旧サッポロビール九州工場とは
旧サッポロビール九州工場は、福岡県北九州市門司区大里本町にある大正2年(1913年)竣工のビール工場の跡で、事務所棟・醸造棟・組合棟・倉庫の4棟が平成19年(2007年)7月31日に国の登録有形文化財に登録された。現在は「門司赤煉瓦プレイス」の名で保存・活用されており、大里本町の読みは「だいりほんまち」である。
工場の前身は、明治45年(1912年)に設立された帝国麦酒株式会社である。門司の合資会社九州興業仲介所の代表社員だった山田弥八郎らが、神戸の鈴木商店の援助を受けて大里町に用地を取得し、九州で最初のビール会社を興した。大正2年(1913年)4月に工場が竣工して醸造が始まり、同じ年の7月に「サクラビール」を売り出している。
会社はその後、桜麦酒、大日本麦酒、日本麦酒、サッポロビールと名前を変えながら、この地でビールを造り続けた。平成12年(2000年)に大分県日田市に新しい九州工場ができて門司の工場は閉鎖され、87年にわたるビール製造が終わった。
旧サッポロビール九州工場が残された経緯
旧サッポロビール九州工場の閉鎖が決まると、地元では赤煉瓦の建物を残そうとする有志が集まり、北九州市の土地区画整理事業と並行して保存の道を探った。協議にはサッポロビール、北九州市、地元の市民が加わり、工場の建物のうち煉瓦造の4棟を残すことになった。
事務所棟は北九州市が譲り受け、門司麦酒煉瓦館として公開された。倉庫・醸造棟・組合棟は、保存のために設立された特定非営利活動法人門司赤煉瓦倶楽部が建物の無償譲渡を受けたと同法人は説明している。ただし文化庁のデータベースでは醸造棟の所有者は北九州市となっており、両者の記載は一致していない。
平成29年(2017年)4月には、北九州市と下関市の「関門ノスタルジック海峡」が日本遺産に認定され、旧サッポロビール九州工場の4棟もその構成文化財に数えられている。
旧サッポロビール九州工場の4棟
旧サッポロビール九州工場の4棟は、いずれも同じ日に登録され、登録番号は40-0046から40-0049まで連番になっている。文化庁のデータベースに載る年代と構造は次のとおり。
- 事務所棟:大正2年(1913年)。煉瓦造2階建、塔屋付、鉄板葺、建築面積232平方メートル
- 醸造棟:大正2年(1913年)。煉瓦造2階建・3階建・4階建及び7階建、鉄板葺、建築面積1180平方メートル
- 組合棟:大正6年(1917年)。煉瓦造平屋建、鉄板葺、建築面積108平方メートル
- 倉庫:大正2年(1913年)。煉瓦造2階建、鉄板葺、建築面積1050平方メートル
3棟は工場の竣工と同じ大正2年(1913年)の建物で、組合棟だけが4年遅れて建てられた。登録基準は、事務所棟・醸造棟・組合棟が「国土の歴史的景観に寄与しているもの」、倉庫が「再現することが容易でないもの」である。
旧サッポロビール九州工場の配置と煉瓦
旧サッポロビール九州工場の敷地は、関門海峡に沿って走る国道199号の東側にある。事務所棟はその道路に正面を向けて西向きに建ち、その南に最も大きな醸造棟が続く。醸造棟の北側に近接して小さな組合棟が建ち、倉庫だけが道路を隔てた西側に置かれている。
4棟を歩いて見比べると、煉瓦の色の違いに気づく。事務所棟は外壁にくすんだ色の鉱滓煉瓦を用いている。北九州市の説明では、鉱滓煉瓦は製造工程に焼成を含まない煉瓦である。醸造棟と倉庫は外側を赤煉瓦の化粧積とし、壁の内側に鉱滓煉瓦を積んでいる。赤い外観の内側に別の煉瓦が隠れている点が、門司の工場らしい構成だといえる。
各棟の構造や見どころは、それぞれのページで扱っている。
旧サッポロビール九州工場の見学とアクセス
旧サッポロビール九州工場の4棟は門司赤煉瓦プレイスの敷地にまとまっており、建物の外観は敷地や周りの道から見ることができる。内部に入れるかどうかは棟ごとに違い、事務所棟は貸付先の事業者が運営する施設、倉庫は貸館、醸造棟は年に2回ほどの一般公開のときだけ内部に入れる。組合棟の内部公開の案内は見当たらなかった(2026年10月確認)。
最寄りはJR鹿児島本線の門司駅で、北口から歩いて3分ほどである。門司港レトロ地区とは別の駅なので、門司港駅と間違えないようにしたい。車では北九州都市高速の大里出入口から5分ほど。敷地には駐車場があるが、令和7年(2025年)に駐車場の区域が民間事業者へ貸し付けられ、店舗も新しく建ったため、料金や台数は現地で確かめてほしい。
撮影については、倉庫を営利目的で撮影に使う場合は予約と使用料が必要と門司赤煉瓦倶楽部が案内している。外観を個人で撮ることについての公式な案内は見当たらなかった(2026年10月確認)。
参考文献
- 国指定文化財等データベース(文化庁)旧サッポロビール九州工場事務所棟
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00006284
- 国指定文化財等データベース(文化庁)旧サッポロビール九州工場醸造棟
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00006285
- 国指定文化財等データベース(文化庁)旧サッポロビール九州工場組合棟
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00006286
- 国指定文化財等データベース(文化庁)旧サッポロビール九州工場倉庫
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00006287
- 北九州市 旧サッポロビール九州工場 事務所棟
- https://www.city.kitakyushu.lg.jp/contents/02100275.html
- 北九州市 北九州市門司麦酒煉瓦館
- https://www.city.kitakyushu.lg.jp/contents/06300102.html
- 北九州市門司区 関門海峡が日本遺産に認定されました【関門ノスタルジック海峡】
- https://www.city.kitakyushu.lg.jp/moji/w1100423.html
- 日本遺産 関門ノスタルジック海峡 構成文化財:旧サッポロビール九州工場事務所棟、醸造棟、組合棟、倉庫
- https://www.japanheritage-kannmon.jp/bunkazai/index.cfm?id=17
- 門司赤煉瓦プレイス 門司赤煉瓦倶楽部活動案内
- https://mojirenga.jp/information.html
- 門司赤煉瓦プレイス アクセス
- https://mojirenga.jp/access.html
最終更新日: 2026.10.01
基本情報
| 名称 | 旧サッポロビール九州工場 |
|---|---|
| 所在地 | 福岡県北九州市門司区大里本町3-6-103他 |
| 所有者 | 北九州市、特定非営利活動法人門司赤煉瓦倶楽部 |
| 指定 | 登録有形文化財 4件 |
| 座標 | 33.90610, 130.93157 |