春日造とは

春日造は、切妻造妻入の身舎の正面に向拝を付けた神社本殿の形式である。奈良の春日大社に代表されることからこの名がある。

一間社が基本になる。京都府の伏見稲荷大社には「一間社春日造、檜皮葺」と記録された本殿がある。滋賀県の二童子神社本殿は元禄16年の建築で、「一間社春日造の社殿。形式・棟札等から元禄16年の建築であることが知られる。身舎は方1間で、ほぼ均等に内陣と下陣に分ける。屋根は檜皮葺とし、箱棟を置いている。滋賀県下でも数の少ない春日造本殿であり、近世本殿建築の好例といえる」と解説されている。

三間の例もある。大阪府の伴林氏神社本殿は昭和15年の建築で、「正面三間春日造で向拝に切妻破風を載せる。二軒繁垂木、大棟に堅魚木、千木が鬼板外側に付く…台湾檜素木造の格式ある近代大型本殿」と解説されている。

変形も記録される。奈良県の十二社神社本殿は室町中期の建築で、「一間社隅木入春日造、銅板葺」と記録されている。隅木入は屋根の隅に隅木を入れた形式を指す。

流造との違い

流造も向拝を持つ本殿の形式だが、身舎への入り方が違う。流造は平入で、屋根の前面を長く葺き下ろして向拝とする。春日造は妻入で、身舎の切妻屋根とは別に向拝の屋根を架ける。

妻入か平入かで見分けられる。春日造では三角形の妻が正面に来て、その前に向拝が付く。流造では棟が横に走り、前へ流れる屋根が向拝を覆う。

神明造も切妻造だが、向拝を持たず棟持柱を備える点で違う。三つの形式は、向拝の有無と入り方の組み合わせで整理できる。

現地では正面を見るとよい。三角形の妻が見え、その手前に一段低い屋根が張り出していれば春日造である。屋根が一続きに前へ流れていれば流造にあたる。

参考文献

文化庁 文化財の紹介 国宝・重要文化財(建造物)
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/yukei_kenzobutsu/kokuho_bunkazai.html
国指定文化財等データベース(文化庁)伏見稲荷大社/一間社春日造、檜皮葺
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/102/00004720
国指定文化財等データベース(文化庁)二童子神社本殿/一間社春日造、身舎は方1間でほぼ均等に内陣と下陣に分け、箱棟を置く
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00003248
国指定文化財等データベース(文化庁)伴林氏神社本殿/台湾檜素木造の格式ある近代大型本殿
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00014268
国指定文化財等データベース(文化庁)十二社神社本殿/一間社隅木入春日造、銅板葺
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/102/00005416

最終更新: 2026.09.11