にじり口とは

にじり口は、草庵風の茶室に設ける、客の出入りのための小さな出入口である。「躙口」とも書く。高さ・幅とも70センチ前後とされる小さな開口で、客は身をかがめ、膝でにじるようにして茶室に入る。

小さな入口をくぐることで、外の世界と茶の湯の場とを区切り、身分の上下なく同じ姿勢で席に入るという考え方を表すものと説明される。千利休の時代に草庵の茶室とともに定着したとされる。室内に入ってまず目に入る位置に床の間を置くなど、にじり口の位置は茶室の平面構成の基準の一つになる。

記録と実物で見分ける手がかり

記録では、にじり口の位置と、床や給仕口との関係が書かれる。大阪府和泉市の和泉市久保惣記念美術館茶室惣庵は、三畳台目の小間で、躙口の正面に床と給仕口を設ける。愛媛県松山市の旧鈴木家住宅離れは、六畳の茶室の東面に床と地袋付の床脇を備え、北面の西端に躙口を開く、丸太を多用した数寄屋意匠の離れである。京都市の冨田屋離れは、離れ座敷と応接間、茶室から構成される上層商家の離れである。

現地では、茶室の外壁の低い位置に、板戸を建てた小さな四角い開口があるかを見る。

参考文献

旧鈴木家住宅離れ|国指定文化財等データベース(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00013893
和泉市久保惣記念美術館茶室惣庵|国指定文化財等データベース(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00005999
冨田屋離れ|国指定文化財等データベース(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00001282

最終更新: 2026.09.27