料亭満佐とは
料亭満佐は、福岡市博多区中洲にある明治27年(1894年)創業の料亭で、昭和29年(1954年)以降に建てられた主屋棟・厨房棟・新館棟・離れ棟と表門及び塀の5件が、令和元年(2019年)9月10日に国の登録有形文化財に登録された。
読みは「りょうていまさ」。店は「博多料亭 満佐」とも名乗り、博多でもっとも歴史の古い料亭だと案内している。文化庁の答申も、料亭満佐を中洲の一角にある明治27年創業の料亭と紹介している。
中洲は那珂川と博多川にはさまれた中州で、九州有数の繁華街として知られる。料亭満佐はその南寄り、中洲一丁目の那珂川沿いにあり、高い塀で敷地を囲って、店のすぐ外の喧騒から客室を切り離している。
新興数寄屋の料亭建築
文化庁が料亭満佐を評価した言葉は「上質な新興数寄屋の料亭建築」である。新興数寄屋は、伝統的な数寄屋造を近代の暮らしに合わせて組み直そうとした建築家、吉田五十八(1894〜1974年)が考え出した手法で、福岡市の資料は大壁の採用、欄間や吊束の省略、工業生産された材料の利用をその特色に挙げている。
柱を壁の中に塗り込める大壁は、柱を見せる真壁を基本とした数寄屋の常識を逆さにしたもので、すっきりした面の構成が生まれる。料亭満佐では主屋棟の外壁が聚楽の大壁、厨房棟の居室や応接間も大壁で、新館棟と厨房棟には横桟だけの建具や埋込み照明の天井が見られる。
設計者については資料の書き方が分かれる。店は建物を吉田五十八の設計と案内しているが、文化庁の解説は厨房棟について「吉田五十八流の手法がみられる」と記すにとどまり、設計者の名を挙げていない。福岡市の資料も新興数寄屋の説明で吉田五十八に触れるだけである。ここでは、料亭満佐を吉田五十八の手法による新興数寄屋の建物として紹介しておく。
料亭満佐の登録有形文化財5件と配置
- 主屋棟(登録番号40-0159):昭和29年(1954年)。木造2階建、瓦葺、建築面積236平方メートル
- 離れ棟(登録番号40-0160):昭和29年(1954年)、昭和30年代(1955〜1964年)増築。木造平屋建、瓦葺、建築面積49平方メートル
- 厨房棟(登録番号40-0161):昭和29年(1954年)。木造2階建、瓦葺、建築面積140平方メートル
- 新館棟(登録番号40-0162):昭和36年(1961年)。木造平屋建、瓦葺、建築面積121平方メートル
- 表門及び塀(登録番号40-0163):昭和29年(1954年)。表門は木造、瓦葺、間口2.2メートル。塀は鉄筋コンクリート造、瓦葺、総延長107メートルで通用門が付く
5件は同じ日に登録され、登録番号も続いている。登録の基準は、表門及び塀が「国土の歴史的景観に寄与しているもの」、4棟の建物が「造形の規範となっているもの」である。福岡市の資料によれば、敷地はおよそ1,400平方メートルある。
文化庁の解説をつなげると、料亭満佐の配置はこうなる。敷地の西寄りに主屋棟が那珂川に向かって建ち、その背面に厨房棟がつながる。主屋棟の東には渡廊下で新館棟が続き、南東には離れ棟が独立して建つ。敷地の東・西・北の三方を塀が囲み、表門は那珂川側にあたる西の塀の北寄りに開く。客は西の表門から入り、正面北端の玄関で主屋棟に上がる。
料亭満佐への行き方と見学
料亭満佐はいまも営業する料亭で、文化財としての一般公開は行われていない。建物の中を見るには食事の客として訪れることになり、店の案内では完全予約制で、初めての客には紹介が必要とされる。休みは不定期である。敷地には予約客以外は入れない。
所在地の住居表示は博多区中洲一丁目8番25号。店の案内では、福岡市地下鉄の中洲川端駅から歩いて5分ほどである。塀と表門は外から見ることができるが、撮影についての公式な案内はないので、出入りする客や従業員を写し込まないよう気をつけたい。
参考文献
- 国指定文化財等データベース「料亭満佐主屋棟」(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00013003
- 国指定文化財等データベース「料亭満佐離れ棟」(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00013004
- 国指定文化財等データベース「料亭満佐厨房棟」(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00013005
- 国指定文化財等データベース「料亭満佐新館棟」(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00013006
- 国指定文化財等データベース「料亭満佐表門及び塀」(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00013007
- 登録有形文化財(建造物)の登録について(文化庁、平成31年3月)
- https://www.bunka.go.jp/koho_hodo_oshirase/hodohappyo/1414399.html
- 同 別紙 答申物件の詳細(文化庁)
- https://www.bunka.go.jp/koho_hodo_oshirase/hodohappyo/__icsFiles/afieldfile/2019/03/15/a1414399_03.pdf
- 福岡市の文化財 新着情報(2019年3月18日の文化審議会答申)
- https://bunkazai.city.fukuoka.lg.jp/news/detail/209
- 料亭満佐の国登録有形文化財登録に関する報道発表資料(福岡市、平成31年3月13日)
- https://bunkazai.city.fukuoka.lg.jp/files/NewsBlocks/f87f3de0-0797-43cf-b169-177a98f53416/value01/NewsParagraph542fileja.pdf
- 料亭博多 満佐(ふくおかナビ)
- https://www.fukuoka-navi.jp/228203
最終更新日: 2026.10.04
基本情報
| 名称 | 料亭満佐 |
|---|---|
| 所在地 | 福岡県福岡市博多区中洲一丁目103他 |
| 指定 | 登録有形文化財 5件 |
| 座標 | 33.59066, 130.40841 |