徳川美術館南収蔵庫とは
徳川美術館南収蔵庫は、名古屋市東区徳川町にある昭和10年(1935年)竣工の収蔵施設で、平成9年(1997年)に登録有形文化財(建造物)へ登録された。美術館の展示棟である本館の西側に接して建ち、所蔵品を保管するために設けられた建物である。
構造は鉄筋コンクリート造2階建、建築面積は250平方メートル。屋根は切妻造で本瓦葺とする。文化庁の解説によれば、開口部がほとんど設けられておらず、柱や梁を外に見せない大壁造のような壁面になっている。
設計と施工の経緯は本館と共通する。設計競技の1等案をもとに吉本与志雄が実施設計を行い、施工は竹中工務店が担当した。本館が506平方メートル、徳川美術館南収蔵庫が250平方メートルで、展示と収蔵にほぼ2対1の床面積が割かれた計算になる。
徳川美術館南収蔵庫が登録された理由
徳川美術館南収蔵庫の登録基準は「造形の規範となっているもの」である。登録番号は23-0004、登録有形文化財の制度が始まって3回目の登録にあたり、隣接する本館(23-0003)と同じ平成9年(1997年)6月12日に登録された。
評価されているのは、収蔵という機能がそのまま外観になっている点である。窓を開けないという判断は、光と湿度から所蔵品を守るために下されたもので、その結果として生まれた無開口の壁面が、本館の重厚な意匠と無理なくつながっている。文化庁の解説も、徳川美術館南収蔵庫が本館に接続し、ともに重厚な外観を構成していることを挙げる。
収蔵庫は、美術館建築のなかでもっとも来館者の目に触れにくい部分である。それが展示棟と同格で登録されているところに、この2棟が一組の近代美術館として捉えられたことがあらわれている。昭和10年(1935年)の開館時から専用の鉄筋コンクリート造収蔵庫を備えていた点は、徳川美術館南収蔵庫の来歴を考えるうえで押さえておきたい。
徳川美術館南収蔵庫の見どころ
徳川美術館南収蔵庫の外観は、装飾を求めて見ると肩透かしを食う。壁がほとんど連続していて、目を留めるべき開口部がないからである。
そこがこの建物の要点にあたる。壁面には柱の輪郭も梁の線も出てこない。屋根だけが切妻造の勾配を持ち、本瓦葺の重い瓦が載る。丸瓦と平瓦を組む本瓦葺は、桟瓦より重いぶん厚みのある陰影を作る。壁が語らないぶん、屋根の稜線が建物の輪郭を決めている。
本館との接続部も見どころのひとつである。徳川美術館南収蔵庫は本館の西側にあり、2棟は切れ目なく続く。片方は人を招き入れ、片方は人を入れない建物だが、外から見るかぎり、瓦屋根と厚い壁の連なりとして一続きに読める。
2階建という点にも触れておきたい。棚を高く積むより階を分けるという選択は、収蔵品の出し入れと管理のしやすさに関わる。建築面積250平方メートルという数字は床面積ではないため、実際に使える収蔵空間はこれよりも広い。
徳川美術館南収蔵庫の見学方法
徳川美術館南収蔵庫は収蔵施設のため、内部は公開されていない。展示室ではないので、入館しても中に入る順路はない。文化庁の解説にあるとおり本館に接続しているので、建物の外観は本館とひと続きの姿として捉えることになる。
本館の展示室を見学する場合は、美術館の入館料が必要になる。開館時間は午前10時から午後5時まで、入館は午後4時30分まで。休館日は月曜日で、祝日や振替休日にあたるときは直後の平日が休みになる。入館料は徳川美術館と名古屋市蓬左文庫の共通で、一般2,000円、高校生と大学生は1,200円、小学生と中学生は無料である。
撮影については、展示室内であればスマートフォン、タブレット端末、コンパクトカメラを使える。一部に撮影できない作品があり、展示室入口の掲示で確認する。
最寄り駅はJR中央線の大曽根駅で、南出口から徒歩約10分。地下鉄名城線の大曽根駅からはE5番出口を使って徒歩約15分。市営バスと名鉄バスは「徳川園新出来」停留所が近く、下車して徒歩約3分である。
Q&A
- 徳川美術館南収蔵庫の中を見学することはできますか?
- 内部は公開されていません。所蔵品を保管する収蔵施設であり、展示室ではないため見学の順路が設けられていません。
- 徳川美術館南収蔵庫はいつ建てられ、いつ登録有形文化財になりましたか?
- 昭和10年(1935年)の竣工です。登録有形文化財への登録は平成9年(1997年)6月12日で、登録番号は23-0004、隣接する本館と同じ日の登録です。
- 徳川美術館南収蔵庫はどのような構造と大きさですか?
- 鉄筋コンクリート造2階建で、建築面積は250平方メートルです。屋根は切妻造の本瓦葺で、壁面には開口部がほとんどありません。
- 徳川美術館南収蔵庫と本館の関係は?
- 南収蔵庫は本館の西側に接続しています。設計者は吉本与志雄、施工は竹中工務店で、いずれも本館と共通し、外観もひと続きに構成されています。
- 徳川美術館南収蔵庫へはどう行けばよいですか。最寄り駅からの所要時間は?
- JR中央線の大曽根駅南出口から徒歩約10分です。地下鉄名城線の大曽根駅E5番出口からは徒歩約15分、市営バスまたは名鉄バスの「徳川園新出来」停留所からは徒歩約3分です。
基本情報
| 名称 | 徳川美術館南収蔵庫 |
|---|---|
| 所在地 | 愛知県名古屋市東区徳川町1017 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物) |
| 指定年 | 平成9年(1997年)登録 |
| 員数 | 1棟 |
| 寸法 | 建築面積250平方メートル、鉄筋コンクリート造2階建、瓦葺 |
| 所有者 | 財団法人徳川黎明会 |
| 公開状況 | 内部非公開(収蔵施設) |
参考文献
- 国指定文化財等データベース 徳川美術館南収蔵庫(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00000213
- 国指定文化財等データベース 徳川美術館本館(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00000212
- 来館のご案内(徳川美術館)
- https://www.tokugawa-art-museum.jp/visitor-information/
- 国登録文化財(名古屋市)
- https://www.city.nagoya.jp/kankou/rekishi/1017268/1034462/1017208.html
最終更新日: 2026.09.02