耕三寺潮聲閣とは
耕三寺潮聲閣は、広島県尾道市瀬戸田町の耕三寺の境内東北隅に建つ住宅建築で、2003年(平成15年)に登録有形文化財となった。読みは「ちょうせいかく」である。文化庁の国指定文化財等データベースは年代を昭和4年(1929年)とするが、寺は昭和2年(1927年)に建て始めたと説明しており、数年の開きがある。
木造及び鉄筋コンクリート造の平屋一部2階建、瓦葺で、建築面積は389平方メートル。ポーチを持つ鉄筋コンクリート造2階建の洋館と、軒唐破風の玄関を持つ木造平屋建の和館からなる。
耕三寺耕三が、大阪で大口径特殊鋼管の会社を営んでいた当時、故郷の瀬戸田に住む母の老後のために建てた邸宅である。母の死後、この邸宅の周囲に堂塔が建てられていった。寺は耕三寺潮聲閣を、耕三寺建立発願の原点ともいうべき建造物と位置づけている。
登録有形文化財としての価値
耕三寺潮聲閣の登録基準は「造形の規範となっているもの」である。15棟のうちこの基準で登録されたのは耕三寺潮聲閣だけで、境内の他の堂塔とは評価の枠組みが違う。
文化庁の解説は、洋館と和館を並立させる昭和初期の大規模住宅建築の特徴をよく伝えるとする。寺も、こうした形態は明治から昭和初期にかけて流行したものの、広島県内では数例が現存するのみで、規模と精緻さにおいて耕三寺潮聲閣が卓越していると述べている。
注目されるのは部屋の格付けである。寺は、来客を迎える大広間よりも老人室をはるかに豪華に造っていること、仏間を通例よりはるかに大きく独立させて住宅本体から突出させていることを挙げ、母への思いが表れたものとしている。住宅の格式は普通なら接客空間に集まるが、ここでは逆になっている。登録日は2003年9月19日、登録番号は34-0057である。
見どころ
耕三寺潮聲閣の老人室は、母の居間として最高格式に造られた。寺の説明によれば、床柱と建具は黒柿、床の間の落としがきは鉄刀木、欄間は薩摩杉の一枚板に梅と鳥の彫刻を入れる。天井は折上格天井で、124面に花鳥画が描かれている。床脇には母の木像が安置されている。
大広間は床の間、棚、付書院を備えた十畳で、六畳の次の間が控える。床柱は紫檀、床框は黒檀、床板は欅の一枚板、天井板は屋久杉。材の名を並べただけで、当時どれだけの手を掛けたかが分かる。
洋館部分はほぼ正方形平面の2階建で、車寄せを持つ。内装は茶色の腰板と白漆喰の仕上げで、ステンドグラスが入る。応接室には西正面にガラス戸の玄関を設け、大玄関を通らずに直接入れるようになっている。
浴室も見逃せない。大理石と御影石で造られた四畳半で、浴槽の内側には桐を組み込む。浴室と廊下の間の壁には円窓のステンドグラスがはめ込まれている。和館の中にこうした要素が混ざる点が、耕三寺潮聲閣の性格をよく示している。
見学方法
耕三寺潮聲閣は内部が公開されているが、公開時間と料金が境内の他の棟とは別になっている。開館は午前10時から午後4時までで、境内の入館料とは別に現地で500円(小学生以上)が必要になる。未就学児は無料である。
見学の時間帯が短いので、境内を下から順に回ると閉まっていることがある。耕三寺潮聲閣を確実に見たい場合は、先にこちらへ回るか、午後4時までに戻る計画を立てたい。所在は境内の東北隅で、山門から入ってすぐ東へ折れた位置にある。
出入口が階段のため、車椅子では入れない。撮影は個人で楽しむ範囲と個人のSNSやブログへの掲載が認められており、営利目的での無断使用には申請が必要である。料金と時間は変わることがあるので、訪問前に公式サイトで確かめてほしい。
よくある質問
- 耕三寺潮聲閣は何と読みますか?
- 「ちょうせいかく」と読みます。文化庁の国指定文化財等データベースのふりがなも「こうさんじちょうせいかく」です。
- 耕三寺潮聲閣は見学できますか?
- 内部が公開されています。ただし開館は午前10時から午後4時までで、境内の入館料とは別に現地で500円(小学生以上)が必要です。
- 耕三寺潮聲閣はいつ建てられたのですか?
- 文化庁のデータベースは昭和4年(1929年)とし、寺は昭和2年(1927年)に建て始めたと説明しています。数年の開きがあります。
- 耕三寺潮聲閣はなぜ登録されたのですか?
- 15棟のうち唯一「造形の規範となっているもの」という基準での登録です。洋館と和館を並立させる昭和初期の大規模住宅の特徴を伝える点が評価されました。
- 耕三寺潮聲閣の見どころはどこですか?
- 母の居間である老人室です。折上格天井に124面の花鳥画が描かれ、来客用の大広間よりも豪華に造られています。
基本データ
| 名称 | 耕三寺潮聲閣 |
|---|---|
| 所在地 | 広島県尾道市瀬戸田町瀬戸田553-2 |
| 指定区分 | 登録有形文化財(建造物) |
| 指定年 | 2003年(平成15年)9月19日登録 |
| 員数 | 1棟 |
| 寸法 | 木造及び鉄筋コンクリート造平屋一部2階建、瓦葺、建築面積389平方メートル |
| 所有者 | 宗教法人耕三寺 |
| 公開状況 | 内部公開、午前10時から午後4時まで、別途入館料500円(小学生以上) |
参考文献
- 国指定文化財等データベース 耕三寺潮聲閣(文化庁)
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00003599
- 堂塔のご案内(耕三寺博物館)
- https://www.kousanji.or.jp/map.html
- 書院潮聲閣(耕三寺博物館)
- https://www.kousanji.or.jp/chouseikaku.html
- 利用案内(耕三寺博物館)
- https://www.kousanji.or.jp/info.html
最終更新日: 2026.09.14