水叩きとは

水叩きは、堰堤の下流側で、天端を越えて落ちる水を受ける河床面を、石張りやコンクリートで覆って保護する部分である。落下する水は河床を強く打ち、そのままでは土砂が掘られて堤体の基礎がむき出しになる。水叩きはこの衝撃を受け止め、河床の洗掘を防ぐ。記録では「水叩」とも書く。

水叩きは、堰堤の他の部位と組み合わせて働く。本堰堤の水通しから落ちた水は水叩きの上で勢いを弱め、下流端の副堰堤を越えて流れ去る。両岸は護岸で固め、水叩きの脇から岸が削られるのを防ぐ。本堰堤と副堰堤のあいだに水叩きを置く構成が典型で、万内川四号堰堤の記録は、前面の副堰堤とのあいだを石張水叩きと石積護岸でつなげると書いている。

材料は時代や規模によって異なる。近代初期の砂防堰堤では、大きな石を敷き並べた石張りの水叩きが多く、のちにコンクリートで打つものが増えた。

記録と実物で見分ける手がかり

記録では、水叩きの材料や築き方が書かれる。正法寺川南沢第七号石堰堤の記録は、堤体前面に約50センチ角の石材を敷いて水叩とすると書き、第六号石堰堤の記録は、堤体前面に水叩と護岸を設けて渓岸の安定に効果を発揮すると書く。万内川十一号堰堤の記録は、水叩き部を石張で強固に築き、水通し幅を広くとるなど、洗掘防止の工夫を挙げている。

水叩きと副堰堤は、いつもそろって設けられるわけではない。万内川七号及び八号堰堤のように、一方の堰堤の下流には水叩きと護岸を、もう一方には副堰堤を配するなど、地形に応じた組み合わせがとられる。

現地では、堰堤の直下の河床が平らに舗装されているかを見る。水量の少ない時期には、石張りの目地や、流水で丸く摩耗した石の表面が見えることがある。水叩きの下流端に段差があれば、副堰堤または水叩きの端を押さえる止めの構造と考えてよい。

参考文献

万内川四号堰堤|国指定文化財等データベース(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00003214
万内川十一号堰堤|国指定文化財等データベース(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00003218
正法寺川南沢第六号石堰堤|国指定文化財等データベース(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00004889
正法寺川南沢第七号石堰堤|国指定文化財等データベース(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00004890

最終更新: 2026.09.26