渡辺彦兵衛商店上蔵とは

渡辺彦兵衛商店上蔵は、秋田県南秋田郡五城目町字下タ町にある18世紀末の酒蔵の土蔵で、平成8年(1996年)12月20日に国の登録有形文化財(建造物)となった(文化庁)。読みは「わたなべひこべえしょうてんかみぐら」。

文化庁の記録では、土蔵造平屋建、鉄板葺で、建築面積284平方メートル。登録番号は05-0007である。

蔵元の福禄寿酒造は「上酒蔵」と呼んでいる。並んで登録された下蔵より年代がやや古く、この酒蔵に残る建物のなかでもっとも古い。

大正の大火に焼け残った蔵

渡辺彦兵衛商店上蔵は、下蔵とともに大正期の大火に焼け残った建物である(文化庁)。蔵元によれば、大正10年(1921年)10月の大火で町の中心部が焼け、この酒蔵も上酒蔵と下酒蔵を残してほとんどの建物を失った。

厚い土壁で包む土蔵造は、もともと火に強い造りである。周囲の建物が焼けるなかで上蔵が残ったことは、蔵が酒と蔵元の財産を守る建物として建てられたことをよく表している。

登録有形文化財としての価値

文化庁は、内部の架構を評価している。内部に立つ太い柱(立登せ柱)は2間半(約4.5メートル)ごとに立ち、垂木は3尺(約0.9メートル)間隔で並ぶ。単純だが豪快な架構と太い部材が力強い印象を与えるという。

事務所・住宅とともに酒造りで知られた町並みのランドマークとして親しまれていることから、「国土の歴史的景観に寄与しているもの」として登録された。

見どころ

上蔵の見どころは内部の架構にある。約4.5メートルという大きな柱間で太い柱が立ち、その上に垂木が細かく並ぶ。柱の少ない広い空間は、仕込み用の桶などを置く酒蔵の使い方にかなっている。

外から見る場合は、厚い土壁の量感と、隣の下蔵と並ぶ2棟の外壁の意匠に注目したい。文化庁によれば、下蔵の規模と外壁の意匠は上蔵とほぼ同じである。

見学について

渡辺彦兵衛商店上蔵は現役の酒造会社の蔵で、内部に入れるのは蔵見学などの機会に限られる。蔵元の公式サイトは、蔵見学を会社の事情により当面見送っていると案内している(2026年10月19日確認)。見学を予定する場合は事前に蔵元へ問い合わせたい。

Q&A

Q渡辺彦兵衛商店上蔵はいつ建てられましたか?
A文化庁は18世紀末の建築としています。同じ敷地の下蔵より少し古いと考えられています。
Q渡辺彦兵衛商店上蔵はなぜ大正の大火で焼け残ったのですか?
A厚い土壁で包んだ土蔵造で、火に強い造りだったためと考えられます。蔵元によれば、大正10年(1921年)の大火で残ったのは上酒蔵と下酒蔵の2棟でした。
Q渡辺彦兵衛商店上蔵の見どころは?
A2間半(約4.5メートル)ごとに立つ太い柱と3尺(約0.9メートル)間隔の垂木による、単純で豪快な内部の架構です(文化庁)。
Q渡辺彦兵衛商店上蔵の内部は見学できますか?
A蔵元の公式サイトは蔵見学を当面見送っていると案内しています(2026年10月19日確認)。事前に蔵元へ問い合わせてください。
Q渡辺彦兵衛商店上蔵が登録有形文化財になったのはいつですか?
A平成8年(1996年)12月20日です(文化庁)。

基本情報

名称渡辺彦兵衛商店上蔵(わたなべひこべえしょうてんかみぐら)
所在地秋田県南秋田郡五城目町字下タ町48
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年平成8年(1996年)12月20日登録
員数1棟
寸法土蔵造平屋建、鉄板葺、建築面積284㎡
所有者株式会社渡辺彦兵衛商店(平成16年(2004年)に福禄寿酒造株式会社へ社名変更)
公開状況現役の酒蔵(蔵見学は当面休止と蔵元が案内)

参考文献

渡辺彦兵衛商店上蔵(国指定文化財等データベース)
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00000017
渡辺彦兵衛商店上蔵(文化遺産オンライン)
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/113097
福禄寿酒造の歴史(福禄寿酒造株式会社)
https://fukurokuju.jp/history/
酒造見学(福禄寿酒造株式会社)
https://fukurokuju.jp/brewery/

最終更新日: 2026.10.19