金剛峯寺金堂及び根本大塔とは
金剛峯寺金堂及び根本大塔は、和歌山県伊都郡高野町の高野山・壇上伽藍の中心に建つ昭和7年(1932年)再建の金堂と昭和12年(1937年)再建の根本大塔の2棟で、令和6年(2024年)12月9日に重要文化財に指定された。
金堂は高野山一山の総本堂である。金剛峯寺によれば、開創の初期に御社に次いで建てられた堂で、当初は講堂と呼ばれ、平安時代の半ばから総本堂の役割を担うようになった。現在の金堂は7度目の再建にあたり、先代の堂は昭和元年(1926年)に出火して焼けている。
根本大塔は、空海と第二世の真然の二代をかけて816年から887年ごろに完成したと伝わる多宝塔で、真言密教の根本道場を象徴する塔とされてきた。天保14年(1843年)の大火で失われてから、昭和12年に再建されるまで、伽藍には90年余り大塔の無い時期が続いた。
2棟の再建は、昭和9年(1934年)の弘法大師千百年御遠忌を記念する事業の柱だった。設計は京都帝国大学の建築家・武田五一と、同じ大学の建築史家・天沼俊一である。
金剛峯寺金堂及び根本大塔が重要文化財に指定された理由
指定基準は「意匠的に優秀なもの」と「技術的に優秀なもの」。耐火のために鉄骨鉄筋コンクリート造とした主体部を木部で覆い、伝統的な木造の寺院建築に見せる。この構法を大規模な堂塔でいち早く実現した点が評価された。わかやまの文化財は、耐震と耐火の性能を得ることも設計の目標だったと説明している。
2棟の意匠の考え方は同じではない。金堂では天沼が古代から中世の寺院の細部を引用し、さまざまな時代の様式を折衷した創作的な姿にまとめた。これに対して根本大塔は、文献と礎石の実測をもとに創建時の姿を復元することを目指した。戦後に各地で進む寺院や城郭の復元に先立つ例とされている。
技術の面では、根本大塔は金堂の経験をさらに洗練させたものと位置づけられる。コンクリートの躯体に木造を寄り添わせて伝統的な姿に整え、高さ48メートルに及ぶ塔を実現した。附として金堂の図面27枚と根本大塔の棟札2枚も指定されており、近代の大型寺院建築の到達点の一つを示す資料ごと守られている。
金剛峯寺金堂及び根本大塔の見どころ
中門をくぐると、正面の北に金堂が建ち、その東に根本大塔がそびえる。金堂は間口30メートル、奥行約24メートル、高さ23.73メートルの入母屋造で、建築面積は850.70平方メートル。正面と背面に三間の向拝を付け、屋根は本瓦の形をした銅板で葺く。外から見る限り、柱も組物も木造の堂そのものである。
堂内は中央に漆塗りの板敷の内陣をとり、まわりを畳敷きの外陣がめぐる。壁画は岡倉天心に師事した日本画家・木村武山の筆で、釈迦の成道を描いた図や八供養菩薩が並ぶ。本尊の阿閦如来(薬師如来)は高村光雲の作で、秘仏とされている。
根本大塔は間口23メートル、高さ48メートルの五間の多宝塔で、建築面積は526.04平方メートル。下層は四角、上層は円形の平面に造る。下層の中央には丸柱で囲んだ八角形の仏壇を設け、胎蔵界の大日如来を祀る。
塔の内部は、大日如来のまわりを金剛界の四仏が囲み、16本の柱に堂本印象の筆による十六大菩薩、四隅の壁に密教を伝えた八祖の像を描く。金剛峯寺は、堂内そのものが立体の曼荼羅として構成されていると説明している。
金剛峯寺金堂及び根本大塔の見学方法
金剛峯寺金堂及び根本大塔は、2棟とも内部を拝観できる。金剛峯寺の料金表では、金堂と根本大塔がそれぞれ中学生以上500円(小学生以下は無料)、拝観時間は午前8時30分から午後5時まで(受付は午後4時30分まで)となっている。
伽藍諸堂の内部は撮影が禁じられているため、金堂の壁画や大塔の柱絵はその場で見るしかない。撮影禁止の区域に挙がっているのは堂内で、外観は対象に含まれていない。
金堂ではいまも高野山の重要な行事が営まれている。法会の際は拝観の範囲が変わることがあるので、出かける前に金剛峯寺の案内で確かめておきたい。
Q&A
- 金剛峯寺金堂及び根本大塔は中に入れますか?拝観料はいくらですか?
- 2棟とも内部を拝観できます。金剛峯寺の料金表では、金堂と根本大塔がそれぞれ中学生以上500円、小学生以下は無料です。拝観時間は午前8時30分から午後5時まで(受付は午後4時30分まで)です。
- 金剛峯寺金堂及び根本大塔はいつ重要文化財に指定されましたか?
- 令和6年(2024年)12月9日です。金堂は昭和7年(1932年)、根本大塔は昭和12年(1937年)の再建です。
- 金剛峯寺金堂及び根本大塔は木造ですか?
- 主体部は鉄骨鉄筋コンクリート造で、その外側を木部で覆って伝統的な木造建築の姿に見せています。耐火と耐震を考えた混構造で、この点が重要文化財としての評価の中心です。
- 金剛峯寺金堂及び根本大塔を設計したのは誰ですか?
- 京都帝国大学の建築家・武田五一と、建築史家・天沼俊一です。金堂は時代の様式を折衷した創作的な意匠、根本大塔は史実に基づく復元を目指した設計とされています。
- 金剛峯寺金堂及び根本大塔のうち、根本大塔の高さはどれくらいですか?
- 文化庁の解説によれば高さは48メートルで、間口23メートルの五間の多宝塔です。内部の撮影はできません。
基本情報
| 名称 | 金剛峯寺金堂及び根本大塔 |
|---|---|
| 所在地 | 和歌山県伊都郡高野町大字高野山 |
| 指定区分 | 重要文化財(建造物) |
| 指定年 | 令和6年(2024年)12月9日 |
| 員数 | 2棟 |
| 寸法 | 金堂 建築面積850.70㎡、根本大塔 建築面積526.04㎡・高さ48m |
| 所有者 | 宗教法人金剛峯寺 |
| 公開状況 | 内部拝観可(有料、堂内撮影不可) |
参考文献
- 文化庁 国指定文化財等データベース「金剛峯寺金堂及び根本大塔 金堂」
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/102/00005633
- 文化庁 国指定文化財等データベース「金剛峯寺金堂及び根本大塔 根本大塔」
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/102/00005634
- 文化遺産オンライン「金剛峯寺金堂及び根本大塔 金堂」
- https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/544974
- 文化遺産オンライン「金剛峯寺金堂及び根本大塔 根本大塔」
- https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/578705
- わかやまの文化財「金剛峯寺金堂及び根本大塔」
- https://wakayama-bunkazai.jp/bunkazai/bunkazai-spot-456/
- 文化庁 報道発表「文化審議会の答申(建造物の指定)」令和6年10月18日
- https://www.bunka.go.jp/koho_hodo_oshirase/hodohappyo/94122701.html
- 総本山金剛峯寺「金剛峯寺の建物が国の重要文化財(建造物)に指定されました」
- https://www.koyasan.or.jp/sp/news/2024/12/09/6709/
- 総本山金剛峯寺「高野山の見どころ」
- https://www.koyasan.or.jp/meguru/
- 総本山金剛峯寺「関係各所料金表」
- https://www.koyasan.or.jp/kongobuji/charges/
- 総本山金剛峯寺「ご参拝の心得」
- https://www.koyasan.or.jp/guidance/
最終更新日: 2026.10.02
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