駒寄せとは
駒寄せは、町家の正面で、出格子や壁の前に、柱や格子を立てて囲う低い柵である。「駒寄」とも書く。出格子のさらに外側に一段の囲いをつくることで、表構えに奥行と格式を与えるとともに、通行人や車が出格子に触れて傷めるのを防ぐ。もとは馬(駒)をつないだり寄せたりするための柵であったことからの名とされる。
柱を並べて横木で結んだ簡素なものから、表面を手斧ではつって波状の削り跡を見せる名栗仕上げとした凝ったものまである。足元に湾曲させて立てる犬矢来とは、垂直の柵である点で区別される。
記録と実物で見分ける手がかり
記録では「出格子をたて、駒寄せで囲む」のように、出格子と組み合わせて書かれることが多い。滋賀県彦根市の旧石橋家住宅中主屋は、床上部の前面に出格子をたてて駒寄せで囲み、風格ある構えをもつ町家とされる。滋賀県大津市の旧多田家住宅主屋は、間口三間半の町家で、正面の南側に出格子をたてて駒寄せで囲い、大津の町家の特色を示す。京都の旧並河靖之邸主屋は、表屋造の町家で、表側にせがいの軒と虫籠窓、名栗の駒寄せという伝統的な京町家の構えをもつ。
現地では、出格子の前にもう一重、低い柵が立っているかを見る。柱の仕上げや柵の高さも、町家の格や地域の特色を読む手がかりになる。
参考文献
- 旧石橋家住宅中主屋|国指定文化財等データベース(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00009628
- 旧多田家住宅主屋|国指定文化財等データベース(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00010317
- 旧並河靖之邸主屋|国指定文化財等データベース(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00002414
最終更新: 2026.09.27