裏口として置かれた門と、55メートルの塀
名古屋大学医学部附属病院門及び外塀(旧愛知県立愛知病院通用門及び外塀)は、名古屋市昭和区鶴舞町の鶴舞キャンパス南東部に建つ大正後期の門と塀で、平成19年(2007年)に国の登録有形文化財となった。文化庁データベースは建設年代を1912年から1925年の間とし、昭和5年(1930年)に改修されたと記す。
南側道路に並ぶ3つの門のうち、いちばん東にあたる。西の2つは正門で、こちらは通用門、つまり日常の出入りや物資の搬入に使う裏口として置かれた。間口は7.4メートルと正門より広く、門柱は2基である。
鶴舞キャンパスの東南部は、大正9年(1920年)に愛知県立医学専門学校が愛知医科大学へ昇格したあとの整備によるとされる。愛知県教育委員会の解説は、この通用門と塀もそれ以降の建設と見ている。大正3年(1914年)に完成した正門より一世代あとの構築物ということになる。
塀の総延長は55メートル。3件のうち群を抜いて長く、通用門の東側にはさらに往時の塀が残る。
登録の理由は材料の質にある
名古屋大学医学部附属病院門及び外塀(旧愛知県立愛知病院通用門及び外塀)は平成19年(2007年)10月2日に登録され、同月22日に告示された。登録番号は23-0248で、基準は「造形の規範となっているもの」である。
3件のうち、この通用門だけは評価の言葉が材料に向いている。文化庁の解説文は、タイルに釉薬が施されていること、デザインの感覚とともに材料の品質もよいことを挙げる。テラコッタの装飾についても、立体的で幾何学的な意匠だと具体的に述べている。門柱と塀が同じ意匠でそろい、そのそろい方が長い距離にわたって続く点が、この登録有形文化財の芯にある。
構造の記述には食い違いがある。文化庁データベースの構造欄は門柱を石造とするが、同じデータベースの解説文と愛知県教育委員会の解説はいずれも門柱・塀とも煉瓦造としている。いずれの資料も、表面が昭和5年(1930年)にスクラッチタイルとテラコッタで仕上げ直された点では一致する。
釉薬のかかった面を見る
正門2つを見たあとにここへ来ると、面の光り方が違うことに気づく。釉薬をかけたスクラッチタイルは、無釉のものより表面が硬く、光を反射する。曇りの日でも縦筋の縁がわずかに白く立つ。
塀は一定の間隔で柱型を立て、その間を壁でつなぐ。柱型の角にはめ込まれたテラコッタは、四角と段を組み合わせた形を上へ向かって繰り返す。平面的な模様ではなく、影が落ちる厚みを持たせてある。昭和初期の愛知県営繕課が表現主義の造形に寄っていた時期の仕事である。
この意匠が55メートル続く。門柱から数えて、いくつ柱型が並ぶかを目で追ってみるとよい。同じ単位の反復が距離を持ったとき、装飾がリズムに変わる。
脇門のまわりの塀も、他の2件と同じ意匠でそろえられている。通用門の門柱の意匠が塀と同じであることから、両者はほぼ同時期のものと考えられている。
見学の方法
名古屋大学医学部附属病院門及び外塀(旧愛知県立愛知病院通用門及び外塀)は公道に面しており、時間の制限なく歩道から見学できる。無料で、申し込みも要らない。門の内側は稼働中の病院の敷地なので、見学は外観に限られる。
撮影は歩道からであれば妨げられない。敷地の内側では、患者や職員が写り込む撮影を避けたい。取材や商業目的の撮影は名古屋大学の窓口へ申し込む。
最寄り駅はJR中央本線の鶴舞駅と名古屋市営地下鉄鶴舞線の鶴舞駅で、いずれも徒歩5分。3件のうちこの通用門がいちばん東にあるため、鶴舞駅から歩くと最後にたどり着く。見学者用の駐車場はない。
長い塀を写真に収めるなら、鶴舞公園側の歩道から斜めに構えると全体が入る。西日が当たる時間帯は釉薬の反射が強く出る。
Q&A
- 名古屋大学医学部附属病院門及び外塀(旧愛知県立愛知病院通用門及び外塀)は見学できますか。予約は必要ですか。
- 公道に面しているため、時間の制限なく歩道から無料で見学できます。予約は要りません。門の内側は稼働中の病院の敷地ですので、外観の見学になります。
- 旧愛知県立愛知病院通用門及び外塀は正門とどう違いますか。
- 通用門は日常の出入りや搬入に使う門で、間口7.4メートルと正門より広く、門柱は2基です。塀の総延長は55メートルあり、正門2件の16メートルよりずっと長く続きます。
- 旧愛知県立愛知病院通用門及び外塀はいつ建てられましたか。
- 文化庁データベースは大正後期、1912年から1925年の間の建設とし、昭和5年(1930年)の改修を記します。愛知県教育委員会は、大正9年(1920年)の愛知医科大学昇格後の整備によるものと見ています。
- 名古屋大学医学部附属病院門及び外塀(旧愛知県立愛知病院通用門及び外塀)の見どころはどこですか。
- 釉薬をかけたスクラッチタイルの面と、柱型の角に入る幾何学的なテラコッタです。同じ意匠が55メートル続くので、反復のリズムが見どころになります。
- 旧愛知県立愛知病院通用門及び外塀への行き方を教えてください。
- JR中央本線の鶴舞駅、または名古屋市営地下鉄鶴舞線の鶴舞駅から徒歩5分です。鶴舞公園の北側の道路を東へ進むと、3つの門のうち最後に現れます。見学者用の駐車場はありません。
基本データ
| 名称 | 名古屋大学医学部附属病院門及び外塀(旧愛知県立愛知病院通用門及び外塀) |
|---|---|
| 所在地 | 愛知県名古屋市昭和区鶴舞町65 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物) |
| 指定年 | 平成19年(2007年)登録 |
| 員数 | 1基 |
| 寸法 | 門 門柱2基、間口7.4メートル/塀 総延長55メートル |
| 所有者 | 国立大学法人名古屋大学 |
| 公開状況 | 公道から外観を常時見学可、無料 |
参考文献
- 国指定文化財等データベース 名古屋大学医学部附属病院門及び外塀(旧愛知県立愛知病院通用門及び外塀)(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00006373
- 文化遺産オンライン 名古屋大学医学部附属病院門及び外塀(旧愛知県立愛知病院通用門及び外塀)(文化庁)
- https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/182586
- 文化財ナビ愛知 名古屋大学医学部附属病院門及び外塀(愛知県教育委員会)
- https://www.pref.aichi.jp/kyoiku/bunka/bunkazainavi/yukei/kenzoubutu/kunitouroku/1265-1267.html
- 交通アクセス(名古屋大学)
- https://www.nagoya-u.ac.jp/contact/directions.html
- 鶴舞キャンパスマップ(名古屋大学大学院医学系研究科・医学部医学科)
- https://www.med.nagoya-u.ac.jp/medical_J/access/tsurumai-campus/
最終更新日: 2026.09.02