本丸最大の門

松山城筒井門は、愛媛県松山市丸之内にある松山城本丸下段の正門にあたる一重の櫓門で、2022年6月29日に登録有形文化財に登録された昭和期の復元建造物である。

建築面積52平方メートル。城内で最大の門で、左右を石垣に挟まれ、本柱間の戸口に脇戸を添える。門の上には櫓の階が載り、そこから東続櫓と西続櫓が左右に延びる。三棟が一続きになって、登城路を横切る壁を形づくっている。

昭和24年(1949年)まで建っていた門は、放火で失われた。城の言い伝えでは、慶長7年(1602年)に築城を始めた加藤嘉明が、前の居城である正木城から重要な櫓や門を移築したとされ、本丸最大の筒井門もその一つに数えられる。ただしこれは伝承であって記録ではなく、松山城総合事務所も「伝えられています」という書き方をしている。確かなのは、現在の建物が昭和46年(1971年)3月に竣工した木造復元だということである。

2022年に登録された理由

松山城の21棟が受ける重要文化財の指定は、無傷で伝わった建造物だけを対象とする。筒井門は焼けているため、代わりに1996年創設の登録制度が適用された。国土の歴史的景観に寄与する建造物を対象とする制度である。登録は2022年6月29日。本壇の9棟から3年後、太鼓門周辺の4棟の2年前にあたる。

松山市が挙げる理由は率直に書くのがよい。築城当初のものと思われる建造物が放火で焼失した。それを松山市は、既存の資料に基づいて木造で忠実に再建した。鉄筋コンクリートが当たり前の選択肢だった時代に木造を選んだこと自体が、登録の評価対象になっている。

見どころ

南から門に正対し、櫓階の壁を見たい。太鼓壁である。太鼓の革のように壁を二重に張り、内側を詰めて鉄砲玉を止める構造をとる。そこに狭間が並ぶ。正方形が鉄砲狭間、長方形が矢狭間。そして門扉の真上、床にはスリットが切ってある。多くの人が気づかずに通り過ぎる仕掛けだ。扉に取り付いた敵を、数メートルの距離から真下に撃つためのものである。

櫓階の内部に天井はない。小屋の構造材、垂木、野地板がそのまま現しになる。この種の建物では普通の仕上げで、居住性は考えられていない。

周囲の配置も建物と同じくらい重要だ。すぐ東には隠門が建つ。慶長年間の建築と考えられる重要文化財の櫓門で、筒井門の石垣の陰に埋門形式で隠され、攻め手の背後に討って出るための構えになっている。西からは扉をもたない戸無門が敵をこちらへ誘い込む。筒井門はその漏斗が閉じる地点にあたる。

見学方法

松山城筒井門は有料区域の外にある。本丸広場と、そこへ至る登城路は無料なので、門は料金を払わずに見られ、くぐって通ることもできる。ただし開門時間が定められており、その時間帯以外は通り抜けられない。櫓階の内部は公開されていない。

行き方は二通りある。ロープウェイまたはリフトで長者ヶ平へ上がり、戸無門を経て徒歩約5分でこの門に着く。二之丸側からなら黒門口登城道で、大手門跡・戸無門・筒井門・太鼓門と石段を登って本丸広場まで徒歩約40分である。ロープウェイとリフトは共通券で往復大人520円、小人260円。その先の天守観覧は別料金で大人520円、小学生160円となる。

ロープウェイの運行は午前8時30分から午後5時30分まで、天守の開場は午前9時から午後5時までで、8月と12月・1月は時間が変わる。個人の記念撮影に制限はない。ライブ配信、ドローン、大型機材の使用は禁止され、営利目的の撮影は松山城総合事務所への事前申請が必要である。

Q&A

Q松山城筒井門を見るのに観覧券は必要ですか。
A必要ありません。本丸広場へ至る無料区域にあります。観覧券が要るのはその先の天守(本壇)です。
Q松山城筒井門の大きさはどれくらいですか。
A建築面積52平方メートルで、松山城で最大の門です。脇戸付の櫓門で、上階から東西の続櫓が延びます。
Q松山城筒井門の門扉の上にあるスリットは何ですか。
A櫓階の床に開けられた射撃用の開口です。門扉に取り付いた敵を真下に向かって攻撃するための仕掛けです。
Q松山城筒井門は他の城から移築されたのですか。
A加藤嘉明が正木城から移したと伝えられていますが、記録ではなく伝承です。現在建っているのは昭和46年(1971年)の木造復元です。
Q松山城筒井門はいつ登録されたのですか。
A2022年6月29日に、東続櫓・西続櫓とともに登録有形文化財(建造物)となりました。

基本データ

名称松山城筒井門
所在地愛媛県松山市丸之内1
指定区分登録有形文化財(建造物)
指定年2022年6月29日 登録
員数1棟
寸法木造平屋建、瓦葺、建築面積52平方メートル、脇戸付
所有者松山市
公開状況外観は無料で見学可。開門時間内は通り抜け可。櫓階の内部は非公開

参考文献

文化庁 国指定文化財等データベース「松山城筒井門」
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00014299
松山市「松山城筒井門」(国登録文化財)
https://www.city.matsuyama.ehime.jp/kanko/kankoguide/rekishibunka/bunkazai/kunitouroku/tsutsuimon.html
松山城総合事務所「建築と文化財」
https://www.matsuyamajo.jp/discover/connection.html
松山城総合事務所「アクセス・駐車場」
https://www.matsuyamajo.jp/guide/access.html

最終更新日: 2026.09.03