桁行とは
桁行は、建物の棟と平行する方向、またはその方向に測った建物の長さをいう。屋根の棟に沿って走る横材を桁と呼ぶことからの名で、棟と直交する方向を指す梁間と対になる。記録の「構造及び形式等」欄では「桁行三間、梁間二間」のように両者を並べ、建物の平面規模を示す。
桁行と梁間は、長い辺と短い辺の別ではなく、棟の向きで決まる。多くの建物では棟の通る方向が長いため桁行のほうが大きいが、正方形に近い建物や、奥に深い建物では梁間が桁行と同じか、上回ることもある。神魂神社本殿の解説は、梁行に対して桁行がやや長いことを大社造の古い形式の特徴として挙げている。
数え方は二通りある。一つは柱と柱のあいだの数で、「桁行三間」は棟の方向に柱間が三つあることを示す。このときの間は柱間の数であって、一間を約1.8メートルとする長さの単位とは限らない。もう一つはメートルによる実長で、登録有形文化財の記録には「桁行11m梁間4.0m」のように実寸で書くものが多い。
記録と実物で読む手がかり
記録を読むときは、まず棟の向きを確かめる。飯田家住宅米蔵の記録は、桁行9間、梁間3間と規模を書いたあとに「南北棟」と添え、棟が南北に通ることを示している。棟の向きが分かれば、どちらの面が桁行側かが決まり、現地で平面を思い描ける。切妻造の建物では、屋根の流れが見える面、すなわち平側に並ぶ柱間が桁行にあたる。
町家や土蔵の記録では、道路に面した幅を「間口」、奥への長さを「奥行」と書くことがある。これは道路との関係で決まる寸法で、棟の向きとは関係しない。妻入の町家では間口が梁間に、平入の町家では間口が桁行に一致する。記事で「間口」と「桁行」を言い換えるときは、棟の向きを確かめてからにしたい。
社殿の記録では、正面と側面の柱間の数を「正面三間、側面二間」のように書くことがあり、これも棟の向きとは別の書き方である。流造の本殿などでは、棟の方向が正面と一致するので、正面の柱間が桁行にあたる。
参考文献
- 飯田家住宅米蔵|国指定文化財等データベース(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00005174
- 神魂神社本殿|文化遺産オンライン
- https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/146648
- 田中家住宅長屋門|国指定文化財等データベース(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00007648
- 波多腰家住宅味噌蔵|国指定文化財等データベース(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00001700
最終更新: 2026.09.26