城跡の三の丸に建つ篠山小学校
篠山小学校は、兵庫県丹波篠山市北新町の篠山城跡三の丸にある市立の小学校で、昭和10年(1935年)に建った講堂と、昭和27年(1952年)から昭和30年(1955年)にかけて建てられた木造2階建の校舎5棟の計6棟が、令和6年(2024年)に登録有形文化財に登録された。
城の堀に囲まれた区画で、いまも毎日授業が行われている。学校の紹介によると、篠山小学校は篠山城の内堀と外堀にはさまれた土地に建つ5棟を校舎として使っている。文化庁の答申資料も、三の丸に位置する現役の校舎として篠山小学校を取り上げた。
丹波篠山市の市長日記は、校舎の外壁が淡いピンク色に塗られ、渡り廊下から城跡が見えると書いている。
篠山小学校の棟の並び
篠山小学校の校舎5棟は、どれも東西に長い切妻造・桟瓦葺の木造2階建である。北から一号棟、二号棟、三号棟、四号棟、五号棟の順に、ほぼ平行に並ぶ。各棟とも北側に片廊下を通し、その南に教室を置く。
棟どうしは、南北に走る東西2本の渡廊下で結ばれている。玄関を構える一号棟が敷地の北端にあり、渡廊下はそこから五号棟まで延びる。二号棟と三号棟は東西の渡廊下の間に収まり、四号棟と五号棟は東の渡廊下を越えてさらに東へ張り出す。講堂は二号棟と三号棟の東に建ち、校舎とは向きを変えて南北に棟を通している。
丹波新聞が篠山城跡の天守台から撮った写真では、右から五号棟、四号棟と順に棟が重なり、三号棟の後ろに講堂の屋根がのぞいている。城跡の高い場所から眺めると、6棟の配置がよくわかる。
篠山小学校の来歴と耐震改修
篠山小学校は令和4年(2022年)に創立150周年を迎えた。丹波新聞によると、明治43年(1910年)に三の丸で校舎が完成し、その後は増築と改築を重ねてきた。戦後になって、その古い校舎を少しずつ取り壊しながら建て替えたのが、いまの5棟である。
文化庁の記録で建築年をたどると、昭和27年(1952年)の五号棟が最初で、昭和28年(1953年)に四号棟と一号棟の東側、昭和29年(1954年)に三号棟、昭和30年(1955年)に二号棟と一号棟の西側が続いた。講堂だけは戦前の昭和10年(1935年)の建物で、校舎の建て替えより前からここにある。答申資料によれば、講堂の妻壁には起工した昭和9年(1934年)を皇紀で示す数字が付いている。
篠山小学校の校舎は、一度は存続が危ぶまれた。丹波新聞は、城跡の保護と耐震性の問題から移転改築が検討された時期があり、残してほしいという地域の声を受けて耐震補強の改修に進んだと伝える。文部科学省の資料「古い木造校舎と新しい木造校舎」は、篠山小学校の耐震診断の評点を0.06とし、耐震補強を行った木造校舎の例に挙げている。
文化庁のデータベースは、6棟すべてに平成26年(2014年)の改修を記録している。学校の説明では、この耐震・改修工事は平成27年(2015年)3月に完成した。市長日記は、木造校舎の耐震改修は当時ほとんど例がなかったとしたうえで、神戸芸術工科大学の花田佳明氏、東京大学の腰原幹雄氏、地元の才本建築事務所、そして校舎を残そうと動いた城下町の住民の力で課題を越えられたと振り返っている。
篠山小学校の登録6件
篠山小学校の6棟は、令和5年(2023年)11月24日の文化審議会の答申を経て、令和6年(2024年)3月6日にそろって登録有形文化財に登録された。登録番号は28-0807から28-0812までの連番である。
- 篠山小学校一号棟:昭和28年(1953年)、昭和30年(1955年)増築、木造2階建、建築面積718㎡
- 篠山小学校二号棟:昭和30年(1955年)、木造2階建、建築面積309㎡
- 篠山小学校三号棟:昭和29年(1954年)、木造2階建、建築面積352㎡
- 篠山小学校四号棟:昭和28年(1953年)、木造2階建、建築面積546㎡
- 篠山小学校五号棟:昭和27年(1952年)、木造2階建、建築面積520㎡
- 篠山小学校講堂:昭和10年(1935年)、鉄骨造平屋建、人工スレート葺、建築面積586㎡
校舎の5棟は「国土の歴史的景観に寄与しているもの」、講堂は「造形の規範となっているもの」として登録された。文化庁は、5棟の教室棟それぞれに戦後復興期の学校建築らしい工夫が表れているとし、講堂を戦前期の鉄骨造の学校講堂として数少ない例とみている。
篠山小学校の見学と行き方
篠山小学校は児童が毎日通う学校で、空き教室を使って篠山幼稚園も併設されている。校舎や講堂を一般に公開する案内や見学の受け付けは見当たらないので、敷地には入らず、外から眺めることになる。写真を撮るときは、子どもたちが写り込まないよう気を配りたい。
市長日記にあるとおり、篠山小学校の前には城跡と堀が広がっている。棟の並びを見渡すなら、城跡の側から眺めるとよい。
篠山小学校へは、JR福知山線の篠山口駅でウイング神姫の路線バスに乗り換え、二階町バス停で降りて約400m歩く。篠山口駅まではJR大阪駅から電車でおよそ1時間10分かかる。
参考文献
- 国指定文化財等データベース(文化庁)篠山小学校一号棟
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00014893
- 国指定文化財等データベース(文化庁)篠山小学校二号棟
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00014894
- 国指定文化財等データベース(文化庁)篠山小学校三号棟
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00014895
- 国指定文化財等データベース(文化庁)篠山小学校四号棟
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00014896
- 国指定文化財等データベース(文化庁)篠山小学校五号棟
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00014897
- 国指定文化財等データベース(文化庁)篠山小学校講堂
- https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00014898
- 文化庁 文化審議会答申(令和5年11月24日)登録有形文化財(建造物)
- https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/yukei_kenzobutsu/pdf/94080301_02.pdf
- 文化遺産オンライン 篠山小学校一号棟
- https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/598073
- 丹波篠山市立篠山小学校 学校概要
- https://sasayama-el.sasayama.jp/gakkogaiyo/
- 丹波篠山市立篠山小学校 創立150周年記念事業
- https://sasayama-el.sasayama.jp/category/150syunen/
- 丹波篠山市 市長日記(令和5年12月4日)篠山小学校の登録有形文化財
- https://www.city.tambasasayama.lg.jp/gyoseijoho/shichonoheya/shichonikki/2023/12/25606.html
- 文部科学省「古い木造校舎と新しい木造校舎」(9)
- https://www.mext.go.jp/component/b_menu/gyouji/__icsFiles/afieldfile/2016/03/29/1368292_0609.pdf
- 丹波新聞(2023年12月6日)篠山小学校校舎・講堂の登録有形文化財
- https://tanba.jp/2023/12/%E5%9B%BD%E7%99%BB%E9%8C%B2%E6%9C%89%E5%BD%A2%E6%96%87%E5%8C%96%E8%B2%A1%E3%81%AB%E3%80%80%E7%AF%A0%E5%B1%B1%E5%B0%8F%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E6%A0%A1%E8%88%8E%E3%83%BB%E8%AC%9B%E5%A0%82%E3%80%80%E5%B8%82/
- ぐるり!丹波篠山(丹波篠山市公式観光サイト)アクセス
- https://tourism.sasayama.jp/access
最終更新日: 2026.10.07
基本情報
| 名称 | 篠山小学校 |
|---|---|
| 所在地 | 兵庫県丹波篠山市北新町5 |
| 所有者 | 丹波篠山市 |
| 指定 | 登録有形文化財 6件 |
| 座標 | 35.07345, 135.21913 |