旧内山家住宅(大野市)とは

旧内山家住宅(大野市)は、福井県大野市城町10-7にある大野藩家老内山家ゆかりの屋敷で、明治15年(1882年)頃に建てられた主屋をはじめとする6件が、平成30年(2018年)に国の登録有形文化財に登録された。読みは「きゅううちやまけじゅうたく」。

所有者は大野市で、「武家屋敷旧内山家」の名で一般に公開されている。文化庁の解説は、旧内山家住宅の所在を旧大野城下の武家屋敷地と記す。建物は明治と大正のものだが、屋敷の構えや主屋のつくりには近世の武家住宅の格式が引き継がれている。

富山市にも同じ名称の登録文化財があるため、このサイトでは所在地を添えて「旧内山家住宅(大野市)」と呼んでいる。

内山良休・隆佐兄弟と大野藩の立て直し

天保13年(1842年)、大野藩主の土井利忠は、行き詰まった藩の財政を立て直すため「更始の令」と呼ばれる改革令を出した。大野市の説明によると、この改革の実務を担ったのが内山七郎右衛門良休と、弟の隆佐良隆である。

兄の良休は藩営の商店「大野屋」を開き、銅山の経営にも手腕を振るって、多額の借財を抱えていた藩の財政を持ち直させた。万延元年(1860年)に家老となり、廃藩後も士族の救済に力を尽くして、明治14年(1881年)に75歳で世を去った。

弟の隆佐は、蝦夷地の開拓、洋式帆船「大野丸」の建造、蘭学の振興、軍備の刷新に取り組んだ。文久3年(1863年)に家老と軍事総督を命じられたものの家老職は辞退し、翌元治元年(1864年)、52歳で病没している。

旧内山家住宅(大野市)は、この兄弟の遺業をしのぶため、後の内山家の屋敷を解体復元して保存したものである。主屋が建ったのは良休が亡くなった翌年ごろにあたり、兄弟が暮らした家そのものではない。

旧内山家住宅の6件と登録

旧内山家住宅(大野市)の6件は、平成30年(2018年)5月10日付で登録有形文化財となった。登録番号は18-187から18-192までの連番である。文化庁のデータベースに載る年代と規模は次のとおり。

  • 主屋:明治15年(1882年)頃。木造2階建、建築面積180㎡
  • 離れ:大正後期(1919〜1926年)。木造平屋建、建築面積121㎡
  • 門:明治15年(1882年)頃。木造、間口2.9m
  • 味噌蔵:明治15年(1882年)頃。土蔵造2階建、建築面積24㎡
  • 衣装蔵:明治15年(1882年)頃。土蔵造2階建、建築面積53㎡
  • 米蔵:明治15年(1882年)頃。土蔵造平屋建、建築面積30㎡

主屋・離れ・衣装蔵の3件は「造形の規範となっているもの」、門・味噌蔵・米蔵の3件は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」として登録された。屋根はどれも瓦葺である。

解体復元の工事は、データベースでは主屋と離れが平成4年(1992年)、門と3棟の蔵が平成5年(1993年)の改修とされる。大野市によると、主屋の屋根はもとは板葺だったことが、この修理の過程で判明した。

旧内山家住宅の屋敷構え

旧内山家住宅(大野市)の主屋は、敷地の中央に南を正面として建つ。その南東に離れがあり、主屋とは渡り廊下でつながる。離れは庭園の側を大きく開いたつくりで、座敷と庭が向き合う。

敷地の西寄りには、門と、その南隣の味噌蔵が並ぶ。味噌蔵の南東に衣装蔵があり、敷地の南西の隅に米蔵が建つ。衣装蔵は米蔵の北に接している。道に面した角に米蔵を据え、門と蔵で表側を固めた配置である。

大野市は、衣装蔵と米蔵が頬杖で軒先を支えるつくりを、この地方独特のものと紹介している。雪の多い大野で、深い軒が土蔵の壁を守ってきた。各棟の構造や見どころは、それぞれのページで扱っている。

旧内山家住宅の見学とアクセス

旧内山家住宅(大野市)は、大野市の施設「武家屋敷旧内山家」として公開されている。開館時間は午前9時から午後4時まで、日曜と祝日は午後5時まで。火曜日(祝日の場合はその翌日)と年末年始(12月27日から1月4日まで)、館内整理の期間は休館となる。

入館料は大人400円で、中学生以下は無料。障がいのある方と30名以上の団体は200円、購入日から1年間有効の年間パスポートは1,300円である(2026年9月確認)。

4月・5月・9月・10月の土曜・日曜・祝日には、午後1時から午後3時まで、庭を眺めながら抹茶をいただく呈茶が行われる。料金は一席500円で、入館料は別。福井県観光連盟の案内によると、建具は春から秋にかけて夏障子、冬は色鮮やかな絵障子に替えている。

撮影の可否については公式の案内が見つからなかった(2026年9月確認)。館内で撮る前に受付で確かめておきたい。

旧内山家住宅(大野市)へは、JR越美北線の越前大野駅から歩いて約15分。車なら中部縦貫自動車道の大野インターチェンジから約10分で、駐車場は19台分ある。問い合わせ先は武家屋敷旧内山家(0779-65-6122)。

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁)旧内山家住宅主屋
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00012323
国指定文化財等データベース(文化庁)旧内山家住宅離れ
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00012324
国指定文化財等データベース(文化庁)旧内山家住宅味噌蔵
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00012325
国指定文化財等データベース(文化庁)旧内山家住宅衣装蔵
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00012326
国指定文化財等データベース(文化庁)旧内山家住宅米蔵
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00012327
国指定文化財等データベース(文化庁)旧内山家住宅門
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00012328
大野市 武家屋敷旧内山家 施設紹介
https://www.city.ono.fukui.jp/kosodate/bunka-rekishi/hakubutsukan/kanko/uchiyamake/uchiyamake-1.html
大野市 武家屋敷旧内山家の呈茶について
https://www.city.ono.fukui.jp/kosodate/bunka-rekishi/hakubutsukan/kanko/uchiyamake/teicha.html
大野市 文化財一覧
https://www.city.ono.fukui.jp/kosodate/bunka-rekishi/shokai/bunkazai.html
ふくいドットコム(福井県観光連盟)武家屋敷旧内山家
https://www.fuku-e.com/spot/detail_1218.html

最終更新日: 2026.09.30

基本情報

名称旧内山家住宅(大野市)
所在地福井県大野市城町10-7
所有者大野市
指定登録有形文化財 6件
座標35.98550, 136.48664