炭鉱会社が全額を負担した煉瓦の小学校

星槎大学(旧頼城小学校)校舎は、北海道芦別市緑泉町にある昭和29年(1954年)竣工の煉瓦造2階建校舎で、平成20年(2008年)3月7日に国の登録有形文化財に登録された。

前身は木造だった。頼城の集落に明治43年(1910年)に頼城教育所として開かれ、大正6年(1917年)に頼城小学校と改称したこの学校は、昭和28年(1953年)の火災で校舎を全焼している。当時の在籍児童は約1,450名。

再建の経緯が独特である。国庫補助を受けず、三井鉱山芦別鉱業所が総工費5,200万円を全額負担した。備品購入まで含まれていたという。従業員の子弟が学ぶ場である、という理屈だった。そして選ばれた材料が煉瓦だった。二度と焼けない校舎を、という判断である。

使われた煉瓦は約70万個。内壁も外壁もイギリス積みで仕上げられている。平面は上から見ると分かりやすい。西向きに玄関を開く職員室棟があり、そこから東へ北教室棟が100メートル以上延びる。職員室棟の南には南教室棟が丁字形に接続する。教室棟はいずれも片廊下式で、片側に教室、反対側に窓が並ぶ。屋根は寄棟造の鉄板葺。建築面積は2,232平方メートル、昭和31年・32年(1956年・1957年)に増築、平成15年(2003年)に改修が加えられた。一部は鉄筋コンクリート造となっている。

登録の理由と建築上の価値

登録年月日は平成20年3月7日、告示は同月19日。第58回の登録で、登録番号は01-0095。適用された登録基準は「再現することが容易でないもの」である。

煉瓦造の小学校校舎そのものが全国的に数少ない。近代の組積造校舎の多くは戦後に取り壊されるか、耐震改修で外観を失った。ここでは内壁の煉瓦に塗り込めがなく、廊下に立っても積み方が読める。

そして長さである。一線に伸びる教室棟は全長106メートル。煉瓦造の校舎としては国内最長とされる。西端に立って廊下の先を見ると、教室の入口が遠近法で吸い込まれていく。36教室という数字が体感に変わる瞬間だ。

この規模を支えたのは石炭だった。芦別には大手5社の炭鉱が同時に稼働し、人口は7万5千人余に達している。頼城小学校は昭和33年(1958年)に41学級・児童2,214名を数え、産炭地でも有数の規模となった。炭鉱の縮小とともに児童は減り、平成14年(2002年)に閉校。平成16年(2004年)、神奈川県を本拠とする星槎グループが通信制の星槎大学芦別キャンパスとして再利用し、建物は使われ続けることになった。

令和元年度(2019年度)には、空知の炭鉱・室蘭の製鉄・小樽の港湾を結ぶ日本遺産「炭鉄港」の構成文化財に加えられている。

訪ねたときに見てほしいところ

まず積み方を見てほしい。イギリス積みは、小口を見せる段と長手を見せる段が交互に重なる積法で、西面でその規則を一度つかむと、壁面を読むのが止まらなくなる。装飾的な意匠はほとんどない。2,000人の子どもを収める校舎を短期間で建てるという条件が、そのまま壁に出ている。

北側に回ると全長が効いてくる。写真では106メートルは伝わりにくい。

見学について。建物は通常施錠されており、内部の自由見学はできない。事前の問い合わせが必要で、近年はイベント時に公開された例もある。外観は周囲の道路からいつでも見られる。バスは芦別市街から空知交通の頼城線に乗り「頼城学校前」下車、徒歩2〜3分。鉄道はJR根室本線の芦別駅が最寄りとなる。外観の撮影に制限はないが、施設として使われている場所なので節度は必要になる。

冬は表情が変わる。雪に沈む赤煉瓦と、白く縁取られた屋根の稜線。地元の撮影者が狙うのはこの季節だ。平成11年(1999年)には日本映画のロケ地としても使われており、それで名前を知った人も少なくない。

足を延ばすなら、旧三井芦別鉄道の炭山川橋梁が車ですぐの距離にある。橋上にディーゼル機関車と石炭貨車が保存展示されており、平成21年(2009年)に登録有形文化財となった。同じ「炭鉄港」の構成文化財である。

Q&A

Q星槎大学(旧頼城小学校)校舎の内部は見学できますか?
A自由見学はできません。建物は通常施錠されており、内部を見る場合は事前の問い合わせが必要です。近年はイベント時に公開された例もあります。外観は周囲の道路から制限なく見られます。
Q星槎大学(旧頼城小学校)校舎へのアクセス方法は?
A芦別市街から空知交通の頼城線バスに乗り「頼城学校前」で下車、徒歩2〜3分です。鉄道はJR根室本線の芦別駅が最寄りとなります。車の場合、芦別市街から15分ほどの距離です。
Q星槎大学(旧頼城小学校)校舎はなぜ煉瓦造なのですか?
A昭和28年(1953年)の火災で前身の木造校舎が全焼したためです。再建費用を全額負担した三井鉱山が、耐火性を重視して煉瓦を選びました。約70万個の煉瓦が内外壁ともイギリス積みで用いられています。
Q星槎大学(旧頼城小学校)校舎の建築的な価値はどこにありますか?
A規模と材料です。一線に伸びる教室棟は全長106メートル、36教室を収め、煉瓦造の校舎としては国内最長とされます。この規模の煉瓦造校舎が現存する例は少なく、内壁の煉瓦も塗り込められずに露出しています。
Q星槎大学(旧頼城小学校)校舎は現在も使われていますか?
A平成14年(2002年)に頼城小学校が閉校し、平成16年(2004年)から星槎大学芦別キャンパスとして使われました。その後、大学は本部を神奈川県箱根町へ移しており、現在の利用は限定的とされています。

基本情報

名称星槎大学(旧頼城小学校)校舎
所在地北海道芦別市緑泉町5-14他
指定区分登録有形文化財(建造物) 登録番号 01-0095
指定年平成20年(2008年)3月7日登録/同年3月19日告示(第58回)
員数1棟
寸法煉瓦造一部鉄筋コンクリート造2階建、鉄板葺、建築面積2,232㎡。一線校舎の全長約106m
所有者国指定文化財等データベースに記載なし
公開状況外観は常時見学可。内部は通常施錠、事前問い合わせが必要

参考文献

国指定文化財等データベース(文化庁)— 星槎大学(旧頼城小学校)校舎
https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/101/00006962
文化遺産オンライン — 星槎大学(旧頼城小学校)校舎
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/175086
日本遺産ポータルサイト — 旧頼城小学校(星槎大学)校舎及び体育館
https://japan-heritage.bunka.go.jp/ja/culturalproperties/result/4090/
炭鉄港ポータルサイト — 旧頼城小学校(星槎大学)校舎及び体育館
https://3city.net/cultural-property-list/tanko-21/
芦別市観光総合ガイド「星の降る里あしべつ」— 星槎大学
https://go-to-ashibetsu.com/media/2017/02/13/30

最終更新日: 2026.08.27