金剛峯寺山王院本殿とは

金剛峯寺山王院本殿は、和歌山県伊都郡高野町の高野山・壇上伽藍の西端に建つ大永2年(1522年)再建の3棟の社殿で、昭和40年(1965年)5月29日に重要文化財に指定された。高野山では「御社(みやしろ)」の名で親しまれている。

3棟は、丹生明神を祀る一宮の丹生明神社、高野明神を祀る二宮の高野明神社、十二王子と百二十伴神を祀る三宮の総社である。金剛峯寺によれば、弘法大師空海は弘仁10年(819年)、山麓の天野社から地主神を迎えて高野山の鎮守とした。高野山一帯は、もともと丹生明神の神領だったと伝えられている。

文化庁の解説は、金剛峯寺山王院本殿を高野山で最も大切な鎮守とし、現在の社殿を大永元年(1521年)の火災のあとに再建されたものとしている。データベースの年代は、高野明神社と総社が大永2年(1522年)、丹生明神社が大永2年ごろである。

一方、金剛峯寺の案内は現在の社殿を文禄3年(1594年)の再建と紹介しており、再建年に70年あまりの開きがある。本稿は文化庁の記載に従った。

金剛峯寺山王院本殿が重要文化財である理由

文化庁は、大永の火災後に建てられた社殿にすぐれた手法が見られる点を評価している。室町時代後期の神社本殿が、伽藍の一角に3棟そろって残っていることになる。

丹生明神社と高野明神社は、いずれも一間社春日造の檜皮葺。わかやまの文化財は、2社を巨大な一間社春日造と表現している。正面一間の春日造は小ぶりな社殿に多い形式で、それをこの規模で建てているところに、金剛峯寺山王院本殿の特徴がある。

総社は三間社流造の見世棚造で、これも檜皮葺。同じ境内の本殿でありながら、2社とは形式を変えている。

附として鳥居と透塀も指定されている。わかやまの文化財によれば、鳥居は木造の明神鳥居で、透塀とともに材は新しいものの当初の雰囲気をよく残している。

金剛峯寺山王院本殿の見どころ

3棟を見比べると、屋根の向きの違いが目に入る。春日造の丹生明神社と高野明神社は切妻の妻側を正面に向け、総社は流造なので平側が正面となり、前の屋根が長く延びる。同じ檜皮葺でも、正面から見た輪郭はまるで違う。

社殿の前には、拝殿にあたる山王院が建つ。山王院という名は、地主の神を山王として礼拝する場所を意味する。金剛峯寺によれば、ここでは竪精論議や御最勝講といった重要な法会が営まれ、毎月16日には明神への法楽として法会が行われている。本殿と拝殿が対になり、僧侶が神前で論議を行う光景は、高野山の信仰のかたちをよく表している。

金剛峯寺は、空海が密教を広めるにあたり、土地の神々がその教えを尊び守るという考えを打ち出し、それが神仏習合の大きな原動力になったと説明する。高野山の修行者を守る明神への信仰はいまも大切にされており、金剛峯寺山王院本殿はその中心となる社殿である。

金剛峯寺山王院本殿の見学方法

金剛峯寺山王院本殿は壇上伽藍の西の端にあり、伽藍を歩く途中で外観を見ることができる。金剛峯寺の料金表に山王院本殿の拝観料は挙がっていない。

社殿は透塀に囲まれているため、本殿は塀越しに見ることになる。社殿の内部は公開されていない。

山王院では法会が行われることがあるので、その間は前での撮影や大きな声を控えたい。金剛峯寺が撮影禁止としているのは伽藍諸堂の内部である。

Q&A

Q金剛峯寺山王院本殿には何が祀られていますか?
A一宮の丹生明神社に丹生明神、二宮の高野明神社に高野明神、三宮の総社に十二王子と百二十伴神が祀られています。高野山の地主神であり、鎮守です。
Q金剛峯寺山王院本殿はいつ重要文化財に指定されましたか?
A昭和40年(1965年)5月29日に重要文化財に指定されました。附として鳥居と透塀も指定されています。
Q金剛峯寺山王院本殿の社殿はいつ建てられましたか?
A文化庁のデータベースでは大永2年(1522年)の再建で、大永元年(1521年)の火災後に建てられたとされます。金剛峯寺の案内は文禄3年(1594年)の再建としており、資料によって年代が異なります。
Q金剛峯寺山王院本殿の拝観に料金はかかりますか?
A金剛峯寺の料金表には山王院本殿の拝観料は挙がっておらず、外観は伽藍を歩きながら見ることができます。社殿の内部は公開されていません。
Q金剛峯寺山王院本殿と山王院はどう違いますか?
A金剛峯寺山王院本殿は明神を祀る3棟の社殿で、山王院はその前に建つ拝殿です。山王院では竪精論議などの重要な法会が営まれます。

基本情報

名称金剛峯寺山王院本殿(丹生明神社、高野明神社、総社)
所在地和歌山県伊都郡高野町大字高野山
指定区分重要文化財(建造物)
指定年昭和40年(1965年)5月29日
員数3棟
寸法丹生明神社・高野明神社 一間社春日造、総社 三間社流見世棚造(いずれも檜皮葺)
所有者金剛峯寺
公開状況外観は見学可(社殿内部は非公開)

参考文献

文化庁 国指定文化財等データベース「金剛峯寺山王院本殿 丹生明神社」
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/102/2886
文化庁 国指定文化財等データベース「金剛峯寺山王院本殿 高野明神社」
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/102/2887
文化庁 国指定文化財等データベース「金剛峯寺山王院本殿 総社」
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/102/2888
わかやまの文化財「金剛峯寺山王院本殿」
https://wakayama-bunkazai.jp/bunkazai/bunkazai-spot-452/
総本山金剛峯寺「高野山の見どころ」
https://www.koyasan.or.jp/meguru/
総本山金剛峯寺「ご参拝の心得」
https://www.koyasan.or.jp/guidance/

最終更新日: 2026.10.02

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