島中家住宅とは

島中家住宅は、兵庫県尼崎市大庄北二丁目にある明治時代の屋敷で、明治19年(1886年)に建てられた主屋を中心とする6件が、令和3年(2021年)に登録有形文化財に登録された。

屋敷は武庫川の左岸、尼崎市の西の端に近い住宅地のなかにある。登録されているのは、主屋、蔵、中蔵、東蔵、納屋の5棟と、主屋の前庭を囲う仕切塀1件である。いずれも明治のうちに建てられたもので、市街地となった尼崎の一角に、明治の大きな民家の屋敷構えがひとそろい残っている。

島中家住宅の見どころは二つに分けて考えるとわかりやすい。一つは、桁行20メートルに及ぶ大きな主屋と、その南西で前庭を囲む仕切塀がつくる表の構え。もう一つは、敷地の北辺に大・中・小の土蔵が東西一列に並び、その端に小さな納屋が寄り添う裏の景観である。文化庁の解説は、後者を「敷地北辺の景観」として特に取り上げている。

建物の年代

文化庁のデータベースに記された年代で6件を並べると、次のようになる。

  • 蔵・中蔵・東蔵:明治前期(1868〜1882年)
  • 主屋・仕切塀:明治19年(1886年)
  • 納屋:明治中期(1883〜1897年)

年代のうえでは、3棟の土蔵が主屋より古い。ところが蔵は主屋の北面に接続し、主屋の奥の間から出入りする造りになっている。いまの主屋より前に別の住まいがあり、蔵はそのころから建っていた可能性も考えられるが、建て替えの経緯について公的な資料は何も述べていない。主屋と仕切塀が同じ明治19年とされていることから、住まいと前庭は一体で整えられたとみられる。

屋敷の配置

島中家住宅の建物の位置は、文化庁の各棟の解説から読み取れる。表から裏へ、順に整理する。

表:主屋と前庭の仕切塀

主屋は南を正面とする大きな平屋で、西半分の南西隅に座敷を置き、その前に前庭を設けて式台玄関を付けている。この前庭を、主屋の南西で囲っているのが仕切塀である。塀は南面と西面で意匠を変えており、前庭の内と外とで見え方が違うように作られている。

主屋の背面:蔵

主屋の北面には蔵がじかに接続している。主屋の奥の間から出入りする家の内側の蔵で、中蔵の解説ではこの蔵を「内蔵」と呼んでいる。3棟の土蔵のうちでもっとも大きく、ただ1棟の2階建である。

敷地の北辺:中蔵・東蔵・納屋

内蔵の東に中蔵、その東に東蔵が並ぶ。どちらも平屋の土蔵で、建築面積は内蔵の23平方メートルから、中蔵の15平方メートル、東蔵の12平方メートルへと、東へ行くほど小さくなる。東蔵のさらに東には、5.9平方メートルの小さな納屋が東蔵の壁に寄りかかるように建つ。大きさの順に4棟が一列に並ぶこの姿が、島中家住宅の裏手の景観をかたちづくっている。

登録の内容

島中家住宅の6件は、令和3年(2021年)6月24日付の第99回登録で登録有形文化財(建造物)となった。登録番号は28-0753から28-0758までの連番で、登録基準はすべて「国土の歴史的景観に寄与しているもの」である。

  • 主屋(28-0753):木造平屋建、瓦葺、建築面積222平方メートル
  • 蔵(28-0754):土蔵造2階建、瓦葺、建築面積23平方メートル
  • 中蔵(28-0755):土蔵造平屋建、瓦葺、建築面積15平方メートル
  • 東蔵(28-0756):土蔵造平屋建、瓦葺、建築面積12平方メートル
  • 納屋(28-0757):木造平屋建、瓦葺、建築面積5.9平方メートル
  • 仕切塀(28-0758):木造、瓦葺、延長11メートル

文化庁の分類では、仕切塀だけが建築物ではなく「その他工作物」にあたる。6件とも単独の見栄えより、屋敷全体の眺めをつくる要素として評価されている。

見学とアクセス

島中家住宅は個人の住宅で、2026年10月時点で一般公開や見学会の案内は確認できなかった。敷地や建物の内部には立ち入れない。近くを通る場合も敷地には入らず、住んでいる方の暮らしの妨げにならないよう配慮したい。各棟の外観は、文化庁の国指定文化財等データベースに載っている写真で確かめられる。

市内の登録有形文化財については、尼崎市立歴史博物館(電話06-6489-9801)が報道発表の窓口になっている。

最寄りの鉄道駅は阪神本線の尼崎センタープール前駅と武庫川駅で、いずれも屋敷から南へ直線でおよそ1.7〜1.8キロメートルの位置にある。武庫川を挟んだ西宮市側には、JR神戸線の甲子園口駅が西北西へ直線でおよそ1.7キロメートルの距離にある。これらは地図上の位置から求めた目安で、公式のアクセス案内は出ていない。

名称について

島中家住宅の読みは「しまなかけじゅうたく」、所在地の大庄北は「おおしょうきた」と読む。文化庁のデータベースでは、6件がそれぞれ「島中家住宅主屋(おもや)」「島中家住宅蔵(くら)」「島中家住宅中蔵(なかぐら)」「島中家住宅東蔵(ひがしぐら)」「島中家住宅納屋(なや)」「島中家住宅仕切塀(しきりべい)」と、屋敷名に棟名を続けた名称で登録されている。

参考文献

文化庁 国指定文化財等データベース「島中家住宅主屋」
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00013850
文化庁 国指定文化財等データベース「島中家住宅蔵」
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00013851
文化庁 国指定文化財等データベース「島中家住宅中蔵」
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00013852
文化庁 国指定文化財等データベース「島中家住宅東蔵」
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00013853
文化庁 国指定文化財等データベース「島中家住宅納屋」
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00013854
文化庁 国指定文化財等データベース「島中家住宅仕切塀」
https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/maindetails/101/00013855
文化遺産オンライン「島中家住宅主屋」
https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/597819
尼崎市 報道発表資料「尼崎市内最古の洋風建築である『旧尼崎紡績本社事務所』が国の登録有形文化財に登録されます」(令和8年3月18日、歴史博物館)
https://www.city.amagasaki.hyogo.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/043/057/260318-04.pdf

最終更新日: 2026.10.08

基本情報

名称島中家住宅
所在地兵庫県尼崎市大庄北二丁目126
指定登録有形文化財 6件
座標34.73292, 135.39157