押板とは

押板は、座敷の壁際に設けた、奥行の浅い厚板の台である。壁に掛軸を掛け、その前の押板の上に花瓶や香炉、燭台などを置いて飾る。室町時代に書画や道具を飾る場として生まれ、のちの床の間のもとになった形とされる。

床の間が一段高い床と奥行をもつ一つの空間になっているのに対し、押板は壁に沿って板を据えた簡素な構えで、奥行が浅い。近世以降も、主座敷には床の間を、次の間などには押板を設けて、部屋の格に応じて飾りの場を使い分ける例がある。記録では「押板床」とも書かれる。

記録と実物で見分ける手がかり

記録では、座敷の構成の中で「押板が付く」のように書かれる。大阪府泉大津市の田中家住宅(助松本陣)玄関及び座敷棟は、10畳と8畳の二間続きの座敷を矩の手につなげ、10畳には北面東端に押板が付き、8畳はトコと棚、付書院を備えると記録される。奥の座敷ほど座敷飾が整う構成で、押板と床の間が部屋の格に応じて使い分けられていることが分かる。愛知県の犬山城天守(国宝)の一階の上段の間は、押板床・違棚・帳台構を備える書院造の座敷とされる。

現地では、壁際の板の奥行と高さを見る。奥行が浅く、壁に沿って厚板を置いたような構えであれば押板、奥行があり一つの空間になっていれば床の間と考えてよい。

参考文献

田中家住宅玄関及び座敷棟|国指定文化財等データベース(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00006686
犬山城天守|文化遺産オンライン
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/200169

最終更新: 2026.09.27