小野口家住宅前の蔵とは

小野口家住宅前の蔵(おのぐちけじゅうたくまえのくら)は、栃木県宇都宮市田野町にある江戸時代末期建築の石造2階建の蔵で、平成11年(1999年)10月14日に登録有形文化財となった。

屋敷地の南東の隅に建つ。長屋門や旧酒蔵など多くの建物が屋敷の西と北に並ぶなかで、前の蔵だけが反対側の隅に離れて立っている。屋根は瓦葺、建築面積は20平方メートルで、小野口家住宅の登録建物のなかで最も小さい。

江戸時代末期に建てられたのち、明治末期に移築されている。宇都宮市の解説は、江戸時代末期という年代を推定としている。

田下石を貼った外壁

小野口家住宅前の蔵は、木造の軸組の外側に石の薄い板を貼って外壁としている。使われているのは田下石(たげいし)で、文化庁はこれを大谷石の一種と説明している。宇都宮市の解説によると、田下石は宇都宮市西部の多気山のふもとで採れる石である。

宇都宮大学の研究者による報告は、田下石を肌理が細かく、大谷石に多い「ミソ」と呼ばれる斑点がふつうは見られない石としている。大谷石の蔵が並ぶ小野口家のなかで、前の蔵は違う産地の石で仕上げられた1棟になる。

土台には石を積んでいる、と宇都宮市は記している。壁は貼り石、足元は積み石と、同じ蔵のなかで2つの使い方を分けている。

蛇腹の軒と石の屋根

文化庁が小野口家住宅前の蔵の特徴として挙げるもう1つが、軒の造りである。軒を蛇腹の形に何段か持ち出して、壁の上端から屋根へと段々に張り出させている。軒蛇腹と呼ばれる手法で、小さな蔵の外観に陰影のある線を加えている。

屋根はもとは大谷石で葺かれていた。壁も屋根も石で覆った姿は、同じ屋敷の裏の蔵とも共通する。

登録の基準は「造形の規範となっているもの」で、登録番号は09-0015である。

見学のしかた

小野口家住宅前の蔵は屋敷地の南東の隅にある。屋敷を囲む石塀は南辺を除く三方にめぐらされており、前の蔵は長屋門が面する西側とは別の方角に位置する。外から見る場合は、屋敷の西側に立つのとは違う場所を探すことになる。

田下石の細かな肌理や軒の蛇腹は、近くで見て初めて分かる部分である。敷地に立ち入る場合は所有者の了承が要る。見学の条件と行き方は小野口家住宅のページにまとめた。

Q&A

Q小野口家住宅前の蔵はいつ建てられましたか。
A江戸時代末期の建築と推定され、明治末期に移築されています。
Q小野口家住宅前の蔵にはどんな石が使われていますか。
A外壁には田下石の薄い板が貼られています。田下石は大谷石の一種で、宇都宮市の多気山のふもとで採れる石です。土台は石積みです。
Q小野口家住宅前の蔵の軒はどんな形ですか。
A軒を蛇腹の形に段々に持ち出した軒蛇腹の造りです。
Q小野口家住宅前の蔵はどこにありますか。
A屋敷地の南東の隅にあり、長屋門などが並ぶ西側とは反対の位置です。建築面積20平方メートルで、小野口家住宅の登録建物で最も小さい蔵です。
Q小野口家住宅前の蔵は見学できますか。
A個人の住宅のため、外から見る形になります。敷地に入るには所有者の了承が必要です。

基本データ

名称小野口家住宅前の蔵(おのぐちけじゅうたくまえのくら)
所在地栃木県宇都宮市田野町885
指定区分登録有形文化財(建造物) 登録番号 09-0015
指定年平成11年(1999年)10月14日登録
員数1棟
寸法石造2階建、瓦葺、建築面積20平方メートル
所有者個人
公開状況個人宅。外観のみ見学可(敷地内は所有者の了承が必要)

参考文献

国指定文化財等データベース 小野口家住宅前の蔵(文化庁)
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00001338
宇都宮の歴史と文化財 小野口家住宅 前の蔵(宇都宮市歴史文化資源活用推進協議会)
https://utsunomiya-8story.jp/search_post/%e5%b0%8f%e9%87%8e%e5%8f%a3%e5%ae%b6%e4%bd%8f%e5%ae%85-%e5%89%8d%e3%81%ae%e8%94%b5/
大谷石類似石との比較に基づく徳次郎石の工学的性質と風化(徳次郎石研究会 2022年度活動成果報告書、宇都宮大学学術情報リポジトリ)
https://uuair.repo.nii.ac.jp/records/13751

最終更新日: 2026.09.27