房州石とは

房州石は、千葉県の房総半島南部、富津市と鋸南町にまたがる鋸山一帯で採掘された凝灰質の石材である。産地の地名をとって金谷石、元名石などとも呼ばれる。鋸山は古くから石の産地として知られ、山肌を垂直に切り取った石切場の跡が今も残る。採石は昭和後期に終わった。

やわらかく加工しやすいうえに火に強く、建物の土台や石垣、石塀、蔵、かまどなどに用いられた。鋸山のふもとの旧金谷村では、房州石でつくった石蔵や石垣、塀が街路の景観をつくっている。船で江戸・東京方面へ運ばれ、近代には港湾の護岸などにも使われたとされる。

房州石の中にも質の違いがある。鈴木家住宅石蔵の記録は、房州石の中でも最上級とされる「桜目」の石を丁寧に積み上げたと書き、石工の間で石目による等級が意識されていたことがうかがえる。

記録と実物で見分ける手がかり

富津市金谷の鈴木家住宅には、房州石を使った建物と工作物がまとまって残る。主屋は基礎や風呂場などに地元産の房州石を使い、石蔵は寄棟造の二階建を房州石で積み上げる。屋敷正面の石垣は、縦0.3メートル、長さ0.8メートルの房州石の切石を6段から7段、高さ1.8メートルに積み、横目地の通る整層積とする。同じ石材が、建物の一部から構造体、敷地の囲いにまで用いられている。

石の積み方の語としては、横目地を通して積む布積や、形の不ぞろいな石を積む乱積などがある。記録の「整層積」は、横目地を水平に通して層をそろえる積み方を指す。

現地では、風化の具合を見る。房州石は風化しやすいとされ、石蔵や石垣の角や下部に表面の崩れや欠けが見られることが多い。産地の特定は、外見よりも記録の記載に拠るのが確実である。

参考文献

鈴木家住宅石蔵|国指定文化財等データベース(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00007973
鈴木家住宅石垣|国指定文化財等データベース(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00007976
鈴木家住宅主屋|国指定文化財等データベース(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00007972
鋸山 日本寺(地獄のぞき)|まるごと e! ちば(千葉県観光物産協会)
https://maruchiba.jp/spot/index_1_2____0__地獄のぞき___.html

最終更新: 2026.09.26