磨崖仏とは

磨崖仏は、自然の岩壁や露出した岩盤に、直接彫り出した仏像である。石を切り出して別の場所に据える石仏とは異なり、岩そのものと一体になっている。岩壁を浅く掘り込んだ龕(がん)の中に像を刻むものが多く、彫り方は、岩の面に浅く浮き出させる薄肉彫から、丸彫りに近い高肉彫まである。

日本では、大分県の豊後地方に特に多く、平安時代後期の優れた作が集中する。大分県の臼杵磨崖仏について、文化庁の解説は、豊後地方に集中して存在する平安時代の磨崖仏のなかで最大の規模を誇り、出来ばえが最も優れた石仏群とし、丘陵斜面の熔結凝灰岩の露出した部分を開鑿して、比較的浅い龕に高肉彫で計59躯を刻み出したと説明している。やわらかい凝灰岩は彫りやすい一方で風化しやすく、崩落や損傷を受けているものも多い。

記録と実物で見分ける手がかり

磨崖仏は、彫刻として国宝・重要文化財に指定されることも、史跡として指定されることもある。臼杵磨崖仏は、59躯が彫刻として国宝に指定されるとともに、周辺の宝篋印塔や五輪塔とあわせて特別史跡にも指定されている。彫刻の解説は、作風から平安後期に規模の大半が整い、鎌倉時代に一部が追加されたと考え、古園石仏の大日如来像などは頭部を岩から離して丸彫りとし、岩層の足りない下半身の一部を別材で造り足す技法を用いると記す。大分県豊後大野市の緒方宮迫東石仏は、平安時代後期の作と推定される磨崖仏で、史跡に指定されている。

記事では、指定の種別(彫刻か史跡か)と、指定の範囲(像の数や附の石塔)を記録で確かめたい。現地では、像が岩壁と一体に彫られているか、龕の深さや彫りの厚さはどうかを見る。

参考文献

臼杵磨崖仏(彫刻)|文化遺産オンライン
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/149871
臼杵磨崖仏 附 日吉塔、嘉応二年在銘五輪塔、承安二年在銘五輪塔(特別史跡)|文化遺産オンライン
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/217829
緒方宮迫東石仏|国指定文化財等データベース(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/401/3388

最終更新: 2026.09.27