大谷石とは

大谷石は、栃木県宇都宮市の大谷町一帯で採掘される凝灰岩の石材である。産業技術総合研究所地質調査総合センターの解説によれば、約1500万年前の新第三紀中新世に火山噴出物が海に積もってできた大谷層の、軽石を多く含む火砕岩を切り出したものをいう。淡い緑を帯びた灰色で、石の中に「ミソ」と呼ばれる茶色の斑点が散るのが見た目の特徴である。

軽くやわらかいため切り出しや加工がしやすく、火にも強い。宇都宮市の日本遺産のストーリーは、大谷石が耐火性に優れ、湿度を調えることから、味噌や酒、醤油をつくる商家の蔵に用いられたと説明している。蔵のほか、塀、石垣、門柱、建物の外壁材や内装材として広く使われ、近代には教会や公共建築にも採用された。

記録と実物で見分ける手がかり

記録では、大谷石をどのように用いたかが書き分けられる。旧長島家住宅では、米蔵・前蔵・裏蔵がいずれも石造二階建で外壁に大谷石を積み、小屋は木造トラス組とする。同じ屋敷の外塀は、自然石積の基礎の上に直方体に加工した大谷石を六段積み、最上部に大谷石の笠木を置く。長屋塀は木造で、外壁を白漆喰塗、腰を大谷石張とする。「大谷石を積む」は石そのものを構造体とする使い方、「大谷石張」は木造の壁の表面に石を張る使い方で、構造が異なる。

現地では、石の表面の茶色の斑点を探す。石積みか石張りかは、窓や出入口の周りで壁の厚みを見ると分かることが多い。壁が厚く、開口部の側面まで石でできていれば石積み、表面だけが石で内側に木部や漆喰が見えれば石張りである。

参考文献

大谷石|GSJ地質ニュース(産業技術総合研究所 地質調査総合センター)
https://www.gsj.jp/data/gcn/gsj_cn_vol1.no9_282.pdf
地下迷宮の秘密を探る旅 大谷石文化が息づくまち宇都宮|宇都宮市
https://www.city.utsunomiya.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/015/963/story.pdf
旧長島家住宅米蔵|国指定文化財等データベース(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00014739
旧長島家住宅外塀|国指定文化財等データベース(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00014745

最終更新: 2026.09.26