乱積とは

乱積は、石の高さをそろえず、横目地を通さずに積む石垣である。目地が上下に折れながら走るため、壁面は不規則な表情になる。

大きさの異なる石を使えることが利点になる。新潟県の星名家住宅雪穴は江戸期の築造で、「法面勾配3分程の玉石乱積壁面を一辺5メートル程の正方形平面に築き、西壁面に階段を付ける」と解説されている。玉石は丸みのある川石で、高さをそろえるのが難しい。

沖縄県の南大東島西港旧ボイラー小屋は大正13年頃の建築で、「島の珊瑚石灰岩を乱積にして壁体を築造。島開拓の歴史を物語る遺構のひとつ」と解説されている。現地で採れる石の形に応じて積み方が決まっている。

切石でも乱積にすることがある。福岡県の篠山神社透塀は明治12年の建築で、「石積は江戸切仕上げ切石乱積みで築き」と解説されている。加工度が高くても、目地を通さなければ乱積である。

布積との使い分け

対になるのが布積で、石の高さをそろえて横目地を通す積み方である。乱積が材の制約に応じるのに対し、布積は整った壁面を得るために手間をかける。

加工度とは別の軸であることに注意したい。愛媛県の明石寺石垣及び塀は「積み方は打込接の乱積で、出隅部は算木積で反りを付ける」と解説されている。打込接という加工度と、乱積という目地の通し方と、算木積という隅の処理が、それぞれ別に記されている。

現地では壁面を離れて眺めるとよい。石の上端が一直線に揃わず、目地が上下に折れながら走っていれば乱積である。石の大きさが不揃いであれば、その制約が積み方を決めた可能性が高い。

参考文献

文化庁 文化財の紹介 登録有形文化財(建造物)
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/yukei_kenzobutsu/toroku_yukei.html
国指定文化財等データベース(文化庁)星名家住宅雪穴/法面勾配3分程の玉石乱積壁面を一辺5メートル程の正方形平面に築く
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00002760
国指定文化財等データベース(文化庁)南大東島西港旧ボイラー小屋/島の珊瑚石灰岩を乱積にして壁体を築造
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00002108
国指定文化財等データベース(文化庁)篠山神社透塀/石積は江戸切仕上げ切石乱積みで築く
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00014430
国指定文化財等データベース(文化庁)明石寺石垣及び塀/積み方は打込矧ぎの乱積で、出隅部は算木積で反りを付ける
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00006327

最終更新: 2026.09.10