門司ゴルフ倶楽部クラブハウス南棟の姿
門司ゴルフ倶楽部クラブハウス南棟は、福岡県北九州市門司区大字吉志の門司ゴルフ倶楽部に昭和35年(1960年)に建てられたクラブハウスの主棟で、アントニン・レーモンドの設計事務所が設計し、平成26年(2014年)に登録有形文化財に登録された。鉄筋コンクリート造2階建、鉄板葺で、建築面積は1257平方メートル。文化庁の解説では桁行55メートル、梁間22メートルを測る。
玄関、ロッカー室、談話室、食堂が門司ゴルフ倶楽部クラブハウス南棟に収められ、ゴルフ場を使う人のための機能と、ゴルフ場を管理する機能をあわせ持つ。北側にはサービス棟の北棟が平行に建ち、2棟は北棟の西側でつながっている。
門司ゴルフ倶楽部クラブハウス南棟が登録された理由
門司ゴルフ倶楽部クラブハウス南棟の登録番号は40-0111、登録基準は「造形の規範となっているもの」である。文化庁の解説は、開放的で水平線を強調した立面、打放しコンクリートの躯体が内部につくる大空間、その上に組まれた丸太の小屋を挙げ、いわゆるレーモンドスタイルが存分に表れたモダニズム建築と評している。
倶楽部が公開している登録時の解説は、構造をもう一歩具体的に記す。主体は鉄筋コンクリート造で、柱型を外に見せ、2階の柱の上に木造の小屋組を架ける。柱と梁は打放しのまま残され、内装材はベニヤと杉板。コンクリートを仕上げで覆わず、素材そのものを意匠として扱っている。
鉄筋コンクリートの躯体に、丸太の小屋組と障子という木の手法を重ねたこと。そこが門司ゴルフ倶楽部クラブハウス南棟の評価の要である。
門司ゴルフ倶楽部クラブハウス南棟の見どころ
玄関ロビーの正面に大階段があり、上りきると2階に談話室と食堂が広がる。ロングライフビル推進協会(BELCA)の講評によれば、この2室は壁で仕切られておらず、談話のための場所が食堂より広く取られている。門司ゴルフ倶楽部クラブハウス南棟でまず味わいたいのは、この一続きの大空間である。
天井は小屋組に沿って張られて高く、丸太の架構がそのまま頭上に現れる。BELCAの講評は、この杉丸太が大分県日田まで出向いて選ばれたものだと伝え、1999年の時点でも締め直しをせず大きな狂いが出ていなかったと記す。屋根は化粧野地板の上に断熱ボードと野地板を重ね、亜鉛めっき鉄板で葺く構成である。
大屋根と下屋の境目には高窓が並び、和紙を貼った障子がはめ込まれている。障子を通った光で、談話室と食堂はやわらかく明るい。
大空間の中央には、天井から吊り下げた「風洞」をもつ大きな暖炉が据えられている。北九州市の解説はこれをレーモンド建築によく見られる設備として紹介する。照明にはノエミ・レーモンド夫人のデザインによるシャンデリアが使われており、BELCAの講評は、ノエミがデザインした白いテーブルと椅子がバルコニーに置かれていたことも書き留めている。
竣工後の改変はわずかだという。BELCAの講評が挙げるのは、妻側のバルコニー部分へのコンペルームの増設、温水暖房の熱源の石炭から石油への切り替え、一部の部屋への冷房の導入くらいで、そのほかは建設当初のままとされている。
門司ゴルフ倶楽部クラブハウス南棟を見るには
門司ゴルフ倶楽部クラブハウス南棟は現役のクラブハウスで、一般公開や見学会の案内は見当たらない(2026年10月時点)。2階の談話室と食堂、暖炉を見られるのは、会員の同伴か紹介を受けてゴルフ場を利用する人に限られる。
館内に入ったら、大階段の途中で一度足を止め、上の階に向かって開ける丸太の天井を見上げたい。2階では、小屋組と高窓の障子が接するあたりに注目すると、コンクリートと木の取り合いがよく分かる。撮影の決まりは公開されていないので、館内で写真を撮るときは倶楽部に確かめてほしい。行き方と利用の条件は門司ゴルフ倶楽部のページにまとめてある。
Q&A
- 門司ゴルフ倶楽部クラブハウス南棟はいつ、誰の設計で建てられましたか?
- 昭和35年(1960年)に、アントニン・レーモンドのレーモンド設計事務所の設計、竹中工務店の施工で建てられました。日本建築家協会の資料は竣工を1960年6月としています。
- 門司ゴルフ倶楽部クラブハウス南棟はなぜ登録有形文化財になったのですか?
- 「造形の規範となっているもの」として、平成26年(2014年)10月7日に登録されました。登録番号は40-0111です。打放しコンクリートの躯体に丸太の小屋組を架けた、レーモンドの作風をよく示すモダニズム建築と評価されています。
- 門司ゴルフ倶楽部クラブハウス南棟の大きさと構造は?
- 鉄筋コンクリート造2階建、鉄板葺で、建築面積は1257平方メートルです。桁行55メートル、梁間22メートルあります。
- 門司ゴルフ倶楽部クラブハウス南棟の暖炉はどこにありますか?
- 2階の談話室と食堂がつながる大空間の中央にあります。天井から吊り下げた「風洞」をもつ大型の暖炉です。
- 門司ゴルフ倶楽部クラブハウス南棟は見学できますか?
- 一般公開や見学会の案内はありません。館内に入れるのは、会員の同伴か紹介を受けてゴルフ場を利用する人です。撮影の可否は倶楽部に確かめてください。
基本情報
| 名称 | 門司ゴルフ倶楽部クラブハウス南棟 |
|---|---|
| 所在地 | 福岡県北九州市門司区大字吉志字稗畑175-10 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物) |
| 指定年 | 平成26年(2014年)10月7日登録 |
| 員数 | 1棟 |
| 寸法 | 鉄筋コンクリート造2階建、鉄板葺、建築面積1257平方メートル |
| 所有者 | 社団法人門司ゴルフ倶楽部 |
| 公開状況 | 一般公開なし(会員の同伴または紹介によるゴルフ場利用者のみ) |
参考文献
- 国指定文化財等データベース(文化庁)門司ゴルフ倶楽部クラブハウス南棟
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00010236
- 文化遺産オンライン 門司ゴルフ倶楽部クラブハウス南棟
- https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/288079
- 北九州市 【国登録】門司ゴルフ倶楽部クラブハウス 南棟 1棟
- https://www.city.kitakyushu.lg.jp/contents/26501076.html
- 門司ゴルフ倶楽部 公式サイト 倶楽部ハウスの歴史
- https://www.mojigolf.co.jp/legacy/
- 門司ゴルフ倶楽部 公式サイト 倶楽部ハウス
- https://www.mojigolf.co.jp/facility/
- ロングライフビル推進協会 第8回(平成10年度)BELCA賞 ロングライフ部門 門司ゴルフ倶楽部クラブハウス(PDF)
- https://www.belca.or.jp/fwp/wp-content/uploads/2025/07/prize8-3.pdf
最終更新日: 2026.10.11