短冊状の敷地に並ぶ3棟の蔵

松本屋は、福島県喜多方市三丁目にある商家の蔵で、大正後期(1919年から1926年)から昭和3年頃(1928年)にかけて建てられた3棟が平成28年(2016年)8月1日に登録有形文化財となった。所有は有限会社松本屋である。

読みは「まつもとや」。3棟は店舗蔵・文庫蔵・家財蔵で、登録番号は07-0162から07-0164まで連番になっている。

敷地は短冊状で、街路に向けた間口が狭く奥に長い。街路に西面して店舗蔵が建ち、敷地の南側やや東寄りに文庫蔵、南東隅に家財蔵が置かれる。表で商い、奥で貯えるという配置が、3棟の位置にそのまま出ている。

蔵のまちで、蔵が3つ残るということ

喜多方は蔵の多い町として知られる。ただし残っている蔵の多くは一棟ずつ点在しており、同じ屋敷のなかに用途の違う蔵が揃って残る例は限られる。松本屋の価値はそこにある。

3棟はいずれも「国土の歴史的景観に寄与しているもの」という基準で登録された。個々の意匠が突出しているからではなく、街路から敷地の奥までが一続きの景観として残っているために評価された、という読み方ができる。

用途は3棟で分かれる。店舗蔵は商いの場、文庫蔵は書類や帳簿を納める場、家財蔵は家の道具を納める場である。商家が何を、どこに、どう分けて置いたかが、建物の造りの違いに現れている。

正面性をつくる窓と、実用に徹した鉄扉

店舗蔵は土蔵造2階建で、建築面積49平方メートル。1階が店舗で、正面に三尺の下屋を付す。2階には八の座敷を2室並べる。外壁は腰を人造石吹付とし、その上を漆喰塗とする。2階の正面には両開きの土戸を備えた窓が3連に並び、袖壁の付いた小庇が付く。街路に向けた面だけが、はっきりと重く仕上げられている。

文庫蔵は切妻造桟瓦葺の妻入で、西面の正面に前室を付す。内部は1階も2階も板床で、要所に物入が付く。外壁は腰をモルタル塗、他を漆喰塗とし、窓には片開きの鉄扉が付く。ただし正面2階の窓だけは両開きの土戸として、こちらも正面性を高めている。

家財蔵は切妻造桟瓦葺の平入で、北面に出入口を開く。1階はコンクリート土間。北面に開く3か所の窓には片開きの鉄扉が付き、意匠は文庫蔵とほぼ共通する。前室も土戸もない分、文庫蔵との差が用途の差として読める。

3棟を見比べるなら、窓の建具に注目したい。人に見せる面には土戸、そうでない面には鉄扉という使い分けが、どの棟でも一貫している。

見学と行き方

松本屋の3棟は個人が所有する現役の建物である。一般公開の施設ではないため、内部の見学はできない。外観のうち、街路に面した店舗蔵の正面は通りからいつでも見られる。

文庫蔵と家財蔵は敷地の奥にあり、通りからは屋根の一部が見える程度である。敷地内に立ち入らないよう注意したい。撮影は公道からであれば制限はない。

所在地は福島県喜多方市字三丁目4791。JR磐越西線の喜多方駅から徒歩圏で、蔵の並ぶ通りを歩く途中にあたる。

この情報は2026年9月17日に確認した。公開の扱いが変わることもあるため、内部を見たい場合は喜多方市の観光案内に問い合わせてほしい。

参考文献

国指定文化財等データベース 松本屋店舗蔵(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00011043
国指定文化財等データベース 松本屋文庫蔵(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00011044
国指定文化財等データベース 松本屋家財蔵(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00011045

最終更新日: 2026.09.17

基本情報

名称松本屋
所在地福島県喜多方市字三丁目4791
所有者有限会社松本屋
指定登録有形文化財 3件
座標37.65033, 139.87176