札幌軟石とは

札幌軟石は、札幌市南区の石山地区などで採掘された石材で、地質学上は支笏溶結凝灰岩という。札幌市中央図書館の展示解説によれば、約4万年前、支笏湖をつくることになった火山活動で札幌周辺に流れ出た火砕流が冷え固まった岩石である。

軟らかく加工しやすいうえ、耐火性と断熱性に優れるため、明治以降の札幌で建築材料として広く用いられた。石山での採掘は昭和53年(1978年)に終わったが、札幌市の資料は、南区常盤地区で現在も生産が続いているとしている。

名に「札幌」と付くが、使われた範囲は札幌にとどまらない。官庁、教会、商家の蔵、倉庫など用途も幅広く、市民団体の調査では札幌市内だけで400棟あまりの軟石建物が確認されている。

記録での書かれ方と見るときの手がかり

国の記録は、札幌軟石を札幌の近代を象徴する材料として扱う。札幌市中央区の旧札幌控訴院庁舎(大正15年、重要文化財)について、文化庁は札幌の近代を代表する建材である札幌軟石の建物として現存最大級であり、多彩な石加工技術を見ることができると解説している。壁体は石と煉瓦の組積造である。

住宅の付属建物にも例が多い。札幌市中央区の遠藤家住宅(大正8年頃)では、敷地を囲む総延長161メートルの塀のうち三面を札幌軟石積とし、表面を瘤出しに仕上げて高さの異なる石を交互に積む。同じ敷地の石蔵は札幌軟石を布積にした蔵である。

現地では、石の色と表面を見るとよい。淡い色合いで、表面に細かな粒や小さな孔が見えることが多い。表面を荒く残す瘤出し仕上げ、平らに削った仕上げなど加工の違いも、記録に書かれていれば確かめられる。栃木県の大谷石も同じ凝灰岩の石材だが、産地も成り立ちも異なる別の石である。

参考文献

札幌市の図書館 展示「わが街の文化遺産 札幌軟石」
https://www.city.sapporo.jp/toshokan/sapporosiryo/201606nansekitenji.html
札幌市中央図書館 展示資料「札幌軟石」
https://www.city.sapporo.jp/toshokan/sapporosiryo/documents/sapporonanseki2.pdf
国指定文化財等データベース(文化庁)旧札幌控訴院庁舎
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/102/00005321
国指定文化財等データベース(文化庁)遠藤家住宅塀
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00010093
国指定文化財等データベース(文化庁)遠藤家住宅南石蔵
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00010090

最終更新: 2026.10.04