向上寺三重塔とは:生口島に建つ永享4年の禅宗の塔

向上寺三重塔は、広島県尾道市瀬戸田町の生口島にある永享4年(1432年)建立の三重塔で、昭和33年(1958年)に国宝に指定された。

読みは「こうじょうじさんじゅうのとう」。向上寺は瀬戸田港の北東にある潮音山の中腹に位置する禅宗の寺で、三重塔は境内の高みに建つ。文化庁の国指定文化財等データベースに記された形式は、三間三重塔婆、本瓦葺である。

大正2年(1913年)4月14日に当時の制度で指定を受け、この日付が重要文化財としての指定年月日になっている。昭和33年(1958年)2月8日に国宝に指定された。所有者は向上寺である。

国宝指定の理由:年代の確かな禅宗寺院の塔婆

文化庁の解説は、向上寺三重塔を禅宗寺院の塔婆として貴重な遺構であるとし、唐様(禅宗様)の手法が濃厚で、細部にも特色ある意匠が見られると評価している。

さらに重要なのは、建立年が永享4年(1432年)と明らかなこと、そして部材のほとんどが建立当初の材とみられることである。建立年の分かる中世の塔で、当初材がこれほどよく残る例は珍しいと文化庁は指摘している。室町時代中期の禅宗建築の手法を、年代の基準とともに伝える塔である。

見どころ:朱塗りの塔身と華頭窓

塔は朱塗りで、瀬戸内の島の緑の中に鮮やかに立ち上がる。唐様の手法が濃いとされる細部は、組物の詰め方や軒まわりの構成に表れる。塔の真下から軒裏を見上げ、組物が柱の間にも置かれているか、垂木がどのように配されているかを確かめたい。

各重の壁には華頭窓が見られる。華頭窓は上部を花形の曲線でかたどった窓で、禅宗様の建物によく用いられる。窓の形と組物の密度を合わせて見ると、唐様の性格がつかみやすい。

塔は山の斜面に建っているため、下から見上げる姿と、さらに上の境内から塔越しに見下ろす姿で印象が変わる。上から見ると、三重の屋根が本瓦葺で重なっていく様子がよく分かる。

見学方法:瀬戸田港からのアクセス

向上寺は尾道市瀬戸田町瀬戸田57にある。旅行情報誌によれば、瀬戸田港から歩いて約10分。車の場合は西瀬戸自動車道(しまなみ海道)の生口島北インターチェンジから約7.3キロメートルで、無料の駐車場がある。

境内は参拝できるが、拝観の時間や料金について寺の公式の案内は確認できなかった。訪問前に寺(電話0845-27-3377)に確認するとよい。塔は山の斜面にあり、参道には上りがある。

撮影の可否についての公式の案内は確認できなかった。境内は現に信仰の場であり、法要や参拝の妨げにならないよう配慮したい。

Q&A

Q向上寺三重塔はいつ建てられましたか?
A永享4年(1432年)の建立です。部材のほとんどが当初材とみられます。
Q向上寺三重塔はなぜ国宝なのですか?
A禅宗寺院の塔婆として貴重な遺構で、唐様の手法が濃厚であり、建立年が明らかで当初材がよく残ることが評価され、昭和33年(1958年)に国宝に指定されました。
Q向上寺三重塔へのアクセス方法は?
A瀬戸田港から徒歩約10分です。車では西瀬戸自動車道の生口島北インターチェンジから約7.3キロメートルです。
Q向上寺三重塔の拝観料は?
A寺の公式の案内は確認できませんでした。訪問前に寺(0845-27-3377)に確認してください。
Q向上寺三重塔の建築様式は?
A三間三重塔婆、本瓦葺で、禅宗様(唐様)の手法が濃く表れています。

基本情報

名称向上寺三重塔
所在地広島県尾道市瀬戸田町瀬戸田57
指定区分国宝(建造物)
指定年昭和33年(1958年)2月8日国宝指定(重要文化財指定は大正2年(1913年)4月14日)
員数1基
寸法三間三重塔婆、本瓦葺
所有者向上寺
公開状況境内は参拝可。料金・時間は寺に要確認

参考文献

文化庁 国指定文化財等データベース「向上寺三重塔」
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/102/3188
文化遺産オンライン「向上寺三重塔」
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/157725
旅行情報マガジン「向上寺」
https://tabi-mag.jp/hm0073/

最終更新日: 2026.09.27