多宝塔とは

多宝塔は、二重の屋根をもつ仏塔で、下重を方形、上重を円形の塔身とする形式である。下重の屋根の上に、漆喰で白く塗った饅頭形の亀腹をつくり、その上に円筒形の上重の塔身を立て、四角い屋根と相輪を載せる。三重塔や五重塔のように同じ形の重を積み重ねるのではなく、上下で平面の形が異なる点に特徴がある。

円筒形の塔身に方形の屋根を載せた宝塔の形を基本に、そのまわりに方形の下重(裳階にあたる部分)を付けた形と説明される。真言宗や天台宗の寺院に多く見られる。平面は方三間が一般的で、特に大規模なものは大塔と呼ばれる。

記録と実物で見分ける手がかり

記録では「三間多宝塔」のように、平面の間数と形式で書かれる。大阪府泉佐野市の慈眼院多宝塔は、文永8年(1271年)の建立とされる規模の小さい多宝塔で、上重は多宝塔の法式通り円形塔身で四手先組物とし、下重は二手先組物とすると解説される。広島県尾道市の浄土寺多宝塔は、元徳元年(1329年)の再建で、全体の釣り合いがよく、鎌倉時代後期の代表的な建築とされる。大阪府河内長野市の金剛寺多宝塔は平安時代後期の重要文化財である。

現地では、下の屋根と上の屋根のあいだに白い饅頭形の部分があり、上重が円筒形になっているかを見る。上下とも方形で屋根を重ねた塔は、二重の層塔であって多宝塔ではない。

参考文献

慈眼院多宝塔|文化遺産オンライン
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/194830
浄土寺多宝塔|文化遺産オンライン
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/148321
金剛寺多宝塔|国指定文化財等データベース(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/102/2190

最終更新: 2026.09.26