下半分が土砂に埋もれた最上流の堰堤
小豆沢第三号砂防堰堤は、岐阜県飛騨市宮川町小豆沢にある大正9年(1920年)築造の石積みの砂防堰堤で、平成31年(2019年)3月29日に国の登録有形文化財に登録された。宮川の支流に並ぶ3基のうち最も上流にあり、第二号から約240メートル、最下流の第一号からはおよそ440メートル上流に位置する。規模は堤長25メートル、堤高5.5メートルである。
堤長は3基の中で最も短いが、高さは第一号と同じ5.5メートルある。谷が上流ほど狭くなるので、同じ高さの堰堤でも横幅は短くて済む。小豆沢第三号砂防堰堤は、谷が最も細くなったところをふさぐように築かれている。
小豆沢第三号砂防堰堤が登録された理由
小豆沢第三号砂防堰堤は登録番号21-272、登録基準は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。
文化庁の解説文によれば、小豆沢第三号砂防堰堤は高さ5.5メートルのうち下半の4メートルが土砂に埋まり、周りの環境と一体になりつつある。解説文はこの状態を、土砂の流出を抑え植生を回復させるという砂防施設の目的が果たされている姿として評価している。
埋もれていることは、壊れていることではない。砂防堰堤は、上流から流れてくる土砂を背後にためて谷底の傾きを緩め、一度に大量の土砂が下流へ押し出されるのを防ぐための施設である。小豆沢第三号砂防堰堤の足もとまで土砂が積もっているのは、100年のあいだに流れ下った土砂をこの堰堤が受け止め続けてきた結果であり、登録はその働きの跡を価値とみている。
小豆沢第三号砂防堰堤の見どころ
小豆沢第三号砂防堰堤で石積みとして見えるのは、堤高5.5メートルから埋没した4メートルを引いた上部の1.5メートルほどである。案内板の写真でも、小豆沢第三号砂防堰堤は草木の生えた両岸のあいだに、白い水の落ち口と石積みの上端がわずかにのぞく程度に写っている。3基の中で最も目立たない堰堤だが、目立たないこと自体に意味がある。
堤体は第二号と同じく1割、つまり45度の勾配で積まれた空石積である。岐阜県砂防課は、石材をすべて人力で積み上げたこの工法を、今日では再現が容易でないものとしている。文化庁の解説文には、第一号・第二号にある水叩きのコンクリート補強の記述が小豆沢第三号砂防堰堤には無い。
小豆沢の3基を下流から順に見ると、第一号は石積みの斜面がはっきり見え、第二号は水の膜に覆われ、小豆沢第三号砂防堰堤はほとんど谷に溶け込んでいる。上流の堰堤ほど、周りの地形と植生に取り込まれている。
小豆沢第三号砂防堰堤の見学方法
小豆沢第三号砂防堰堤は屋外の砂防施設で、受付や入場料はない。ただし3基の中で最も奥、集落から谷を440メートルほど上った位置にあり、そこへ向かう見学路は岐阜県の公開資料に案内されていない(2026年9月25日確認)。沢の中は足場が悪く、堰堤も大半が土砂に埋もれて見分けにくいので、無理に近づくことは勧められない。
小豆沢第三号砂防堰堤の写真と位置は、集落の道路脇にある岐阜県古川土木事務所の案内板で確かめられる。撮影について特別な決まりは公表されていない。雨の最中や雨の後は水量が増えるため、谷に近づかないこと。集落までの行き方は、小豆沢砂防堰堤群のページにまとめてある。
Q&A
- 小豆沢第三号砂防堰堤はなぜ土砂に埋もれているのですか?
- 小豆沢第三号砂防堰堤が100年にわたって上流からの土砂を受け止めてきたためです。高さ5.5メートルのうち下半の4メートルが埋まっており、文化庁の解説文はこれを砂防施設の効果が表れた姿としています。
- 小豆沢第三号砂防堰堤はどのくらい見えていますか?
- 小豆沢第三号砂防堰堤で石積みとして見えるのは、上部の1.5メートルほどです。堤長は25メートルで、草木の生えた両岸のあいだに落ち口と石積みの上端がのぞきます。
- 小豆沢第三号砂防堰堤は見学できますか?
- 小豆沢第三号砂防堰堤は3基の中で最も上流にあり、見学路は岐阜県の公開資料に案内されていません。集落の道路脇にある案内板の写真と地図で位置と姿を確かめるのが安全です。
- 小豆沢第三号砂防堰堤はいつ造られ、いつ登録されましたか?
- 小豆沢第三号砂防堰堤は大正9年(1920年)に造られ、平成31年(2019年)3月29日に登録有形文化財(建造物)に登録されました。登録番号は21-272です。
- 小豆沢第三号砂防堰堤は第一号・第二号とどこが違いますか?
- 小豆沢第三号砂防堰堤は最も上流にあり、堤長25メートルと最も短く、下半が土砂に埋もれている点が違います。第二号とは同じ1割勾配の空石積です。
基本情報
| 名称 | 小豆沢第三号砂防堰堤 |
|---|---|
| 所在地 | 岐阜県飛騨市宮川町小豆沢 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物) |
| 指定年 | 平成31年(2019年)3月29日登録 |
| 員数 | 1基 |
| 寸法 | 堤長25m、堤高5.5m(下半4mは土砂に埋没) |
| 所有者 | 岐阜県 |
| 公開状況 | 屋外の砂防施設。受付・入場料なし。見学路の案内なし |
参考文献
- 国指定文化財等データベース(文化庁) 小豆沢第三号砂防堰堤
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00012738
- 岐阜県砂防課 登録有形文化財(県内の登録砂防施設)
- https://www.pref.gifu.lg.jp/shakai-kiban/kasen/sabo/11653/bunkazai.html
- 岐阜県古川土木事務所 小豆沢看板及び記念碑設置状況(PDF)
- https://www.pref.gifu.lg.jp/uploaded/attachment/165619.pdf
最終更新日: 2026.09.25