亀腹とは
亀腹は、建物の足元に土を饅頭形に盛り上げ、表面を漆喰などで白く塗り固めた部分である。亀の腹のように丸く膨らんだ形からこの名がある。基壇と建物の床下の間を埋め、礎石や土台を据える高い面をつくる。
語は場所によって三つの意味で使われる。第一が上に述べた建物の足元の亀腹、第二が多宝塔の下層の屋根の上から上層の軸部へ移る部分にある白い饅頭形の膨らみ、第三が鳥居の柱を受ける饅頭形の礎石である。JAANUS(日本建築・美術用語辞典)はこの三つを並べて挙げている。
記録では、建物がどこに建つかを示す語として現れる。神戸市長田区の長田神社本殿(昭和3年)は「切石積基壇上の亀腹上に建ち」と解説され、大阪市生野区の御幸森天神宮拝殿(昭和5年)は「亀腹基壇上に建つ」と記される。石の基壇、亀腹、建物という順に重なる。
見るときの手がかり
社殿の縁の下をのぞき、基壇と床の間に白く丸みを帯びた面が一周していれば亀腹である。切目縁を廻らす社殿では、縁の下に亀腹の白い曲面がのぞく。
材料は漆喰に限らない。岡山市の妙教寺縁引天王社(明治21年)は、切石の基礎の上に「石造亀腹」を造って土台を置く。石を饅頭形に加工して同じ形をつくったものである。
多宝塔では、下層の方形の屋根の上に白い亀腹が載り、その上で塔身が円形に変わる。外観上もっとも目立つ部分で、漆喰で塗るものが多い。記事で多宝塔の亀腹に触れるときは、基礎の亀腹と混同しないよう、どちらの意味かが文脈でわかるように書く。
参考文献
- 国指定文化財等データベース(文化庁)長田神社本殿
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00002657
- 国指定文化財等データベース(文化庁)御幸森天神宮拝殿
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00001723
- 国指定文化財等データベース(文化庁)妙教寺縁引天王社
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00007567
- JAANUS(Japanese Architecture and Art Net Users System)kamebara 亀腹
- https://projects.mcah.columbia.edu/jaanus/record/kamebara
最終更新: 2026.10.04