。
Q名古屋市公会堂はいつ建てられ、いつ登録有形文化財になりましたか。
A昭和2年(1927年)に起工し、昭和5年(1930年)に完成して同年10月に開館しました。国の登録有形文化財(建造物)に登録されたのは令和2年(2020年)で、登録番号は23-0548です。
Q名古屋市公会堂と「岡谷鋼機名古屋公会堂」は同じ建物ですか。
A同じ建物です。令和6年(2024年)4月からネーミングライツにより「岡谷鋼機名古屋公会堂」の愛称が使われています。契約は2029年までで、名古屋市公会堂という施設名が変わったわけではありません。
Q名古屋市公会堂の館内で写真撮影はできますか。
A利用案内では、館内または敷地内での写真等の撮影は規定の条件の範囲内で行えるものの、事前に所定の書式による申請が必要とされています。催事に伴う撮影を予定している場合は、あらかじめ公会堂に相談してください。
Q名古屋市公会堂へのアクセスと駐車場を教えてください。
A地下鉄鶴舞線の鶴舞駅4番出口から徒歩2分、JR中央本線の鶴舞駅公園口から徒歩2分、市バス鶴舞公園停留所から徒歩3分です。専用駐車場はなく、有料の鶴舞公園駐車場などを利用しますが、土日祝を中心に満車になりやすい点に注意してください。

基本情報

名称名古屋市公会堂
所在地愛知県名古屋市昭和区鶴舞1丁目101
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年令和2年(2020年)登録
員数1棟
寸法鉄骨鉄筋コンクリート造地上4階地下1階建、建築面積2,765平方メートル
所有者名古屋市
公開状況催事開催時に入場可。貸館施設のため常時公開はしていない

参考文献

国指定文化財等データベース 名古屋市公会堂(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00013401
名古屋市公会堂(文化遺産オンライン)
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/443716
施設の概要(岡谷鋼機名古屋公会堂)
https://nagoyashi-kokaido.hall-info.jp/about/
名古屋市公会堂が国登録有形文化財(建造物)に登録されました(岡谷鋼機名古屋公会堂)
https://nagoyashi-kokaido.hall-info.jp/oshirase/0321.html
利用案内(岡谷鋼機名古屋公会堂)
https://nagoyashi-kokaido.hall-info.jp/service/
交通アクセス(岡谷鋼機名古屋公会堂)
https://nagoyashi-kokaido.hall-info.jp/access/

最終更新日: 2026.09.02