国宝とは
国宝は、重要文化財のうち世界文化の見地から価値が高く、たぐいない国民の宝たるものとして文部科学大臣が指定した有形文化財である。文化財保護法第27条第2項がその根拠にあたる。
指定には順序がある。まず有形文化財のうち重要なものが重要文化財に指定され、そのなかからさらに国宝が選ばれる。したがって国宝はすべて重要文化財でもある。同法第2条第2項は、一部の条文を除いて法律中の「重要文化財」に国宝を含むと定めており、統計上も重要文化財の件数は国宝の件数を含んだ数字になる。令和8年8月1日現在、国宝は1,149件、重要文化財は13,558件である。
対象は有形文化財に限られる。無形文化財や記念物に国宝という区分はない。運用は建造物と美術工芸品の二本立てで、建造物の国宝は233件303棟、美術工芸品の国宝は絵画167件、彫刻142件、工芸品254件、書跡・典籍236件、古文書63件、考古資料51件、歴史資料3件の計916件を数える。
指定は官報で告示された日から効力を生じ、所有者には指定書が交付される。指定書には名称と員数、指定年月日、建造物なら構造及び形式、それ以外なら寸法や材質などが記載される。
重要文化財との扱いの違い
同じ有形文化財でも、国宝と国宝以外の重要文化財では国の関与の強さが異なる。き損した場合、文化庁長官は国宝の所有者に対しては修理を命令できるが、国宝以外の重要文化財に対しては勧告にとどまる。命令に従わない場合など一定の条件を満たすとき、文化庁長官が自ら修理や盗難防止の措置を行えるのも国宝についてである。
一方で、現状変更に文化庁長官の許可が必要な点、輸出が原則として禁止される点、所有者の変更や滅失を届け出る義務は、国宝と国宝以外の重要文化財で共通している。
国宝の指定は公開を意味しない。公開は所有者が行うものとされており、美術工芸品では保存上の都合から展示期間が限られることが多い。建造物でも内部が公開されていない例がある。訪問前に所有者や管理者の案内を確認するのが確実である。
参考文献
- e-Gov法令検索 文化財保護法(昭和二十五年法律第二百十四号)
- https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0100000214
- 文化庁 文化財指定等の件数(令和8年8月1日現在)
- https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/shitei.html
- 文化庁 文化財の紹介 概要(文化財の種類,指定・選定・登録)
- https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/gaiyo/
- 文化庁 文化財の紹介 有形文化財(美術工芸品)
- https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/yukei_bijutsukogei/
最終更新: 2026.08.30