床の間とは

床の間は、座敷の一角に設ける一段高い床である。掛物や花を飾る場所であり、その部屋がどの程度の格を持つかを示す。

国指定文化財等データベースの解説文では、片仮名でトコと書かれることが多い。三重県の佐佐木信綱生家主屋は「北列最奥が主座敷でトコやトコ脇を構える」、岐阜県の都筑家住宅主屋は天保12年の建築で「奥座敷は十二畳半の主室や七畳半の次の間、仏間等からなり、主室にトコや棚等を備え、次の間には大トコを構える」と解説されている。

都筑家住宅の記述は、同じ屋敷のなかで主室と次の間に別々のトコが設けられていることを示す。次の間に大トコを構えるという書き方から、床の大きさが部屋ごとに違っていたことが読み取れる。

銘木が使われることもある。東京都の新井家住宅主屋は昭和初期の建築で、「和館は紫檀、黒檀、鉄刀木など銘木により床の間、書院を豪華な空間とし」と解説されている。ここでは床の間と表記されている。

茶室での扱い

茶室では、通常より短い台目畳を用いた台目のトコが設けられることがある。福岡県の筑紫女学園洗心庵は昭和15年の建築で、「北に四畳半の茶室、南に六畳の水屋を配し、茶室には台目のトコを構え、水屋にも丸炉を切る」と解説されている。

長野県の平松家住宅小座敷は大正5年の建築で、「トコと地袋を備え、炉を切り、舟底天井とするなど丁寧なつくりになる」と解説されている。トコ、地袋、炉、天井が一組で評価されている点に、座敷の格をどう読むかが表れている。

表記は床の間、トコ、床のいずれも用いられ、大トコ、トコ脇といった複合語もある。記事に書くときは、引用する記録の表記に合わせるのが確実である。

参考文献

文化庁 文化財の紹介 登録有形文化財(建造物)
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/yukei_kenzobutsu/toroku_yukei.html
国指定文化財等データベース(文化庁)佐佐木信綱生家主屋/つし二階建、南端に通り土間
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00009019
国指定文化財等データベース(文化庁)都筑家住宅主屋/主室にトコや棚等を備え、次の間には大トコを構える
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00009018
国指定文化財等データベース(文化庁)新井家住宅主屋/紫檀、黒檀、鉄刀木など銘木により床の間、書院を構成
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00009437
国指定文化財等データベース(文化庁)筑紫女学園洗心庵/四畳半の茶室、六畳の水屋、台目のトコ
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00009078

最終更新: 2026.08.31