金剛峯寺六角経蔵とは
金剛峯寺六角経蔵は、和歌山県伊都郡高野町の高野山・壇上伽藍に建つ昭和7年(1932年)再建の経蔵で、令和7年(2025年)8月6日に登録有形文化財(建造物)に登録された。読みは「こんごうぶじろっかくきょうぞう」。
金剛峯寺によれば、この経蔵はもともと鳥羽法皇の皇后・美福門院が、法皇の菩提を弔うために紺紙金泥の一切経を納めようと建てたものである。その費用として紀州荒川の荘園が寄進されたことから、経典は荒川経、経蔵は「荒川経蔵」とも呼ばれる。紺紙金泥一切経は現在、重要文化財として高野山霊宝館に収められている。
現在の建物は竹中工務店の設計・施工による。文化庁の登録と金剛峯寺の登録答申の発表はいずれも昭和7年(1932年)の再建とするが、金剛峯寺の壇上伽藍の案内には昭和9年(1934年)2月の再建と書かれている。本記事は文化庁の記録に従った。
金剛峯寺六角経蔵の価値
登録基準は「造形の規範となっているもの」。金堂の南西、基壇の上に東を向いて建つ二重の六角円堂で、屋根は宝形造の銅板葺、建築面積は21㎡である。
主体は鉄筋コンクリート造だが、壁や軒は木造とする混構造をとる。初重は壁式構造の躯体に木造で校倉風の壁を張り、二重はラーメン構造の躯体に木造の組物と軒まわりを付け加えている。文化庁の解説は、躯体の表層に木造で伝統的な意匠を実現した点を評価する。
昭和初期は、壇上伽藍の金堂や根本大塔が鉄筋コンクリートで再建されていく時期にあたる。金剛峯寺六角経蔵は、火災に強い構造と木造の見た目を両立させようとした、その試みの一例として位置づけられる。
金剛峯寺六角経蔵の見どころ
初重の壁に注目したい。三角断面の木材を積み上げたように見せる校倉風の壁は、奈良時代の正倉院などに見られる形式を思わせる。これがコンクリートの躯体の表面に木造で張られている。
基壇の近くには把手が付いており、経蔵の下部は回転する仕組みになっている。金剛峯寺によれば、これを押して一回りさせると一切経を一通り読誦したのと同じ功徳が得られるという。文化庁の資料では、初層の手摺を押して縁を回転させる形と説明されている。
二重の軒まわりは、木造の組物が細かく並ぶ。六角形の平面に宝形屋根が載り、頂部に向かって絞り込まれる姿は、壇上伽藍の大きな堂塔の間でも見分けやすい。
金剛峯寺六角経蔵の見学方法
金剛峯寺六角経蔵は壇上伽藍の屋外に建ち、外観はいつでも見られる。金剛峯寺の案内では、参拝者は把手を押して経蔵を回すことができるとされている。内部の経典を見る公開は案内されていない。
撮影が禁じられているのは伽藍諸堂の内部で、屋外に建つ金剛峯寺六角経蔵の外観は禁止の対象として挙げられていない。
金剛峯寺から蛇腹道を歩いて伽藍の東端へ入り、金堂の南西側へ回ると金剛峯寺六角経蔵が見えてくる。
Q&A
- 金剛峯寺六角経蔵は回すことができますか?
- はい。金剛峯寺の案内では、基壇付近の把手を押して回すことができ、一回りさせると一切経を一通り読誦したのと同じ功徳があるとされています。
- 金剛峯寺六角経蔵が「荒川経蔵」と呼ばれるのはなぜですか?
- 美福門院が紺紙金泥一切経を納める費用として紀州荒川の荘園を寄進したことから、経典を荒川経、経蔵を荒川経蔵と呼ぶようになったと金剛峯寺は伝えています。
- 金剛峯寺六角経蔵はいつ再建されましたか?
- 文化庁の記録では昭和7年(1932年)で、竹中工務店が設計・施工しました。金剛峯寺の壇上伽藍の案内には昭和9年(1934年)2月の再建とあります。
- 金剛峯寺六角経蔵はいつ登録有形文化財になりましたか?
- 令和7年(2025年)8月6日に登録有形文化財(建造物)として登録されました。
- 金剛峯寺六角経蔵は木造ですか?
- 主体は鉄筋コンクリート造で、壁や軒を木造とする混構造です。初重は校倉風の壁、二重は木造の組物と軒まわりで伝統的な姿に仕上げています。
基本情報
| 名称 | 金剛峯寺六角経蔵 |
|---|---|
| 所在地 | 和歌山県伊都郡高野町大字高野山152-1 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物) |
| 指定年 | 令和7年(2025年)8月6日登録 |
| 員数 | 1棟 |
| 寸法 | 建築面積21㎡(鉄筋コンクリート造二階建、銅板葺) |
| 所有者 | 宗教法人金剛峯寺 |
| 公開状況 | 外観は常時見学可(経蔵を回すことができる) |
参考文献
- 文化庁 国指定文化財等データベース「金剛峯寺六角経蔵」
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00015494
- 文化遺産オンライン「金剛峯寺六角経蔵」
- https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/623519
- 文化庁「文化審議会の答申(登録有形文化財(建造物)の登録)」令和7年3月21日
- https://www.bunka.go.jp/koho_hodo_oshirase/hodohappyo/pdf/94187801_01.pdf
- 総本山金剛峯寺「金剛峯寺壇上伽藍の3件の建物が国登録有形文化財に登録されます」
- https://www.koyasan.or.jp/sp/news/2025/03/21/6824/
- 総本山金剛峯寺「高野山の見どころ」
- https://www.koyasan.or.jp/meguru/
- 総本山金剛峯寺「関係各所料金表」
- https://www.koyasan.or.jp/kongobuji/charges/
- 総本山金剛峯寺「ご参拝の心得」
- https://www.koyasan.or.jp/guidance/
最終更新日: 2026.09.23