社殿の傍らに建つ小さな祭祀の社

平安時代の記録にさかのぼる古社、西宮神社は、全国のえびす信仰の総本社である。境内は中央の社殿を中心に開け、本殿の東には東翼殿と呼ばれる小ぶりな社殿が建つ。

この社殿は祭祀のために設けられ、斎庭に南面する。方一間の小さな建物で、切妻造の銅板葺。基礎は亀腹と呼ばれる丸みを帯びた壇で、その上に角柱を立て、長押で固める。

組物は舟肘木を用いた簡素なもの。内部は一室の板敷で、上部を化粧屋根裏とし、南・西面には刎高欄を付した榑縁を廻す。

登録の理由と価値

東翼殿は令和7年(2025)3月、登録有形文化財に登録された(登録番号28-0833)。国土の歴史的景観に寄与する建築として評価されている。

本殿の復興に伴い、昭和36年(1961)に新たに建立された社殿である。失われた前身を写すのではなく、復興後の社頭を整える一棟として構想され、斎庭の一角を担う位置に据えられた。

その価値は規模よりも全体のなかでの役割にある。西の対となる社殿とともに社頭に均整のとれた枠を与え、本殿が整った構成のなかに納まって見えるようにしている。

訪れて見るなら

本殿の東に置かれたこの社殿は、単独の見どころというより斎庭の景の一部として味わいたい。低い亀腹の基壇、簡素な舟肘木、二面に折れる刎高欄付きの榑縁に目をとめたい。

静かに眺められるのは平日で、西の対の社殿と斎庭を挟んで釣り合っている。正月の十日えびすには境内が人で満ち、翼殿は人波の中心ではなく縁に静かに立つ。

境内は無料で参拝できる。翼殿は斎庭越しに拝観するもので、内部は公開されていない。

Q&A

Q翼殿は何のための社殿ですか。
A翼殿は本殿の左右に配された祭祀用の小社殿です。西宮神社では東翼殿と西翼殿が斎庭を挟んで本殿の両脇に南面します。
Q亀腹とは何ですか。
A神社建築で基礎に用いる、丸みを帯びた漆喰塗りの壇です。東翼殿はこの亀腹の上に角柱を立てて建っています。
Qいつ頃の建物ですか。
A昭和36年(1961)に新築された社殿で、戦災で失われた社殿群の復興にあわせて建てられました。
Q内部に入れますか。
A入れません。翼殿は斎庭越しに社頭の一部として拝観するもので、内部は非公開です。

基本情報

名称西宮神社東翼殿(にしのみやじんじゃひがしよくでん)
所在地兵庫県西宮市社家町11
指定区分登録有形文化財(建造物)
登録年月日令和7年(2025)3月13日/登録番号 28-0833
年代昭和36年(1961)
構造木造平屋建、方一間、切妻造銅板葺、建築面積約16㎡
所有者宗教法人西宮神社
公開境内は無料で参拝可能。斎庭越しに拝観

参考文献

国指定文化財等データベース — 西宮神社東翼殿
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00015341
えびす宮総本社 西宮神社 公式サイト — 境内案内
https://nishinomiya-ebisu.com/guide/guide-2/
えびす宮総本社 西宮神社 公式サイト — 由緒
https://nishinomiya-ebisu.com/history/

最終更新日: 2026.07.03