宝塔とは
宝塔は、円筒形の塔身の上に方形の笠(屋根)を載せ、頂に相輪を立てた一重の仏塔である。石造のものが多く、中世には供養塔や墓塔として各地に建てられた。法華経に説かれる、多宝如来の宝塔が地中から現れる場面にちなむ塔で、法華経への信仰と結びついている。
石造宝塔の研究では、塔身の軸部を円筒形とし、上部を饅頭形にまるくつくり、表面に柱や扉を浅く刻んで堂の姿を表す例が報告されている。木造の多宝塔は、この宝塔の形を上重に残し、下に方形の下重を付けた形と説明される。石塔の宝篋印塔は、塔身が方形で、笠の四隅に隅飾を立てる点で宝塔と区別される。
記録と実物で見分ける手がかり
記録では「石造宝塔」と材料と形式が書かれ、基壇などの付属が添えられる。岡山県倉敷市の五流尊滝院宝塔は、構造欄に「石造宝塔、基壇付」とあり、鎌倉前期の重要文化財である。
時代が下ると、形式が崩れたり、ほかの石塔と混ざったりすることもある。福岡県水巻町の石造宝篋印塔の解説は、江戸時代の一基を、宝篋印塔が形骸化して宝塔との折衷形の様相をもつものとしている。現地では、塔身が円筒形か方形か、笠の四隅に突起があるかを確かめると、宝塔と宝篋印塔を見分けやすい。
参考文献
- 五流尊滝院宝塔|国指定文化財等データベース(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/102/3007
- 斎藤彦司「神奈川県下の石造宝塔について」|全国遺跡報告総覧
- https://sitereports.nabunken.go.jp/en/article/24403/pdf_page
- 石造宝篋印塔(水巻町指定)|文化遺産オンライン
- https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/580316
最終更新: 2026.09.26