表屋造とは

表屋造は、町家の形式の一つで、通りに面して店の棟を建て、その奥に玄関と中庭を挟んで居住のための棟を別に建て、両者をつないだものをいう。通りに面した店の棟を表屋、奥の棟を居住棟や主屋と呼ぶ。商いの空間と暮らしの空間を別の棟に分けて建てる点が特徴である。

一般の町家は、一つの棟の中で表側を店の間、奥を居室とし、通り土間でつなぐ。これに対して表屋造では、表屋と居住棟のあいだに玄関の間や中庭があり、居住棟は通りから一段奥まった落ち着いた空間になる。敷地に奥行があり、規模の大きな商家に多く見られる形式で、京都や近江の大型の町家に例がある。

表屋はふつう二階建で、通りに面して出格子や虫籠窓を構える。居住棟は座敷を中心に構成し、中庭を介して光と風を取り入れる。

記録と実物で見分ける手がかり

記録では「表屋造の形式」「表屋造形式の町家」のように書かれ、表屋と居住棟の関係が説明される。滋賀県彦根市の旧石橋家住宅東主屋は、通りに南面して二階建の表屋を構え、玄関と中庭を介して住居部を建て、表屋の前面に出格子を立てて東端を土間とする。記録は、県内で数少ない表屋造形式の大型町家としている。京都市の上田家住宅主屋は旧白生地問屋の主屋で、2階建の表屋と居住棟の間に玄関を配した表屋造の形式をとり、正面1階の出格子構えの腰を御影石張とする。

現地では、通りから見える表屋の奥に、別の屋根が一段離れて見えるかを確かめる。表屋と居住棟の屋根のあいだに中庭の空間があれば、表屋造の構成と考えてよい。通りからは表屋しか見えないことが多いので、配置図や記録で奥の棟の存在を確かめたい。

参考文献

旧石橋家住宅東主屋|国指定文化財等データベース(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00009627
上田家住宅主屋(京都市)|文化遺産オンライン
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/572751

最終更新: 2026.09.26