大正3年に開いた学校の正門
名古屋大学医学部附属病院門及び外塀(旧愛知県立医学専門学校正門及び外塀)は、名古屋市昭和区鶴舞町の鶴舞キャンパス南辺に建つ大正3年(1914年)の門と塀で、平成19年(2007年)に国の登録有形文化財となった。道路を挟んだ向かいは鶴舞公園である。
もとは堀川のほとりにあった。愛知県立医学専門学校と県立愛知病院は敷地が手狭になり、明治41年(1908年)の愛知県会で移転が決まる。新しい敷地は東側に病院、西側に学校を置く計画で、鶴舞公園の北へ移る工事は大正3年(1914年)に完了した。設計にあたったのは西原吉治郎を中心とする愛知県営繕課の職員である。
門柱は花崗岩の方柱で、高さは約3.2メートル。柱礎、柱身、柱頭の3つの部分からなり、中央の2基は頭部をアーチでつなぐ。愛知県教育委員会の解説によれば、この中央2本が当初のままの部材である。
学校のほうは大正9年(1920年)に愛知医科大学へ昇格し、官立名古屋医科大学を経て、昭和14年(1939年)に名古屋帝国大学医学部となった。戦後は名古屋大学医学部である。校名は4度変わり、校舎は建て替えられた。門と塀だけが場所を動いていない。
なぜ登録されたのか
登録の基準は「造形の規範となっているもの」である。名古屋大学医学部附属病院門及び外塀(旧愛知県立医学専門学校正門及び外塀)は平成19年(2007年)10月2日に登録され、同月22日に告示された。登録番号は23-0246。登録有形文化財は届出を基本とするゆるやかな保護のしくみで、所有者が使い続けながら守る建物に向いている。
評価の芯にあるのは、ひとつの構築物に2つの時代が重なっている点である。塀は大正の煉瓦造として築かれ、昭和5年(1930年)にスクラッチタイルとテラコッタで表面を改めた。骨格は大正、肌は昭和という順序が、外から見ても読み取れる。
官公庁の営繕組織が設計した近代の門と塀が、道路沿いにまとまって残る例は多くない。平成11年(1999年)にも手が入っているが、意匠の骨格は保たれている。
石とタイルを見分ける
近づくと、門柱と塀で手ざわりがはっきり違う。門柱の花崗岩は結晶が粗く、雨に濡れると灰色が濃くなる。塀の面はこまかい縦筋の入ったタイルで覆われ、光の角度によって縞が浮いたり沈んだりする。
塀は一定の間隔で柱型を立て、その間を壁でつなぐ形式をとる。柱型の角には焼物のテラコッタがはめ込まれている。幾何学的な形を繰り返す装飾で、愛知県営繕課が昭和初期に好んだ表現主義寄りの意匠を示している。
この門は南側道路に並ぶ3つの門のうち、いちばん西に位置する。東隣にある旧愛知県立愛知病院正門及び外塀はほぼ同じ意匠で、さらに東へ進むと通用門と長い塀が続く。3つを西から東へ順に歩くと、大正の学校用地と病院用地の境目がどこにあったかが地面の上で追える。
足を止めるなら、中央2基のアーチの下がよい。頭上の石は110年ぶんの雨を受けてきたものである。
見学の方法
門と塀は公道に面しており、いつでも歩道から見学できる。料金はかからず、申し込みも要らない。名古屋大学医学部附属病院門及び外塀(旧愛知県立医学専門学校正門及び外塀)は現役の病院の外周にあたるため、内部の見学という形はとらない。
撮影は歩道からであれば妨げられない。ただし敷地の内側は診療の場であり、患者や職員が写り込む撮影は控えたい。取材や商業目的の撮影は、名古屋大学が窓口を設けている。
最寄り駅はJR中央本線の鶴舞駅と名古屋市営地下鉄鶴舞線の鶴舞駅で、いずれも徒歩5分。鶴舞駅の名大病院口から出ると南側道路に近い。見学者用の駐車場はないので、公共交通機関で向かうことになる。
塀の全体を眺めるなら、鶴舞公園側の歩道に渡ってから振り返る。桜の季節は公園側の人出が多く、正面からの視界が開けるのは朝の早い時間帯である。
Q&A
- 名古屋大学医学部附属病院門及び外塀(旧愛知県立医学専門学校正門及び外塀)は見学できますか。料金や予約は必要ですか。
- 公道に面しているため、時間の制限なく歩道から見学できます。料金は無料で、予約も必要ありません。門の内側は名古屋大学医学部附属病院の敷地なので、外観の見学になります。
- 旧愛知県立医学専門学校正門及び外塀へのアクセスと最寄り駅からの所要時間は。
- JR中央本線の鶴舞駅、または名古屋市営地下鉄鶴舞線の鶴舞駅から徒歩5分です。鶴舞駅の名大病院口を出て、鶴舞公園の北側の道路へ向かうと正面に見えます。見学者用の駐車場はありません。
- 旧愛知県立医学専門学校正門及び外塀はいつ建てられ、いつ登録されましたか。
- 門は大正3年(1914年)の建設で、塀は昭和5年(1930年)にスクラッチタイルとテラコッタで改修されました。平成19年(2007年)10月2日に登録有形文化財となっています。
- 名古屋大学医学部附属病院門及び外塀(旧愛知県立医学専門学校正門及び外塀)は撮影してもよいですか。
- 歩道からの撮影に制限はありません。敷地の内側は診療の場ですので、患者や職員が写り込む撮影は避けてください。取材や商業目的の撮影は名古屋大学の窓口へ申し込みます。
- 鶴舞キャンパスの南側に門が3つ並んでいるのはなぜですか。
- 大正3年(1914年)の移転計画で、東側に県立愛知病院、西側に県立医学専門学校を置いたためです。西からこの学校の正門、病院の正門、病院の通用門が並び、3件それぞれが登録有形文化財になっています。
基本データ
| 名称 | 名古屋大学医学部附属病院門及び外塀(旧愛知県立医学専門学校正門及び外塀) |
|---|---|
| 所在地 | 愛知県名古屋市昭和区鶴舞町65 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物) |
| 指定年 | 平成19年(2007年)登録 |
| 員数 | 1基 |
| 寸法 | 門 石造門柱2基、間口4.2メートル/塀 煉瓦造、総延長16メートル |
| 所有者 | 国立大学法人名古屋大学 |
| 公開状況 | 公道から外観を常時見学可、無料 |
参考文献
- 国指定文化財等データベース 名古屋大学医学部附属病院門及び外塀(旧愛知県立医学専門学校正門及び外塀)(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00006336
- 文化遺産オンライン 名古屋大学医学部附属病院門及び外塀(旧愛知県立医学専門学校正門及び外塀)(文化庁)
- https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/197329
- 文化財ナビ愛知 名古屋大学医学部附属病院門及び外塀(愛知県教育委員会)
- https://www.pref.aichi.jp/kyoiku/bunka/bunkazainavi/yukei/kenzoubutu/kunitouroku/1265-1267.html
- 交通アクセス(名古屋大学)
- https://www.nagoya-u.ac.jp/contact/directions.html
- 取材、撮影を希望の方へ(名古屋大学)
- https://www.nagoya-u.ac.jp/about-nu/public-relations/outside/index.html
最終更新日: 2026.09.02